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第53話『夢の中で』
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トレンチコート姿の人に突然盗撮されたり、沙耶先輩に突然後ろから抱きしめられたり、日曜日になってからさっそくビックリしたことがあったけど、禄に眠れていなかったせいか、急に眠気が襲ってきた。
「ねむい……」
「琴実ちゃん、あまり眠れなかったんだよね。私のベッドでゆっくり寝ていいよ。私は十分に寝たからさ」
とか言って、昨日は私の横で寝たくせに。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
私は沙耶先輩の部屋に戻る。会長さんが寝ぼけて何かするかもしれないから、と沙耶先輩がついて行ってくれる。
すると、会長さんがふとんの上でぐっすりと眠っている。そんな会長さんの側を通り過ぎて、私は先輩のベッドへと。
「……気持ちいい」
ふかふかしていて、何よりも沙耶先輩の匂いが感じられて。ふとんを被ると沙耶先輩に包まれているような感じがして。興奮はするけど、眠気の方が勝りどんどんと気持ち良くなっていく。
「どう? 眠れそう?」
「はい。すぐに眠れそうです」
「そっか。じゃあ、おやすみ」
「……おやすみなさい」
沙耶先輩の笑顔が視界にある中でゆっくりと目を閉じる。沙耶先輩に見守られて、沙耶先輩の匂いに包まれて。あぁ、何て幸せなんだろう。
体がとても軽くて……ふわふわとした感覚。程なくして、私は眠りに落ちていくのであった。
「こらぁ、琴実。ぼうっ、としていないで食べなさい」
「……えっ?」
沙耶先輩の家のリビングのはずだけど、どうして私の目の前にワイシャツ姿の沙耶先輩とエプロン姿の会長さんが座っているんだろう?
そういえば、私も寝間着じゃなくて、昨日とは色違いのワンピース姿になっているし。
目の前には美味しそうなハンバーグが。お腹減ったなぁ。
「どうしたの? 琴実、何か悩み事でもあるの?」
「えっ、いや……」
会長さん、私を琴実って言ってきたことってあったっけ? 今まで会長さんは私のことを折笠さんって言っていたような。
「琴実ちゃん、悩みがあったら遠慮なく私や母さんに言ってくれよ」
「……は?」
沙耶先輩はそう言うけど、沙耶先輩がお父さんで会長さんがお母さん? えっ、いったいどういうことなの?
「お父さんの言う通りよ。お父さん、昔……髪のことでいじめられていたお母さんのことを助けてくれたの」
会長さんは頬を赤くしながらそう言う。この話を聞くのは3度目だし。その時のことがとても嬉しかったようだ。
「……それ、前にも聞きました」
「ははっ、母さんは父さんとの昔話をするのが好きだからなぁ」
どうやら、沙耶先輩はお父さんで会長さんはお母さんらしい。
そういえば、3人で湯船に浸かったとき先輩と会長さんに変なことを言ったから、そのせいで現実とは違う世界に迷い込んでしまったのかもしれない。それか、2人の頭がおかしくなっているのか。
いや、後者の可能性が高いよね。だって、こんなに谷間ができるほどの大きさの胸を持っている父親なんて普通はいないもん。もしかしたら、2人はおままごとをしているつもりなのかもしれない。
「ええと、沙耶先輩、会長さん……」
「ふふっ、琴実ったら……お父さんのことを沙耶先輩だって」
「よほど、私や京華に似ている子が琴実ちゃんの高校に通っているんだろうね」
いや、その通っている子があなた達なんでしょう! もう、何が何だか分からなくなってきたよ。
「それにしても、京華が作ったハンバーグはやっぱり美味しいね」
「ふふっ、だってお父さんと琴実のために愛情を込めて作ったんだもの。それに、お父さん……ハンバーグが一番好きだもんね」
沙耶先輩、ハンバーグが大好物なんだ。今度、機会があったら作ってみよう。
「お父さん、唇にソースが付いてる」
「そう? じゃあ……」
「待って。味を確かめたいから、唇を舐めちゃうね」
えっ、そ、それこそちょっと待ってよ! 2人がキスするなんて。しかも、私が見ているところで。
沙耶先輩の唇に会長さんの唇がどんどん近づいていく。そんな、そんな――!
