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第63話『おとか』
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私と沙耶先輩は、白鳥さんと深津さんから昨日提出した被害届の内容について確認されることに。ただ、相手が美人な白鳥さんと可愛らしい深津さんなので、警察官の方と話している感覚があまりないな。
白鳥さんが私達から話を聞き、その内容を深津さんがホワイトボードに書いていく。
「こういう感じで大丈夫でしょうか、麻美先輩」
「そうね、菜々さん。上手にまとまっているよ。今、分かっているのは、朝倉さんを盗撮したのは1年1組の掛布真白。そして、彼女はこの学校に存在する変態組織『ダブル・ブレッド』の会長『ブラン』と名乗る人物から、SNSを通じて朝倉さんを盗撮するように命令を受けたことか……」
警察官の人が腕を組みながら真剣な表情でそう言うと、『ダブル・ブレッド』がとても悪い組織に思えてきた。実際に罪を犯しているけど。
「そうですね、麻美先輩。分かっていないのは、掛布さんに命令した『ブラン』の正体と折笠さんを盗撮した犯人ですね。そして、2つの盗撮には関連があるかどうか。それとも『ブラン』が折笠さんを盗撮したのか」
「そうね。折笠さんと朝倉さんは同じ風紀委員会メンバーで、私達のように一緒に行動している。関連がある可能性が高いと考えた方がよさそうだね。ブランと折笠さんの盗撮犯が同一人物である可能性も捨てきれないか。ただ、折笠さんの場合は盗撮までされたかどうかは不明だけど……」
「ご、ごめんなさい。被害届を出したのに肝心なところが不確定で……」
ただ、カメラのレンズを私の方に向けられていて、私が声をかけたら逃げたというのが盗撮されたかもしれない根拠になってはいる。
「気にしないでください。盗撮がなかったのであれば、それはいいことじゃないですか。もちろん、盗撮の事実があったと明らかになった場合には、犯人を明らかにすればいいんですから」
「……そうですね。お願いします」
こうして警察の方々が動いてくれるんだ。捜査はプロの方に任せて、私達は風紀委員としてできることをやっていくしかないよね。
「麻美。警察としてこれからどう動いていくんだ。捜査方針ってやつ。被害届を出した生徒の担任教師として、大まかにでも知っておきたいんだが」
「そうですね……折笠さんが盗撮されたことが事実かどうか、事実なら犯人は誰かについて捜査していこうと思います。被害届に書かれたことを基に調べる予定です。あとは、掛布真白という生徒と会って、『ブラン』と名乗る人物は誰なのかを調べようと考えていますが」
「なるほど。ただ、掛布については先週……学校側で話を聞いたけど、彼女がダブル・ブレッドのメンバーであることが分かっただけで、『ブラン』の正体までは辿り着かなかった。一応、あとで掛布真白の住所を教えておくよ」
「ありがとうございます。菜々さん、一旦、学校を出て折笠さんが盗撮されたかもしれない場所に行こうか」
「そうですね」
まずは沙耶先輩のマンションに行って、聞き込み調査や防犯カメラの映像を確認したりするのかな。警察の人が学校から離れるのは不安だけど、教室では理沙ちゃんが私のことを守ってくれる。
「麻美、深津さん。うちの生徒のために捜査をよろしくお願いします」
「任せてください、真衣子先輩」
「警察の名にかけて麻美先輩と一緒に頑張ります!」
「何か分かったら風紀委員会顧問の恵か私の方に連絡をください。もちろん、こちらも何かあったときにはお二人に連絡しますので」
「分かりました。では、捜査に向かう前に掛布真白の自宅の住所を教えて頂けますか」
「ああ。麻美、職員室まで一緒に来てくれ」
東雲先生と白鳥さんは部屋から出て行った。
「何だか、刑事ドラマみたいだね、ことみん」
「ドラマの撮影ならどれだけ良かったことか」
でも、今のやり取りを見た感じだと、白鳥さんはとてもやり手の警察官に見えたし、菜々さんもそんな彼女のことを、職場の上司であり先輩として尊敬しているように感じた。それはドラマっぽいと思う。
「ドラマみたいに犯人がすぐに分かればいいけどね、琴実ちゃん。ついでに『ブラン』の正体も」
「そうですね。あと、ダブル・ブレッドも破滅してほしいですよ」
