131 / 202
続編-ゴールデンウィーク編-
第30話『お風呂上がりのマッサージ』
しおりを挟む
お風呂から出たサクラと俺は、サクラの部屋にいる和奏姉さん達にお風呂が空いたことを伝える。
いよいよ入浴できるからか、和奏姉さんと一紗はとても楽しそうな様子。杏奈も夕食直後とは違って不安そうな感じは一切ない。3人は1階へ降りていった。楽しい時間になれば何よりだ。
サクラは俺の部屋でお風呂上がりのスキンケアを行なう。昔は見なかった光景なので、サクラも大人になったんだな……と自分の髪をドライヤーで乾かしながら思う。
スキンケアを行なった後、俺はサクラの髪をドライヤーで乾かしてあげることに。昔よりも髪が長くなったけど、毛先までケアが行き届いている。サラサラで柔らかい髪が傷まないように丁寧に乾かしていった。
「これで大丈夫かな?」
髪を乾かし終わったので確認を求めると、サクラは自分の髪を触る。すると、すぐにサクラは優しい笑顔になって。
「うん、大丈夫だよ。ありがとう。ダイちゃんは髪を乾かすのが本当に上手だよね」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。和奏姉さんがここに住んでいた頃は、姉さんの髪を定期的に乾かしていたからかな」
「それはありそうだね」
サクラは持ち前の可愛い笑顔でそう言った。
互いの姿を見せ合ったこともあり、浴室では普段よりも緊張感があったけど、いつも通りの空気感に戻ったかな。
「ねえ、ダイちゃん。和奏ちゃん達がお風呂に出るまでの間……何をしようか? 昨日の夕方から、2人きりの時間ってあまりなかったし」
「そうだなぁ。……急に言われると思いつかないな。こうして2人きりでいられるだけで幸せっていうか」
「ダイちゃんらしいね。じゃあ、とりあえずは何もせずにのんびりしようか」
「そうだな」
俺とサクラはベッドに寄りかかり、身を寄り添い合って座る。サクラは俺の左肩に頭を乗せて。
お風呂から出てあまり時間が経っていないこともあり、寝間着を着ていてもサクラの温もりがはっきり伝わってくる。あと、少しの間でも体を見せ合ったからなのか、いつも以上に柔らかさも感じて。
「やっぱりいいなぁ。ダイちゃんとのんびりするの。もちろん、みんなと楽しく過ごすのも好きだけど」
「俺もだよ。和奏姉さん達のおかげで、サクラと2人きりの時間の良さを再確認できてる」
「そうだね」
いずれは和奏姉さん達が戻ってくる。限られた時間だからこそ、サクラとの2人きりの時間を堪能したい。
サクラの顔を見ると、柔和な笑顔をしているサクラと目が合う。そんなサクラに吸い込まれるようにして、俺からキスした。サクラの唇はいつも以上に温かくて柔らかい。
唇と離すと、サクラは顔を赤くした状態で俺を見つめている。
「……2人きりのキスはダイちゃんに集中できるからいいね」
「ああ。それに、誰かに見られている恥ずかしさがないもんな」
「そうだね。……ところで、ダイちゃん。頼みたいことがあるんだけど……いいかな?」
「もちろん。どんなことだろう?」
俺がそう問いかけると、サクラの顔の赤みがさらに強くなる。……どんなことを俺に頼もうとしているんだ?
