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恋人編
4月30日(水)-後編-
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学校に着いてから、僕は何度か栞にメッセージを送った。どうかしたとか、寂しいとか……女々しくも思えるような内容を綴って。だけど、必ず最後には、
――明日は栞と会いたい。
という言葉で締めるようにした。しつこいだろうけど。
今日、あの電車にいなかったのは深刻な理由ではないのかもしれない。
だけど、なぜか僕の不安はどんどんと膨らんでいるのだ。だから、僕は何度もメッセージをしてしまう。電話もしようと思ったけど、栞の気持ちを締め付けてしまいそうなので止めておいた。
栞からの返事は一度もなく。それが、僕の不安を更にかき立てる。そのせいか、今日の授業は板書を写すだけで、全く身に入らなかった。
ようやく放課後になった。
「はあっ……」
これで何度目のため息だろう。たくさんついていることだけは分かる。だからか、今日は友達とも全然話していない。こんな姿、周りに見せるべきじゃないのに。今日は空気を悪くしちゃったな。
「何かあったの? 今日、ずっと元気がなかったじゃない」
バッグを肩にかけた亜実は僕の前の席に座る。そんな亜実は授業が終わったからか幻想な笑みを見せてくる。
「あたしで良ければ相談に乗るよ。この前のお礼ってことで」
そう言っておきながら、随分と上から目線な気がするけれど。
「……ただ、いつもの朝の電車に彼女が乗ってなかっただけだよ」
僕がそう言った瞬間、と亜実は笑った。
「それだけ?」
「それだけだよ」
「……悠介って結構女々しいんだね」
「今日はずっとそう思っていたよ」
自虐していたものの、誰かに指摘されると結構ショックだな。こんなことでクヨクヨするのは男として普通ではないのか?
「でも、どんどん不安になるんだ。はっきりとした理由は分からない。何度かメールは送ったけれど、一度も返事がないし。僕の考えすぎなのかな」
「誰かと恋人として付き合ったことがないから何とも言えないけど、会えないってだけで不安になっちゃう気持ちは分かるかな」
そう言う亜実の笑みはどこか寂しそうだった。
「悠介、本当にその子のことが好きなんだね」
「……ああ、大好きだよ」
好きじゃなかったら、こんなに不安にはならない。
栞、君は今、どこで何をしているのだろうか。どんなことを考えているのかな。僕のことが心の片隅にでもあると嬉しい。
「……あたしで良かったらさ」
「えっ?」
「あたしで良かったら一緒にいてあげるよ。1人でいると、寂しい気持ちがどんどん膨らんじゃうだけだと思うから」
「……そうかもね」
亜実の悲しげな笑顔はいつしか優しげなものに変わり、最終的には嬉しそうな笑みに。そんな彼女を見て、ほんの少しだけ心が軽くなったような気がした。ただ、
「あたしじゃ、悠介にこのくらいのことしかできないんだろうね……きっと」
そんな亜実の声は僕にしか聞こえないくらいの小さなもので。
きっと、亜実は自分のできることが微々たるものだと思っているだろうけど、僕にとってはそれが大きなことなんだ。いつも通りに声をかけてくれるその優しさは、僕の不安な気持ちが大きくなることに歯止めをかけている。
「さっ、一緒に帰ろうよ。彼女の代わりにあたしが鳴瀬駅までいてあげるから」
「……お言葉に甘えるよ」
そう言った僕に見せる亜実の笑みはまるで、僕と一緒に帰れることが本当に嬉しい無邪気な子供みたいだ。昨日、カラオケで一緒に歌ったときの栞の笑顔と似ている。
きっと、明日は栞に会える。
そんな希望を胸に、僕は亜実と一緒に下校するのであった。
――明日は栞と会いたい。
という言葉で締めるようにした。しつこいだろうけど。
今日、あの電車にいなかったのは深刻な理由ではないのかもしれない。
だけど、なぜか僕の不安はどんどんと膨らんでいるのだ。だから、僕は何度もメッセージをしてしまう。電話もしようと思ったけど、栞の気持ちを締め付けてしまいそうなので止めておいた。
栞からの返事は一度もなく。それが、僕の不安を更にかき立てる。そのせいか、今日の授業は板書を写すだけで、全く身に入らなかった。
ようやく放課後になった。
「はあっ……」
これで何度目のため息だろう。たくさんついていることだけは分かる。だからか、今日は友達とも全然話していない。こんな姿、周りに見せるべきじゃないのに。今日は空気を悪くしちゃったな。
「何かあったの? 今日、ずっと元気がなかったじゃない」
バッグを肩にかけた亜実は僕の前の席に座る。そんな亜実は授業が終わったからか幻想な笑みを見せてくる。
「あたしで良ければ相談に乗るよ。この前のお礼ってことで」
そう言っておきながら、随分と上から目線な気がするけれど。
「……ただ、いつもの朝の電車に彼女が乗ってなかっただけだよ」
僕がそう言った瞬間、と亜実は笑った。
「それだけ?」
「それだけだよ」
「……悠介って結構女々しいんだね」
「今日はずっとそう思っていたよ」
自虐していたものの、誰かに指摘されると結構ショックだな。こんなことでクヨクヨするのは男として普通ではないのか?
「でも、どんどん不安になるんだ。はっきりとした理由は分からない。何度かメールは送ったけれど、一度も返事がないし。僕の考えすぎなのかな」
「誰かと恋人として付き合ったことがないから何とも言えないけど、会えないってだけで不安になっちゃう気持ちは分かるかな」
そう言う亜実の笑みはどこか寂しそうだった。
「悠介、本当にその子のことが好きなんだね」
「……ああ、大好きだよ」
好きじゃなかったら、こんなに不安にはならない。
栞、君は今、どこで何をしているのだろうか。どんなことを考えているのかな。僕のことが心の片隅にでもあると嬉しい。
「……あたしで良かったらさ」
「えっ?」
「あたしで良かったら一緒にいてあげるよ。1人でいると、寂しい気持ちがどんどん膨らんじゃうだけだと思うから」
「……そうかもね」
亜実の悲しげな笑顔はいつしか優しげなものに変わり、最終的には嬉しそうな笑みに。そんな彼女を見て、ほんの少しだけ心が軽くなったような気がした。ただ、
「あたしじゃ、悠介にこのくらいのことしかできないんだろうね……きっと」
そんな亜実の声は僕にしか聞こえないくらいの小さなもので。
きっと、亜実は自分のできることが微々たるものだと思っているだろうけど、僕にとってはそれが大きなことなんだ。いつも通りに声をかけてくれるその優しさは、僕の不安な気持ちが大きくなることに歯止めをかけている。
「さっ、一緒に帰ろうよ。彼女の代わりにあたしが鳴瀬駅までいてあげるから」
「……お言葉に甘えるよ」
そう言った僕に見せる亜実の笑みはまるで、僕と一緒に帰れることが本当に嬉しい無邪気な子供みたいだ。昨日、カラオケで一緒に歌ったときの栞の笑顔と似ている。
きっと、明日は栞に会える。
そんな希望を胸に、僕は亜実と一緒に下校するのであった。
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