「犯罪をやっちゃったからね。変革か破滅のどっちしかないだろうね、あの組織は」
そうは言うけど、沙耶先輩は普段通りの爽やかな笑みを浮かべている。ダブル・ブレッドのメンバーに盗撮された被害者なのにな。
「私は破滅した方がいいと思いますけどね。変態組織ですから!」
「人を傷つけたり、罪を犯したりしたらダメですけど、そういうことをしないようにすれば破滅まで追い込まなくていいと思いますけどね」
「あなたは優しすぎますわ、ひよりさん! あんな組織はなくなってしまえばいいのですよ!」
「千晴先輩が過激すぎるんだと思いますよ」
どうやら、千晴先輩は破滅派で、ひより先輩は変革派のようだ。それは予想通りだったけど、そもそも沙耶先輩が破滅を選択肢に挙げるのは意外だなと思った。パンツ大好き朝倉さんだから。
「風紀委員会の中で見事に意見が割れているわね。実際に例の組織を変革するか、破滅させるかは『ブラン』が明らかになってから考えればいいんじゃない? 沙耶もそう思うでしょう?」
「京華の言う通りだね。生徒会としては何か動くの?」
「今のところは警察と風紀委員会に任せようと思ってる。もちろん、生徒会として何か協力してほしいことがあれば遠慮なく言って」
「ありがとう、京華」
悔しいけど、沙耶先輩と会長さんのツーショットはとても絵になる。そして、この2人が学校の中にいるなら安心できるから不思議だ。
「あら、そろそろ朝礼の時間ね。みんな、ひとまずは教室に行きなさい。唐沢さん、教室で折笠さんのボディーガードをよろしくね」
「任せてください! めぐみん先生!」
「ふふっ、そういう風に呼ばれるのは初めてかな。もちろん、そう呼んでもらってかまわないわ」
秋川先生、とても嬉しそうだ。私のことは「ことみん」で、秋川先生のことは「めぐみん先生」……名前の末尾が「み」だと「みん」にしたくなるのかな、理沙ちゃんは。
「唐沢さん、琴実ちゃんのことをよろしくね。何かあったら風紀委員会のメンバーや先生達に連絡して」
「分かりました、朝倉先輩!」
理沙ちゃん、とてもやる気になってくれている。彼女に守られているからといって気を抜いてしまわないように気を付けないと。
理沙ちゃんが沙耶先輩達と連絡先を交換し終わった後、一緒に教室へと向かう。ただ、誰がダブル・ブレッドのメンバーなのか。誰が『ブラン』なのか分からないので、周りをキョロキョロしてしまった。そのことで私達が注目を浴びてしまうことに。
「周りに注意しながら歩くって結構疲れるんだね、ことみん……」
「気が張っちゃうもんね。それに、こんな経験今までにないし仕方ないって」
早くこんなに周りを気にすることなく、平穏な高校生活を送りたいよ。
苗字が「おりかさ」と「からさわ」なのもあって、理沙ちゃんの席は私の席の後ろだ。ボディーガードをしてもらうには最適かもしれない。
「あたしが後ろから見守っているから安心して」
「ありがとう、心強いよ」
「でも、ことみんの後ろ姿が大好きだから、たまに、ことみんのことしか見なくなっちゃうかもしれない」
「それで癒やされるならかまわないけど」
気を張ってばかりだと疲れちゃうし、授業もあるからね。それにしても、後ろ姿が好きだっていう人もいるんだ。
「ありがとね。あと、たまにことみんの髪の匂いを嗅いでいるんだ。それにも癒やされるんだよね」
「へ、へえ……」
髪の匂いを嗅がれていたことは全然気付かなかった。姿に癒やされ、匂いに癒やされ……理沙ちゃん、沙耶先輩と重なる部分があるなぁ。
「あっ、こっそりと嗅いでいたのに言ったらダメじゃん」
しまった、と理沙ちゃんはがっかりとした表情を見せる。『ブラン』もこのくらいにおっちょこちょいならいいのに。
「髪の匂いを嗅ぐくらいならかまわないよ」
「ありがとう、ことみん! じゃあ、ボディーガードをするための英気を養うために……」
そう言うと、理沙ちゃんは私のことを後ろから抱きしめて、
「うん……いい匂い」
私の髪の匂いを堪能しているようだ。
何人かのクラスメイトが私達のことを見ているけど、変な風に思っていないかどうか心配だ。この中にダブル・ブレッドのメンバーがいるのかな。
「ありがとう、ことみん。これでことみんのことを守ることができると思う!」
「そ、そうなんだね。よろしくお願いします」
「任せて!」