「……マ、マッサージをしてほしいの」
「マッサージか。サクラが肩凝るなんて珍しいな。それとも脚とか?」
「う、ううん。肩とか脚じゃなくて……む、胸です。バストアップのマッサージです」
「……ば、ばすとあっぷまっさーじ?」
「訳が分からないって感じの反応だね」
「……肩や脚ならともかく、胸のマッサージをしてほしいって言われるとは思わなかったからさ」
一瞬、夢じゃないかと思ったほどだ。バストアップマッサージを頼みたいから、さっき顔の赤みが強くなっていたのか。
「でも、どうして?」
「……ダイちゃん、前に大きい胸が好きだって言っていたでしょ? 私も今よりも大きな胸にしたいし。それで、昨日、和奏ちゃんと青葉ちゃんと一緒にお風呂に入ったとき、どうすれば胸が大きくなるか相談したの」
昨日のお風呂の時間にそんなことを話していたのか。和奏姉さんは確定だけど、小泉さんもサクラよりは胸が大きそうだもんな。
「そうしたら、恋人のダイちゃんに揉んでもらうのがいいって言われて。マッサージの時間帯もお風呂上がりや寝る前がいいらしいの。だから、さっそく試したくて……」
「だから、俺に……バ、バストアップマッサージをしてほしいって頼んだと」
「そういうこと。……協力してくれる?」
そう言って、上目遣いで俺を見てくるサクラ。こういう風に頼まれたら断るわけにはいかない。
「分かった。協力するよ」
「ありがとう、ダイちゃん」
「でも、俺は胸の方のマッサージの知識や経験はないぞ」
「そこは大丈夫。日課でマッサージをやっているから、ポイントは教えるよ」
「そ、そうか」
もしかしたら、サクラが今の胸の大きさになれたのは成長期だけでなく、マッサージなど日頃の行いの賜物でもあるのかもしれない。
サクラはゆっくりと立ち上がると、上の寝間着を脱いで下着姿となる。桃色の下着をつけているのか。とてもよく似合っているな。
マッサージしやすいように、俺達は向かい合う形でクッションに座った。
「さっき全て見せたけど、触られるのは恥ずかしいから下着姿で」
「了解」
その方が俺も理性が保ちやすそうで助かる。
その後、サクラにマッサージのやり方について教えてもらう。実際に自分の手を使って動きを教えてくれるので分かりやすい。
「こんな感じ。どうかな?」
「分かりやすかったよ。こういうことは初めてだから、実際にやってみたら上手にできないかもしれないけど」
「最初から上手くできる人はそうそういないと思うよ。だから、その……よろしくお願いします」
「……こちらこそよろしくお願いします。じゃあ……触るよ」
「う、うん!」
一度、深呼吸をして、俺は両手をサクラの胸部にそっと触れる。その瞬間にサクラは「んっ」と可愛らしく声を漏らして、体をビクつかせる。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。こういう感じで触られるのは初めてだから、変な声が出ちゃった」
「そうか。じゃあ……さっき教えてもらった通りにやってみる」
「……うん」
俺はサクラに教えてもらった通りに両手を動かす。
サクラの肌はスベスベしていて、結構温かくて。ボディーソープの甘い匂いもして。胸だから柔らかさも感じられて。たまにサクラの甘い声も聞こえるから、かなりドキドキしてしまう。ただ、今はサクラにお願いされたマッサージをしているだけだ。俺はサクラのマッサージ師なんだ。そんな自己暗示をかけながら、何とか理性を保たせる。
「サクラ。痛かったり、変な感じがしたりしたら遠慮なく言ってくれよ」
「ありがとう。とりあえず、今のところは大丈夫だよ。むしろ気持ちがいいくらい。これなら効果ありそう。ダイちゃん、初めてって言っていたけど結構上手だよ。本当にこれが初めてなの?」
「初めてに決まってるだろ。それに、これからもこんなことはサクラにしかしない」
和奏姉さんが頼んでくる可能性はありそうだけど。
サクラは優しい笑みを浮かべ、俺のことを見てくる。
「……嬉しい。これからも定期的にしてもらおうかな?」
「そのときは言ってくれ。俺は……一緒に住んでいる恋人なんだから。サクラの願いを叶えることに協力したいし」
「ありがとう。……それにしても、本当に上手だよ。勇気を出してダイちゃんに言ってみて正解だった」
えへへっ、とサクラは赤くなった顔に嬉しそうな笑みを浮かべてくれる。初めてだし上手くできるか不安だったけど、満足そうで良かった。これでサクラのバストアップに少しでも役に立つのなら嬉しい。
『なかなかいい感じにしているのね』
『そ、そんなに大きな声を出したら、先輩方にバレてしまいますって』
『杏奈ちゃんも声大きいけどね。この時間だし、あたし達もいるから違うことをしていると思うけどなぁ』
扉の向こうから一紗達の声が聞こえてくる。お風呂から上がったのか。時計を見ると俺達が部屋に戻ってから30分以上経っていた。
「いつの間にか時間が経っていたんだね」
「スキンケアや髪を乾かすこともしていたからなぁ」
「それじゃ時間の進みも早いわけだ。じゃあ、今回はこのくらいで。普段よりも短い時間だけど、ちゃんと効果が出そうな気がする」
「そう思えるようにできて良かったよ」
俺が両手を離すと、サクラはすぐに上の寝間着を着る。
よし、これで扉を開けても大丈夫そうだな。そう思ってゆっくり立ち上がり、部屋の扉を開けると……そこには寝間着を着た一紗達の姿が。姉さんは昨日と変わりないけど、一紗と杏奈の顔はお風呂上がりにしてはやけに赤い気がする。長く湯船に浸かったのかな。それとも、2人にはお湯が熱かったとか?
