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本編-ARIA-
第54話『アンケートの真実』
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僕は美来と詩織ちゃんを連れて、駅の近くにあるコインパーキングへと向かう。朝比奈家の車の中では、運転席でスマートフォンを弄っている果歩さんの姿があった。
「果歩さん」
運転席の窓を軽く叩くと、果歩さんは僕達に気付いて車から出てきた。
「みんな、おかえり。あなたが絢瀬さん?」
「はい。初めまして、絢瀬詩織といいます。美来ちゃんのクラスメイトです」
「そうなの。初めまして、美来の母の朝比奈果歩です」
「お母さんなんですか! 可愛らしいのでお姉さんかと思いました……」
「ふふっ、ありがとう」
高校生と小学生のお子さんがいるようには見えないよな、果歩さん。年の離れたお姉さんって感じがする。僕もひさしぶりに会ったときに同じことを思った。
「さあ、みんな車に乗って。数分ぐらいで着くから」
僕は助手席に乗って、美来と詩織ちゃんは後部座席に乗る。
それから程なくして、果歩さんの運転により朝比奈家に向かって発車する。
「絢瀬さん、今日はありがとう。アンケートで何かあったんじゃないかって、私達の方も調査を始めようと思っていたの」
「そうだったんですか」
「あまり、あなた達の担任の先生を悪く言いたくないんだけど、美来のいじめをなかったことにしたいそうなのよ」
「じゃあ、いじめがないっていう連絡があったんですか?」
「そうなの」
「私、ちゃんと書いて提出したのに……」
SNSで美来に送ってくれた何枚もの写真には、いじめのアンケートに詳細に回答が書かれていた。しかし、その内容を後藤先生は僕達に伝えてこなかった。
「でも、よく写真を撮ってくれたね。撮影するときに音も出るだろうし、周りに気付かれるんじゃない?」
「アンケートを書いている途中に後藤先生が、廊下に出て誰かと話している時間があって。教室の中が話し声でうるさくなったので、その隙に……」
「そうだったんだ」
なるほど。それなら、誰にも気付かれずにスマートフォンでアンケートに写真を撮ることもできるか。
「でも、写真を撮るってことは、そうしようと決めたきっかけがあったと思うんだ。アンケートを実施する前とかに何かあったのかな?」
「……アンケートを配ったときに、後藤先生がこれは形だけだからって言ったんです」
「えっ?」
「それで、何かおかしいと思って、こっそりと録音しておいたんです。そうしたら、いじめはなかったと書くようにって後藤先生が言って……」
『えええっ!』
僕、美来、果歩さんは思わず声を上げてしまった。まさか、いじめのアンケートを実施する前にいじめはないと書けと言うなんて。
「記名式であっても、無記名式であっても私は事実を書くつもりでいました。実際は名前を書く欄はなかったので、先生達にアンケートのことについて聞かれてはいません。ただ、いじめはなかったとアンケートに書けと言ったことを誰にも言うなと言われました。そう言われたので、美来ちゃんに伝えないといけないと思って……」
「それで、詩織ちゃんは勇気を出して美来にメッセージを送ったんだね」
「……はい」
詩織ちゃん、大人しそうに見えるけれど、かなりの行動力がある女の子だな。教室で後藤さんが言っていることをこっそりと録音し、自分の書いたアンケート内容をこっそりと撮影し、それらの事実をこうして美来に伝えてくれている。
「詩織ちゃんのおかげで、学校側にいじめの事実を認めさせられそうだよ」
「そうですか。お役に立てるようで嬉しいです。あと……今までごめんなさい、美来ちゃん。何もできなくて。見て見ぬふりをしちゃって……」
見て見ぬふり、というのもいじめの一種と考える人もいる。詩織ちゃんはそのことを謝ったけれど、美来はどう思っているのか。
ルームミラー越しで2人の様子を見てみると、今にも泣き出しそうな詩織ちゃんと、そんな彼女のことを慰めるように優しく見ている美来が映っていた。
「……いいよ」
「美来ちゃん……」
「……詩織ちゃんは危険なことをしてまでも、学校で起こっていることを私に伝えようと頑張ってくれている。何もできてないなんてとんでもない。詩織ちゃんは私の心強い味方だと思ってるよ」
「……うん」
ボロボロと涙をこぼしている詩織ちゃんの頭を、美来は優しく撫でている。美来は詩織ちゃんのことを信じていたんだな。
「詩織ちゃん。アンケートをする前に先生が話している内容を録音したんだよね。その録音データって、詩織ちゃんのスマートフォンに保存されているのかな」
「はい、そうですが……」
「……じゃあ、家に着いたらその音声を聞かせてくれるかな。それで、アンケートでの不正が示せるようであれば、明日にでも学校に出向いて反撃しましょうか」
「そうですね、氷室さん」