理沙ちゃん、物凄くやる気に満ちた様子になっている。そんな彼女がすぐ後ろにいてくれると安心かな。
今日はずっと理沙ちゃんと一緒に過ごしたけど、私をジロジロと見てきたり、怪しい行動をしていたりするような生徒はいなかったのであった。
白鳥さんが私達から話を聞き、その内容を深津さんがホワイトボードに書いていく。
「こういう感じで大丈夫でしょうか、麻美先輩」
「そうね、菜々さん。上手にまとまっているよ。今、分かっているのは、朝倉さんを盗撮したのは1年1組の掛布真白。そして、彼女はこの学校に存在する変態組織『ダブル・ブレッド』の会長『ブラン』と名乗る人物から、SNSを通じて朝倉さんを盗撮するように命令を受けたことか……」
警察官の人が腕を組みながら真剣な表情でそう言うと、『ダブル・ブレッド』がとても悪い組織に思えてきた。実際に罪を犯しているけど。
「そうですね、麻美先輩。分かっていないのは、掛布さんに命令した『ブラン』の正体と折笠さんを盗撮した犯人ですね。そして、2つの盗撮には関連があるかどうか。それとも『ブラン』が折笠さんを盗撮したのか」
「そうね。折笠さんと朝倉さんは同じ風紀委員会メンバーで、私達のように一緒に行動している。関連がある可能性が高いと考えた方がよさそうだね。ブランと折笠さんの盗撮犯が同一人物である可能性も捨てきれないか。ただ、折笠さんの場合は盗撮までされたかどうかは不明だけど……」
「ご、ごめんなさい。被害届を出したのに肝心なところが不確定で……」
ただ、カメラのレンズを私の方に向けられていて、私が声をかけたら逃げたというのが盗撮されたかもしれない根拠になってはいる。
「気にしないでください。盗撮がなかったのであれば、それはいいことじゃないですか。もちろん、盗撮の事実があったと明らかになった場合には、犯人を明らかにすればいいんですから」
「……そうですね。お願いします」
こうして警察の方々が動いてくれるんだ。捜査はプロの方に任せて、私達は風紀委員としてできることをやっていくしかないよね。
「麻美。警察としてこれからどう動いていくんだ。捜査方針ってやつ。被害届を出した生徒の担任教師として、大まかにでも知っておきたいんだが」
「そうですね……折笠さんが盗撮されたことが事実かどうか、事実なら犯人は誰かについて捜査していこうと思います。被害届に書かれたことを基に調べる予定です。あとは、掛布真白という生徒と会って、『ブラン』と名乗る人物は誰なのかを調べようと考えていますが」
「なるほど。ただ、掛布については先週……学校側で話を聞いたけど、彼女がダブル・ブレッドのメンバーであることが分かっただけで、『ブラン』の正体までは辿り着かなかった。一応、あとで掛布真白の住所を教えておくよ」
「ありがとうございます。菜々さん、一旦、学校を出て折笠さんが盗撮されたかもしれない場所に行こうか」
「そうですね」
まずは沙耶先輩のマンションに行って、聞き込み調査や防犯カメラの映像を確認したりするのかな。警察の人が学校から離れるのは不安だけど、教室では理沙ちゃんが私のことを守ってくれる。
「麻美、深津さん。うちの生徒のために捜査をよろしくお願いします」
「任せてください、真衣子先輩」
「警察の名にかけて麻美先輩と一緒に頑張ります!」
「何か分かったら風紀委員会顧問の恵か私の方に連絡をください。もちろん、こちらも何かあったときにはお二人に連絡しますので」
「分かりました。では、捜査に向かう前に掛布真白の自宅の住所を教えて頂けますか」
「ああ。麻美、職員室まで一緒に来てくれ」
東雲先生と白鳥さんは部屋から出て行った。
「何だか、刑事ドラマみたいだね、ことみん」
「ドラマの撮影ならどれだけ良かったことか」
でも、今のやり取りを見た感じだと、白鳥さんはとてもやり手の警察官に見えたし、菜々さんもそんな彼女のことを、職場の上司であり先輩として尊敬しているように感じた。それはドラマっぽいと思う。
「ドラマみたいに犯人がすぐに分かればいいけどね、琴実ちゃん。ついでに『ブラン』の正体も」
「そうですね。あと、ダブル・ブレッドも破滅してほしいですよ」
「犯罪をやっちゃったからね。変革か破滅のどっちしかないだろうね、あの組織は」
そうは言うけど、沙耶先輩は普段通りの爽やかな笑みを浮かべている。ダブル・ブレッドのメンバーに盗撮された被害者なのにな。