「3人ともおかえり。一紗と杏奈は顔が赤いけど、2人にはうちのお湯は熱かったか?」
「本当だ。2人とも顔赤い」
気づけば、俺のすぐ横にサクラが立っている。
「あっ、いえ……とてもいい湯加減でしたよ。この顔の赤さは何と言いますか……」
「お取り込み中のところ、申し訳なか――」
「ちょ、ちょっと一紗先輩」
杏奈は慌てた様子で一紗の口を右手で塞ぐ。
「お取り込み中? 何のことだ?」
俺がそう言うと、一紗も杏奈もきょとんとした様子になる。
一紗は自分の口を塞いでいる杏奈の右手を離す。
「だって、その……2人の会話を聞いていたら……キスよりも先的な行為をおっぱじめているんじゃないかと思って」
「し、してないよそんなこと!」
サクラは一紗と杏奈よりも顔を赤くして反論する。
さっきまでのサクラとの会話を思い出すと……ああ、なるほど。
「声だけ聞いていたら、その……俺とサクラがそういうことをしていたんじゃないかと勘違いしても仕方ないか」
「……恥ずかしながら、あたしも一紗先輩のようなことを考えてしまいました」
だから、扉を開けたとき、一紗と杏奈は顔がかなり赤くなっていたのか。和奏姉さんは違うことをしていたんじゃないかと思っていたようだけど。
「それで、実際は大輝とフミちゃんは何をしていたの?」
「……ダ、ダイちゃんに胸のマッサージをしてもらっていたんです」
サクラがそう言うと、和奏姉さんは落ち着いた笑みを見せる。
「やっぱり。昨日のお風呂であたしと青葉ちゃんがアドバイスしたものね。胸を大きくするなら、恋人の大輝にマッサージしてもらうといいじゃないかって」
「はい。バストアップマッサージはお風呂上がりに効果があるといいますし、ダイちゃんと2人きりの時間を作れたので、さっそく試したいと思いまして」
「……そういうことだったのね」
「バストアップのマッサージでしたか……」
一紗と杏奈の顔の赤みが薄れてゆく。
サクラがしっかりと説明したことや、マッサージしようとしたきっかけが前日の和奏姉さんと小泉さんのアドバイスなのもあってか、一紗と杏奈は信じてくれたようだ。
「あたしから見れば、文香先輩の胸はそれなりにあっていいなと思えますが。目標にするのにいいと思いまして」
「そう言ってくれるのは嬉しいな。ただ、個人的には……もっと大きくなりたくて」
「そうですか。目標の大きさが自分から遠くなるかもしれないのは寂しいですが、応援します。……ちなみに、さっき一紗先輩と和奏さんの胸を見たんですけど……凄かったです。ご立派で」
「ありがとう。ただ、一紗ちゃんは本当に大きいよね。あたしよりあるもん」
「杏奈さんとお姉様にそう言われると嬉しいですね。お姉様は美しくて、杏奈さんは可愛い胸だったわ」
「……どうもです」
杏奈は照れくさそうにそう言うと、右手を自分の胸に当てていた。
それからは、俺は寝る直前まで、サクラ達と自分の部屋でアニメを観たりしながら過ごすのであった。