「しちゃだめええっ!」
気がつくと、見えているのは薄暗い天井。
「……夢、だったんだ」
昨日のお風呂で沙耶先輩と会長さんに抱きしめられたから、まるで2人の子供みたいだって面白おかしく言っただけなのに、夢でもそういう光景を見てしまうと嫌になっちゃうもんだなぁ。
沙耶先輩と会長さんがキスしそうな場面を見たからか、冷や汗掻いちゃってる。本当に……夢で良かった。
「琴実ちゃん、大丈夫?」
沙耶先輩は部屋の扉を開け、焦った様子で私にそんなことを言ってきた。そんな先輩は夢とは違って黒いTシャツなので一安心。
「ごめんなさい、変な夢を見ちゃっただけですから」
「……そっか。それなら良かったけれど、物凄い叫び声が聞こえたからさ」
そう言うと、先輩は安心したのか優しい笑みを見せる。
そういえば、もう会長さんも起きているんだ。今は何時なのか部屋の中の時計を見ると、午前9時を回っていた。
「沙耶、折笠さんの様子はどう?」
「大丈夫だったよ」
すると、先輩の隣には白いパーカー姿の会長さんが。会長さんも夢で見たときとは違う服装で一安心。だけど、あんな夢を見た後だからか、先輩と会長さんが側にいる場面を見ると胸が締め付けられてしまう。
「変な夢を見ちゃったんだって」
「あら、そうなの。朝早く、バルコニーにいるとき誰かに盗撮されたんでしょう? そのせいで、変な夢を見ちゃったのかもしれないわね」
いいえ、原因は自分自身にあります。
というか、沙耶先輩……私が眠っている間に今朝あったことを会長さんに話していてくれたんだ。
「琴実ちゃん、朝ご飯食べる? 私達は1時間くらい前に食べちゃったけど……」
「全然気にしていませんよ。その……いただきます」
むしろ、1人で食べる方が夢のようにならずに済みそうでいいから。
3時間くらいしか眠っていないのに、なぜかいつも以上にスッキリとした目覚めになったのであった。
「ねむい……」
「琴実ちゃん、あまり眠れなかったんだよね。私のベッドでゆっくり寝ていいよ。私は十分に寝たからさ」
とか言って、昨日は私の横で寝たくせに。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
私は沙耶先輩の部屋に戻る。会長さんが寝ぼけて何かするかもしれないから、と沙耶先輩がついて行ってくれる。
すると、会長さんがふとんの上でぐっすりと眠っている。そんな会長さんの側を通り過ぎて、私は先輩のベッドへと。
「……気持ちいい」
ふかふかしていて、何よりも沙耶先輩の匂いが感じられて。ふとんを被ると沙耶先輩に包まれているような感じがして。興奮はするけど、眠気の方が勝りどんどんと気持ち良くなっていく。
「どう? 眠れそう?」
「はい。すぐに眠れそうです」
「そっか。じゃあ、おやすみ」
「……おやすみなさい」
沙耶先輩の笑顔が視界にある中でゆっくりと目を閉じる。沙耶先輩に見守られて、沙耶先輩の匂いに包まれて。あぁ、何て幸せなんだろう。
体がとても軽くて……ふわふわとした感覚。程なくして、私は眠りに落ちていくのであった。
「こらぁ、琴実。ぼうっ、としていないで食べなさい」
「……えっ?」
沙耶先輩の家のリビングのはずだけど、どうして私の目の前にワイシャツ姿の沙耶先輩とエプロン姿の会長さんが座っているんだろう?
そういえば、私も寝間着じゃなくて、昨日とは色違いのワンピース姿になっているし。
目の前には美味しそうなハンバーグが。お腹減ったなぁ。
「どうしたの? 琴実、何か悩み事でもあるの?」
「えっ、いや……」
会長さん、私を琴実って言ってきたことってあったっけ? 今まで会長さんは私のことを折笠さんって言っていたような。
「琴実ちゃん、悩みがあったら遠慮なく私や母さんに言ってくれよ」
「……は?」
沙耶先輩はそう言うけど、沙耶先輩がお父さんで会長さんがお母さん? えっ、いったいどういうことなの?
