ガール&パンツ

桜庭かなめ

文字の大きさ
14 / 86

第13話『顔合わせ』

しおりを挟む
 午後3時半。
 昼休みに生駒会長からまずは生徒会室に来てほしいと言われたので、私は1人で生徒会室へと向かう。理沙ちゃんは今頃、テニス部の方に行って、楽しくテニスをしているんだろうなぁ。
 ――コンコン。
 生徒会室の扉をノックすると、

『どうぞ』

 生駒会長の声が聞こえたので生徒会室へと入る。中には生駒会長の他に沙耶先輩もいた。

「失礼します」
「おっ、琴実ちゃん。ちゃんと来たね、えらいえらい」
「幼稚園の子じゃないんですから……」

 私がそう言っても、沙耶先輩は私の頭を優しく撫でてくれる。まあ、褒めてくれることは嬉しいから別にいいか。

「折笠さん、さっそく風紀委員会の部屋に案内するから」
「分かりました」
「じゃあ、一緒に行きましょう」

 私は沙耶先輩や生駒会長と一緒に生徒会室を出発する。生徒会は生徒会室っていう部屋があるけれど、各委員会にも活動拠点みたいなところがあるんだ。

「風紀委員会に入っている生徒さんってどんな方達なんでしょう」
「風紀委員だけあってみんな真面目だよ。委員長は私に対して厳しいけど」
「それって、パンツばかり要求するからじゃないですか」
「ああ、なるほどね。じゃあ、もしかしたら初対面でパンツ見せてって言ったのがまずかったのかな」

 沙耶先輩は今頃気付いたみたいだけど、絶対にそのせいだと思う。というか、沙耶先輩に一目惚れした私でさえパンツ見せてって初めて言われたときは嫌だったし。大半の人は初対面でパンツを見せろと言われたら嫌がるんじゃないかな。

「さあ、着いたわ。ここが風紀委員会の活動拠点になる部屋よ」

 扉の横にあるボードには『委員会活動室1』と描かれていて、その下に『風紀委員会』と書かれている白いテープが貼られていた。
 ――コンコン。
 生駒会長がノックをすると部屋の中から、

『はい、どうぞ』

 と、知らない女性の声が聞こえた。風紀委員長なのかな。
 風紀委員会の活動室に入ると、中には青髪のセミロングの女子生徒と、桃色の髪のショートボブの女子生徒が立っていた。青髪の方は沙耶先輩と違ったかっこよさがあって、桃色の髪の方はとても優しそうだ。笑顔が可愛らしい。
 すると、青髪の女子生徒が爽やかに笑いながらこちらの方に近づいてくる。

「初めまして、折笠さん。私、3年2組の藤堂千晴とうどうちはる。風紀委員長をやっていますわ」
「あたしは2年5組の成田なりたひより。よろしくね、琴実ちゃん」

 青髪の方が藤堂先輩で、桃色の髪の方が成田先輩か。藤堂先輩の方はちょっと厳しそうな感じがするけど、この2人となら一緒にやっていけそう。

「1年3組の折笠琴実です。ええと、一昨日、朝倉沙耶先輩に助けられたことをきっかけに風紀委員会に誘われて、風紀委員をやってみようと思いました。分からないこととかたくさんありますが頑張ります。よろしくお願いします」

 自己紹介をして、2人に頭を下げる。分からないことが多いので、先輩方に訊いて一つ一つ仕事内容を覚えていかないと。

「風紀委員会へようこそ、折笠さん。これからよろしくお願いいたします」
「琴実ちゃんが来ると賑やかになるよ、きっと。これから一緒に頑張ろうね」

 そう言われて、私は笑顔の藤堂先輩と成田先輩に握手を交わす。

「まあ、生徒会長のお墨付きだから大丈夫だとは思っていましたけど、折笠さんは真面目そうな女の子ですわね。朝倉さんが最初に推してきたときは、彼女と同じパンツ大好き変態女子かと思いましたが」
「そ、そうだったんですか……」
「彼女の相棒として活動することになりますので、朝倉さんの暴走を止めてくれると期待します。風紀委員という立場の生徒が、パンツを見せることを要求するなんて言語道断ですからね! それに、私は決して忘れません! 初対面なのに私のパンツを見せてと言われたときのことを!」
「ごめんね。基本的に、興味のある女の子との初対面は『パンツを見てこんにちは』が私のモットーだから」