いよいよ入浴できるからか、和奏姉さんと一紗はとても楽しそうな様子。杏奈も夕食直後とは違って不安そうな感じは一切ない。3人は1階へ降りていった。楽しい時間になれば何よりだ。
サクラは俺の部屋でお風呂上がりのスキンケアを行なう。昔は見なかった光景なので、サクラも大人になったんだな……と自分の髪をドライヤーで乾かしながら思う。
スキンケアを行なった後、俺はサクラの髪をドライヤーで乾かしてあげることに。昔よりも髪が長くなったけど、毛先までケアが行き届いている。サラサラで柔らかい髪が傷まないように丁寧に乾かしていった。
「これで大丈夫かな?」
髪を乾かし終わったので確認を求めると、サクラは自分の髪を触る。すると、すぐにサクラは優しい笑顔になって。
「うん、大丈夫だよ。ありがとう。ダイちゃんは髪を乾かすのが本当に上手だよね」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。和奏姉さんがここに住んでいた頃は、姉さんの髪を定期的に乾かしていたからかな」
「それはありそうだね」
サクラは持ち前の可愛い笑顔でそう言った。
互いの姿を見せ合ったこともあり、浴室では普段よりも緊張感があったけど、いつも通りの空気感に戻ったかな。
「ねえ、ダイちゃん。和奏ちゃん達がお風呂に出るまでの間……何をしようか? 昨日の夕方から、2人きりの時間ってあまりなかったし」
「そうだなぁ。……急に言われると思いつかないな。こうして2人きりでいられるだけで幸せっていうか」
「ダイちゃんらしいね。じゃあ、とりあえずは何もせずにのんびりしようか」
「そうだな」
俺とサクラはベッドに寄りかかり、身を寄り添い合って座る。サクラは俺の左肩に頭を乗せて。
お風呂から出てあまり時間が経っていないこともあり、寝間着を着ていてもサクラの温もりがはっきり伝わってくる。あと、少しの間でも体を見せ合ったからなのか、いつも以上に柔らかさも感じて。
「やっぱりいいなぁ。ダイちゃんとのんびりするの。もちろん、みんなと楽しく過ごすのも好きだけど」
「俺もだよ。和奏姉さん達のおかげで、サクラと2人きりの時間の良さを再確認できてる」
「そうだね」
いずれは和奏姉さん達が戻ってくる。限られた時間だからこそ、サクラとの2人きりの時間を堪能したい。
サクラの顔を見ると、柔和な笑顔をしているサクラと目が合う。そんなサクラに吸い込まれるようにして、俺からキスした。サクラの唇はいつも以上に温かくて柔らかい。
唇と離すと、サクラは顔を赤くした状態で俺を見つめている。
「……2人きりのキスはダイちゃんに集中できるからいいね」
「ああ。それに、誰かに見られている恥ずかしさがないもんな」
「そうだね。……ところで、ダイちゃん。頼みたいことがあるんだけど……いいかな?」
「もちろん。どんなことだろう?」
俺がそう問いかけると、サクラの顔の赤みがさらに強くなる。……どんなことを俺に頼もうとしているんだ?