「お父さんの言う通りよ。お父さん、昔……髪のことでいじめられていたお母さんのことを助けてくれたの」
会長さんは頬を赤くしながらそう言う。この話を聞くのは3度目だし。その時のことがとても嬉しかったようだ。
「……それ、前にも聞きました」
「ははっ、母さんは父さんとの昔話をするのが好きだからなぁ」
どうやら、沙耶先輩はお父さんで会長さんはお母さんらしい。
そういえば、3人で湯船に浸かったとき先輩と会長さんに変なことを言ったから、そのせいで現実とは違う世界に迷い込んでしまったのかもしれない。それか、2人の頭がおかしくなっているのか。
いや、後者の可能性が高いよね。だって、こんなに谷間ができるほどの大きさの胸を持っている父親なんて普通はいないもん。もしかしたら、2人はおままごとをしているつもりなのかもしれない。
「ええと、沙耶先輩、会長さん……」
「ふふっ、琴実ったら……お父さんのことを沙耶先輩だって」
「よほど、私や京華に似ている子が琴実ちゃんの高校に通っているんだろうね」
いや、その通っている子があなた達なんでしょう! もう、何が何だか分からなくなってきたよ。
「それにしても、京華が作ったハンバーグはやっぱり美味しいね」
「ふふっ、だってお父さんと琴実のために愛情を込めて作ったんだもの。それに、お父さん……ハンバーグが一番好きだもんね」
沙耶先輩、ハンバーグが大好物なんだ。今度、機会があったら作ってみよう。
「お父さん、唇にソースが付いてる」
「そう? じゃあ……」
「待って。味を確かめたいから、唇を舐めちゃうね」
えっ、そ、それこそちょっと待ってよ! 2人がキスするなんて。しかも、私が見ているところで。
沙耶先輩の唇に会長さんの唇がどんどん近づいていく。そんな、そんな――!
「しちゃだめええっ!」
気がつくと、見えているのは薄暗い天井。
「……夢、だったんだ」
昨日のお風呂で沙耶先輩と会長さんに抱きしめられたから、まるで2人の子供みたいだって面白おかしく言っただけなのに、夢でもそういう光景を見てしまうと嫌になっちゃうもんだなぁ。
沙耶先輩と会長さんがキスしそうな場面を見たからか、冷や汗掻いちゃってる。本当に……夢で良かった。
「琴実ちゃん、大丈夫?」
沙耶先輩は部屋の扉を開け、焦った様子で私にそんなことを言ってきた。そんな先輩は夢とは違って黒いTシャツなので一安心。
「ごめんなさい、変な夢を見ちゃっただけですから」
「……そっか。それなら良かったけれど、物凄い叫び声が聞こえたからさ」
そう言うと、先輩は安心したのか優しい笑みを見せる。
そういえば、もう会長さんも起きているんだ。今は何時なのか部屋の中の時計を見ると、午前9時を回っていた。
「沙耶、折笠さんの様子はどう?」
「大丈夫だったよ」
すると、先輩の隣には白いパーカー姿の会長さんが。会長さんも夢で見たときとは違う服装で一安心。だけど、あんな夢を見た後だからか、先輩と会長さんが側にいる場面を見ると胸が締め付けられてしまう。
「変な夢を見ちゃったんだって」
「あら、そうなの。朝早く、バルコニーにいるとき誰かに盗撮されたんでしょう? そのせいで、変な夢を見ちゃったのかもしれないわね」
いいえ、原因は自分自身にあります。
というか、沙耶先輩……私が眠っている間に今朝あったことを会長さんに話していてくれたんだ。
「琴実ちゃん、朝ご飯食べる? 私達は1時間くらい前に食べちゃったけど……」
「全然気にしていませんよ。その……いただきます」
むしろ、1人で食べる方が夢のようにならずに済みそうでいいから。
3時間くらいしか眠っていないのに、なぜかいつも以上にスッキリとした目覚めになったのであった。
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