詩織ちゃんの話してくれたとおりの内容が録音されていれば、アンケートを実施する際に圧力が掛かっていたことが示せる。詩織ちゃんが送ってくれた写真を併せて学校側に説明すれば、アンケートを再度実施してもらえるはずだ。
僕達が乗る車は美来の家に到着するのであった。
「果歩さん」
運転席の窓を軽く叩くと、果歩さんは僕達に気付いて車から出てきた。
「みんな、おかえり。あなたが絢瀬さん?」
「はい。初めまして、絢瀬詩織といいます。美来ちゃんのクラスメイトです」
「そうなの。初めまして、美来の母の朝比奈果歩です」
「お母さんなんですか! 可愛らしいのでお姉さんかと思いました……」
「ふふっ、ありがとう」
高校生と小学生のお子さんがいるようには見えないよな、果歩さん。年の離れたお姉さんって感じがする。僕もひさしぶりに会ったときに同じことを思った。
「さあ、みんな車に乗って。数分ぐらいで着くから」
僕は助手席に乗って、美来と詩織ちゃんは後部座席に乗る。
それから程なくして、果歩さんの運転により朝比奈家に向かって発車する。
「絢瀬さん、今日はありがとう。アンケートで何かあったんじゃないかって、私達の方も調査を始めようと思っていたの」
「そうだったんですか」
「あまり、あなた達の担任の先生を悪く言いたくないんだけど、美来のいじめをなかったことにしたいそうなのよ」
「じゃあ、いじめがないっていう連絡があったんですか?」
「そうなの」
「私、ちゃんと書いて提出したのに……」
SNSで美来に送ってくれた何枚もの写真には、いじめのアンケートに詳細に回答が書かれていた。しかし、その内容を後藤先生は僕達に伝えてこなかった。
「でも、よく写真を撮ってくれたね。撮影するときに音も出るだろうし、周りに気付かれるんじゃない?」
「アンケートを書いている途中に後藤先生が、廊下に出て誰かと話している時間があって。教室の中が話し声でうるさくなったので、その隙に……」
「そうだったんだ」
なるほど。それなら、誰にも気付かれずにスマートフォンでアンケートに写真を撮ることもできるか。
「でも、写真を撮るってことは、そうしようと決めたきっかけがあったと思うんだ。アンケートを実施する前とかに何かあったのかな?」
「……アンケートを配ったときに、後藤先生がこれは形だけだからって言ったんです」
「えっ?」
「それで、何かおかしいと思って、こっそりと録音しておいたんです。そうしたら、いじめはなかったと書くようにって後藤先生が言って……」
『えええっ!』
僕、美来、果歩さんは思わず声を上げてしまった。まさか、いじめのアンケートを実施する前にいじめはないと書けと言うなんて。
「記名式であっても、無記名式であっても私は事実を書くつもりでいました。実際は名前を書く欄はなかったので、先生達にアンケートのことについて聞かれてはいません。ただ、いじめはなかったとアンケートに書けと言ったことを誰にも言うなと言われました。そう言われたので、美来ちゃんに伝えないといけないと思って……」
「それで、詩織ちゃんは勇気を出して美来にメッセージを送ったんだね」
「……はい」
詩織ちゃん、大人しそうに見えるけれど、かなりの行動力がある女の子だな。教室で後藤さんが言っていることをこっそりと録音し、自分の書いたアンケート内容をこっそりと撮影し、それらの事実をこうして美来に伝えてくれている。
「詩織ちゃんのおかげで、学校側にいじめの事実を認めさせられそうだよ」
「そうですか。お役に立てるようで嬉しいです。あと……今までごめんなさい、美来ちゃん。何もできなくて。見て見ぬふりをしちゃって……」
見て見ぬふり、というのもいじめの一種と考える人もいる。詩織ちゃんはそのことを謝ったけれど、美来はどう思っているのか。
ルームミラー越しで2人の様子を見てみると、今にも泣き出しそうな詩織ちゃんと、そんな彼女のことを慰めるように優しく見ている美来が映っていた。
「……いいよ」
「美来ちゃん……」
「……詩織ちゃんは危険なことをしてまでも、学校で起こっていることを私に伝えようと頑張ってくれている。何もできてないなんてとんでもない。詩織ちゃんは私の心強い味方だと思ってるよ」
「……うん」
ボロボロと涙をこぼしている詩織ちゃんの頭を、美来は優しく撫でている。美来は詩織ちゃんのことを信じていたんだな。
「詩織ちゃん。アンケートをする前に先生が話している内容を録音したんだよね。その録音データって、詩織ちゃんのスマートフォンに保存されているのかな」
「はい、そうですが……」
「……じゃあ、家に着いたらその音声を聞かせてくれるかな。それで、アンケートでの不正が示せるようであれば、明日にでも学校に出向いて反撃しましょうか」
「そうですね、氷室さん」
詩織ちゃんの話してくれたとおりの内容が録音されていれば、アンケートを実施する際に圧力が掛かっていたことが示せる。詩織ちゃんが送ってくれた写真を併せて学校側に説明すれば、アンケートを再度実施してもらえるはずだ。
僕達が乗る車は美来の家に到着するのであった。
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