「……マ、マッサージをしてほしいの」
「マッサージか。サクラが肩凝るなんて珍しいな。それとも脚とか?」
「う、ううん。肩とか脚じゃなくて……む、胸です。バストアップのマッサージです」
「……ば、ばすとあっぷまっさーじ?」
「訳が分からないって感じの反応だね」
「……肩や脚ならともかく、胸のマッサージをしてほしいって言われるとは思わなかったからさ」
一瞬、夢じゃないかと思ったほどだ。バストアップマッサージを頼みたいから、さっき顔の赤みが強くなっていたのか。
「でも、どうして?」
「……ダイちゃん、前に大きい胸が好きだって言っていたでしょ? 私も今よりも大きな胸にしたいし。それで、昨日、和奏ちゃんと青葉ちゃんと一緒にお風呂に入ったとき、どうすれば胸が大きくなるか相談したの」
昨日のお風呂の時間にそんなことを話していたのか。和奏姉さんは確定だけど、小泉さんもサクラよりは胸が大きそうだもんな。
「そうしたら、恋人のダイちゃんに揉んでもらうのがいいって言われて。マッサージの時間帯もお風呂上がりや寝る前がいいらしいの。だから、さっそく試したくて……」
「だから、俺に……バ、バストアップマッサージをしてほしいって頼んだと」
「そういうこと。……協力してくれる?」
そう言って、上目遣いで俺を見てくるサクラ。こういう風に頼まれたら断るわけにはいかない。
「分かった。協力するよ」
「ありがとう、ダイちゃん」
「でも、俺は胸の方のマッサージの知識や経験はないぞ」
「そこは大丈夫。日課でマッサージをやっているから、ポイントは教えるよ」
「そ、そうか」
もしかしたら、サクラが今の胸の大きさになれたのは成長期だけでなく、マッサージなど日頃の行いの賜物でもあるのかもしれない。
サクラはゆっくりと立ち上がると、上の寝間着を脱いで下着姿となる。桃色の下着をつけているのか。とてもよく似合っているな。
マッサージしやすいように、俺達は向かい合う形でクッションに座った。
「さっき全て見せたけど、触られるのは恥ずかしいから下着姿で」
「了解」
その方が俺も理性が保ちやすそうで助かる。
その後、サクラにマッサージのやり方について教えてもらう。実際に自分の手を使って動きを教えてくれるので分かりやすい。
「こんな感じ。どうかな?」
「分かりやすかったよ。こういうことは初めてだから、実際にやってみたら上手にできないかもしれないけど」
「最初から上手くできる人はそうそういないと思うよ。だから、その……よろしくお願いします」
「……こちらこそよろしくお願いします。じゃあ……触るよ」
「う、うん!」
一度、深呼吸をして、俺は両手をサクラの胸部にそっと触れる。その瞬間にサクラは「んっ」と可愛らしく声を漏らして、体をビクつかせる。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。こういう感じで触られるのは初めてだから、変な声が出ちゃった」
「そうか。じゃあ……さっき教えてもらった通りにやってみる」
「……うん」
俺はサクラに教えてもらった通りに両手を動かす。
サクラの肌はスベスベしていて、結構温かくて。ボディーソープの甘い匂いもして。胸だから柔らかさも感じられて。たまにサクラの甘い声も聞こえるから、かなりドキドキしてしまう。ただ、今はサクラにお願いされたマッサージをしているだけだ。俺はサクラのマッサージ師なんだ。そんな自己暗示をかけながら、何とか理性を保たせる。
「サクラ。痛かったり、変な感じがしたりしたら遠慮なく言ってくれよ」
「ありがとう。とりあえず、今のところは大丈夫だよ。むしろ気持ちがいいくらい。これなら効果ありそう。ダイちゃん、初めてって言っていたけど結構上手だよ。本当にこれが初めてなの?」
「初めてに決まってるだろ。それに、これからもこんなことはサクラにしかしない」
和奏姉さんが頼んでくる可能性はありそうだけど。
サクラは優しい笑みを浮かべ、俺のことを見てくる。
「……嬉しい。これからも定期的にしてもらおうかな?」
「そのときは言ってくれ。俺は……一緒に住んでいる恋人なんだから。サクラの願いを叶えることに協力したいし」
「ありがとう。……それにしても、本当に上手だよ。勇気を出してダイちゃんに言ってみて正解だった」
えへへっ、とサクラは赤くなった顔に嬉しそうな笑みを浮かべてくれる。初めてだし上手くできるか不安だったけど、満足そうで良かった。これでサクラのバストアップに少しでも役に立つのなら嬉しい。
『なかなかいい感じにしているのね』
『そ、そんなに大きな声を出したら、先輩方にバレてしまいますって』
『杏奈ちゃんも声大きいけどね。この時間だし、あたし達もいるから違うことをしていると思うけどなぁ』
扉の向こうから一紗達の声が聞こえてくる。お風呂から上がったのか。時計を見ると俺達が部屋に戻ってから30分以上経っていた。
「いつの間にか時間が経っていたんだね」
「スキンケアや髪を乾かすこともしていたからなぁ」
「それじゃ時間の進みも早いわけだ。じゃあ、今回はこのくらいで。普段よりも短い時間だけど、ちゃんと効果が出そうな気がする」
「そう思えるようにできて良かったよ」
俺が両手を離すと、サクラはすぐに上の寝間着を着る。
よし、これで扉を開けても大丈夫そうだな。そう思ってゆっくり立ち上がり、部屋の扉を開けると……そこには寝間着を着た一紗達の姿が。姉さんは昨日と変わりないけど、一紗と杏奈の顔はお風呂上がりにしてはやけに赤い気がする。長く湯船に浸かったのかな。それとも、2人にはお湯が熱かったとか?