「私は破滅した方がいいと思いますけどね。変態組織ですから!」
「人を傷つけたり、罪を犯したりしたらダメですけど、そういうことをしないようにすれば破滅まで追い込まなくていいと思いますけどね」
「あなたは優しすぎますわ、ひよりさん! あんな組織はなくなってしまえばいいのですよ!」
「千晴先輩が過激すぎるんだと思いますよ」
どうやら、千晴先輩は破滅派で、ひより先輩は変革派のようだ。それは予想通りだったけど、そもそも沙耶先輩が破滅を選択肢に挙げるのは意外だなと思った。パンツ大好き朝倉さんだから。
「風紀委員会の中で見事に意見が割れているわね。実際に例の組織を変革するか、破滅させるかは『ブラン』が明らかになってから考えればいいんじゃない? 沙耶もそう思うでしょう?」
「京華の言う通りだね。生徒会としては何か動くの?」
「今のところは警察と風紀委員会に任せようと思ってる。もちろん、生徒会として何か協力してほしいことがあれば遠慮なく言って」
「ありがとう、京華」
悔しいけど、沙耶先輩と会長さんのツーショットはとても絵になる。そして、この2人が学校の中にいるなら安心できるから不思議だ。
「あら、そろそろ朝礼の時間ね。みんな、ひとまずは教室に行きなさい。唐沢さん、教室で折笠さんのボディーガードをよろしくね」
「任せてください! めぐみん先生!」
「ふふっ、そういう風に呼ばれるのは初めてかな。もちろん、そう呼んでもらってかまわないわ」
秋川先生、とても嬉しそうだ。私のことは「ことみん」で、秋川先生のことは「めぐみん先生」……名前の末尾が「み」だと「みん」にしたくなるのかな、理沙ちゃんは。
「唐沢さん、琴実ちゃんのことをよろしくね。何かあったら風紀委員会のメンバーや先生達に連絡して」
「分かりました、朝倉先輩!」
理沙ちゃん、とてもやる気になってくれている。彼女に守られているからといって気を抜いてしまわないように気を付けないと。
理沙ちゃんが沙耶先輩達と連絡先を交換し終わった後、一緒に教室へと向かう。ただ、誰がダブル・ブレッドのメンバーなのか。誰が『ブラン』なのか分からないので、周りをキョロキョロしてしまった。そのことで私達が注目を浴びてしまうことに。
「周りに注意しながら歩くって結構疲れるんだね、ことみん……」
「気が張っちゃうもんね。それに、こんな経験今までにないし仕方ないって」
早くこんなに周りを気にすることなく、平穏な高校生活を送りたいよ。
苗字が「おりかさ」と「からさわ」なのもあって、理沙ちゃんの席は私の席の後ろだ。ボディーガードをしてもらうには最適かもしれない。
「あたしが後ろから見守っているから安心して」
「ありがとう、心強いよ」
「でも、ことみんの後ろ姿が大好きだから、たまに、ことみんのことしか見なくなっちゃうかもしれない」
「それで癒やされるならかまわないけど」
気を張ってばかりだと疲れちゃうし、授業もあるからね。それにしても、後ろ姿が好きだっていう人もいるんだ。
「ありがとね。あと、たまにことみんの髪の匂いを嗅いでいるんだ。それにも癒やされるんだよね」
「へ、へえ……」
髪の匂いを嗅がれていたことは全然気付かなかった。姿に癒やされ、匂いに癒やされ……理沙ちゃん、沙耶先輩と重なる部分があるなぁ。
「あっ、こっそりと嗅いでいたのに言ったらダメじゃん」
しまった、と理沙ちゃんはがっかりとした表情を見せる。『ブラン』もこのくらいにおっちょこちょいならいいのに。
「髪の匂いを嗅ぐくらいならかまわないよ」
「ありがとう、ことみん! じゃあ、ボディーガードをするための英気を養うために……」
そう言うと、理沙ちゃんは私のことを後ろから抱きしめて、
「うん……いい匂い」
私の髪の匂いを堪能しているようだ。
何人かのクラスメイトが私達のことを見ているけど、変な風に思っていないかどうか心配だ。この中にダブル・ブレッドのメンバーがいるのかな。
「ありがとう、ことみん。これでことみんのことを守ることができると思う!」
「そ、そうなんだね。よろしくお願いします」
「任せて!」
理沙ちゃん、物凄くやる気に満ちた様子になっている。そんな彼女がすぐ後ろにいてくれると安心かな。
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