 藤堂先輩が激しく怒っているのに、沙耶先輩がいつもの爽やかな笑みを浮かべて全く動じていない。というか、沙耶先輩、藤堂先輩に興味を持っているの? ちょっと胸騒ぎがしてきた。

「成田先輩も沙耶先輩と初対面の時にパンツ見せて、って要求されたんですか?」
「そうだよ。最初はビックリしたけれど、女の子相手だからいいかなって。あと、あたしのことはひよりでいいよ」
「私のことも千晴と呼んでください、琴実さん」

 互いに下の名前で呼び合えるのは親近感が湧いていいかも。
 というか、ひより先輩……今の様子からして、沙耶先輩にパンツを見られることにあまり抵抗がなさそうな感じ。もしかして、沙耶先輩に気があったりして。

「生徒会長の推薦ということで琴実さんの風紀委員会の仲間となることが決まりましたが、最初にその話を出したのは朝倉さんです。朝倉さん、なぜ、琴実さんを風紀委員会に入ることを薦めたのですか? 年度初めで時期的にはちょうどいいですが。まあ、きっかけは男達から琴実さんを助けたことでしょうけど」
「それもそうだけど、一番の理由はそうだねぇ……琴実ちゃん自身と琴実ちゃんの穿くパンツが可愛かったからかなぁ」
「はあっ? そんなことで折笠さんに風紀委員会に入るように勧めたのですか! あなたという人はどこまでも不純な方なのですね!」

 千晴先輩、ぷんぷんと怒っているな。

「折笠さん、嫌なら辞めてもいいのですよ? 特に朝倉さんのことで。私はそれでも全然かまいませんから……」
「いえ、大丈夫です! 私もよく悩んだ末に決めたことですから。沙耶先輩の変態ぶりはこの体で分かっていますし……」
「そうなのですか……」

 かわいそうに、と言われんばかりの表情をされ、同情の意味を込めてか千晴先輩に頭を優しく撫でられる。ううっ、せっかく沙耶先輩を信頼した上で風紀委員会に入ったのに。いったい、これまで、沙耶先輩はパンツのことでどれだけ迷惑をかけてきたんだろう。

「朝倉さんのパンツ暴走のストッパーとして期待していますわ」
「は、はい。頑張ります」
「でも、嫌なことがあったら、私に遠慮無く相談してきてくださいね」
「ありがとうございます」
「……私、そんなに暴走しないと思うけどなぁ」

 いやいやそんなことないですって、と今は心の中で突っ込んでおこう。実際にツッコミを入れたところで沙耶先輩は何にも変わらない。
 千晴先輩やひより先輩がいるなら、風紀委員としてこれから頑張っていけそうな気がする。沙耶先輩のパンツ暴走のストッパーだけではなく、沙耶先輩に怒る千晴先輩を宥める役目にもなりそうだけれど。

「そうだ、琴実ちゃん。明日は登校してくる生徒の服装チェックがあるから、今日よりも早めに学校へ行くよ」
「分かりました」

 明日はさっそく朝から仕事があるんだ。気合いを入れないと。
 部活や委員会に入らないよりも、きっと楽しくて充実した生活を送ることができる。そんなことを思った風紀委員としての初日なのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編11が完結しました!(2025.6.20)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。  入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。  しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。  抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。  ※タイトルは「むげん」と読みます。  ※完結しました!(2020.7.29)

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

処理中です...