「3人ともおかえり。一紗と杏奈は顔が赤いけど、2人にはうちのお湯は熱かったか?」
「本当だ。2人とも顔赤い」
気づけば、俺のすぐ横にサクラが立っている。
「あっ、いえ……とてもいい湯加減でしたよ。この顔の赤さは何と言いますか……」
「お取り込み中のところ、申し訳なか――」
「ちょ、ちょっと一紗先輩」
杏奈は慌てた様子で一紗の口を右手で塞ぐ。
「お取り込み中? 何のことだ?」
俺がそう言うと、一紗も杏奈もきょとんとした様子になる。
一紗は自分の口を塞いでいる杏奈の右手を離す。
「だって、その……2人の会話を聞いていたら……キスよりも先的な行為をおっぱじめているんじゃないかと思って」
「し、してないよそんなこと!」
サクラは一紗と杏奈よりも顔を赤くして反論する。
さっきまでのサクラとの会話を思い出すと……ああ、なるほど。
「声だけ聞いていたら、その……俺とサクラがそういうことをしていたんじゃないかと勘違いしても仕方ないか」
「……恥ずかしながら、あたしも一紗先輩のようなことを考えてしまいました」
だから、扉を開けたとき、一紗と杏奈は顔がかなり赤くなっていたのか。和奏姉さんは違うことをしていたんじゃないかと思っていたようだけど。
「それで、実際は大輝とフミちゃんは何をしていたの?」
「……ダ、ダイちゃんに胸のマッサージをしてもらっていたんです」
サクラがそう言うと、和奏姉さんは落ち着いた笑みを見せる。
「やっぱり。昨日のお風呂であたしと青葉ちゃんがアドバイスしたものね。胸を大きくするなら、恋人の大輝にマッサージしてもらうといいじゃないかって」
「はい。バストアップマッサージはお風呂上がりに効果があるといいますし、ダイちゃんと2人きりの時間を作れたので、さっそく試したいと思いまして」
「……そういうことだったのね」
「バストアップのマッサージでしたか……」
一紗と杏奈の顔の赤みが薄れてゆく。
サクラがしっかりと説明したことや、マッサージしようとしたきっかけが前日の和奏姉さんと小泉さんのアドバイスなのもあってか、一紗と杏奈は信じてくれたようだ。
「あたしから見れば、文香先輩の胸はそれなりにあっていいなと思えますが。目標にするのにいいと思いまして」
「そう言ってくれるのは嬉しいな。ただ、個人的には……もっと大きくなりたくて」
「そうですか。目標の大きさが自分から遠くなるかもしれないのは寂しいですが、応援します。……ちなみに、さっき一紗先輩と和奏さんの胸を見たんですけど……凄かったです。ご立派で」
「ありがとう。ただ、一紗ちゃんは本当に大きいよね。あたしよりあるもん」
「杏奈さんとお姉様にそう言われると嬉しいですね。お姉様は美しくて、杏奈さんは可愛い胸だったわ」
「……どうもです」
杏奈は照れくさそうにそう言うと、右手を自分の胸に当てていた。
それからは、俺は寝る直前まで、サクラ達と自分の部屋でアニメを観たりしながら過ごすのであった。
1
あなたにおすすめの小説
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
管理人さんといっしょ。
桜庭かなめ
恋愛
桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。
しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。
風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、
「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」
高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。
ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!
※特別編11が完結しました!(2025.6.20)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編5が完結しました!(2025.7.6)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる