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特別編-Looking back 10 years of LOVE-
プロローグ『そういえば』
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特別編-Looking back 10 years of LOVE-
8月14日、日曜日。
美来と本格的に同棲してから2日目。今日は朝から美来がオリンピックのメダルのニュースで喜んだり、ある国民的グループが解散を発表したことでがっかりしたりと、気持ちの浮き沈みが激しくなっている。
気持ちが安定していないからなのか、今日の美来は夏仕様のメイド服を着ず、水色のロングスカートに黒いノースリーブという服装をしている。こういう服装も似合うんだから、これからも家の中でもメイド服以外の姿も見せてほしい。
「今日は僕が美来に甘いコーヒーを作るよ」
「……ありがとうございます」
「美来はアイスとホットどっちにする?」
「……ホットでお願いします」
「分かった」
朝食後、僕は2人分のホットコーヒーを作る。もちろん、美来の分は砂糖やミルクを多めにして飲みやすく。
僕はリビングのソファーに座っている美来の前にコーヒーを出す。
「はい、美来。ホットコーヒー美来仕様だよ」
「ありがとうございます。私仕様って何なんですか?」
「砂糖とミルクがかなり多めってこと」
「ふふっ、そうですか。ありがとうございます」
美来はホットコーヒーを一口飲む。
昨日、美来のコーヒーを飲ませてもらい、味を覚えていたので、大体の感覚で作ってみたんだけれど美来の口に合うかな。
「さすが智也さんです。とても美味しい」
「良かった」
これで少しずつ砂糖とミルクを減らしていけば、美来が目指しているという大人の女性により近づくことができるだろう。
僕は美来の隣に座って、自分のホットコーヒーを飲む。ちなみに僕のコーヒーはブラックだ。さすがに苦い。
「……はあっ」
「これでも苦かった?」
「いえ、そうではありません。解散というニュースを聞くと色々と想うことがあって」
「僕が生まれるよりも前から活動していたグループだからね。美来のような気持ちになっている人は多いんじゃないかな」
解散の発表によって、国民的と言われるだけの存在だったことを改めて思い知らされる出来事になっているな。僕もそれなりにショックを受けているし。
美来の気持ちも分かるけど、ここは別の話題で美来を元気づけさせたい。
「世の中には離ればなれになる人達もいる。ただ、一緒になった人達もいるよね。例えば、美来や僕とか」
「……そうですね。まさか、智也さんとこうして結婚前提でお付き合いすることになって、同棲ができる日が来るとは思いませんでした」
美来はそう言うと、えへへっ、とデレデレとした笑みを見せる。やはり、僕達の話題になると途端に嬉しそうな表情を見せてくれるんだな。
「その婚約指輪、美来に似合っているよ。それに……今日の服装だって。いつもよりも大人っぽくてセクシーというか。たまには、家の中でもメイド服じゃない服装を見せてくれると嬉しいな」
「……そうですか? では、これからはそうしてみますね」
美来は僕の腕を掴んで、頭をすりすりさせてくる。いつもの美来らしくなってきたな。
「本当に夢のような時間を過ごしている感覚です。いつかは智也さんと結婚する! という想いは10年前のあの日からずっとありましたけれどね」
「……そうか」
10年前のあの日にプロポーズをしてきたほどだからな。結婚したいっていう想いはあの日からずっと抱き続けているに違いない。
「……そういえば」
以前に、簡単には教えてもらったけれど、10年前のあの日から僕と再会する日までの話をちゃんと聞いたことがなかったな。
「せっかく、こうして一緒に過ごすことになったんだ。美来のことをもっと知りたい。この10年間、僕と再会するまでの美来の話を聞かせてくれないかな。前に簡単には話してくれたけれどさ」
僕に気付かれないように気をつけながら、ずっと僕のことを見守っていましたって。
「そういえば、再会するまでの10年間を詳しく話したことは一度もありませんでしたね。分かりました。思い出に浸るいい機会です。お話ししましょう」
「ありがとう」
どんな話が聞けるかが楽しみだなぁ。
「では、まずは智也さんのことを見つけるまでの話をしましょう!」
「えっ、そんなところから話すの?」
「当たり前です! これは10年にも及ぶ、智也さんと再会するまでの私の歩んだ愛の軌跡なのですから。それを将来の旦那様である智也さんにきちんと話さないと!」
「そ、そっか……」
僕はてっきり、今までに聞いていた話をちょっと詳しくした感じで話してくれると思ったんだけど、これはかなり壮大な内容になりそうだ。何せ10年近くのことだからなぁ。一日中かかると覚悟しておいた方がいいかな。
8月14日、日曜日。
美来と本格的に同棲してから2日目。今日は朝から美来がオリンピックのメダルのニュースで喜んだり、ある国民的グループが解散を発表したことでがっかりしたりと、気持ちの浮き沈みが激しくなっている。
気持ちが安定していないからなのか、今日の美来は夏仕様のメイド服を着ず、水色のロングスカートに黒いノースリーブという服装をしている。こういう服装も似合うんだから、これからも家の中でもメイド服以外の姿も見せてほしい。
「今日は僕が美来に甘いコーヒーを作るよ」
「……ありがとうございます」
「美来はアイスとホットどっちにする?」
「……ホットでお願いします」
「分かった」
朝食後、僕は2人分のホットコーヒーを作る。もちろん、美来の分は砂糖やミルクを多めにして飲みやすく。
僕はリビングのソファーに座っている美来の前にコーヒーを出す。
「はい、美来。ホットコーヒー美来仕様だよ」
「ありがとうございます。私仕様って何なんですか?」
「砂糖とミルクがかなり多めってこと」
「ふふっ、そうですか。ありがとうございます」
美来はホットコーヒーを一口飲む。
昨日、美来のコーヒーを飲ませてもらい、味を覚えていたので、大体の感覚で作ってみたんだけれど美来の口に合うかな。
「さすが智也さんです。とても美味しい」
「良かった」
これで少しずつ砂糖とミルクを減らしていけば、美来が目指しているという大人の女性により近づくことができるだろう。
僕は美来の隣に座って、自分のホットコーヒーを飲む。ちなみに僕のコーヒーはブラックだ。さすがに苦い。
「……はあっ」
「これでも苦かった?」
「いえ、そうではありません。解散というニュースを聞くと色々と想うことがあって」
「僕が生まれるよりも前から活動していたグループだからね。美来のような気持ちになっている人は多いんじゃないかな」
解散の発表によって、国民的と言われるだけの存在だったことを改めて思い知らされる出来事になっているな。僕もそれなりにショックを受けているし。
美来の気持ちも分かるけど、ここは別の話題で美来を元気づけさせたい。
「世の中には離ればなれになる人達もいる。ただ、一緒になった人達もいるよね。例えば、美来や僕とか」
「……そうですね。まさか、智也さんとこうして結婚前提でお付き合いすることになって、同棲ができる日が来るとは思いませんでした」
美来はそう言うと、えへへっ、とデレデレとした笑みを見せる。やはり、僕達の話題になると途端に嬉しそうな表情を見せてくれるんだな。
「その婚約指輪、美来に似合っているよ。それに……今日の服装だって。いつもよりも大人っぽくてセクシーというか。たまには、家の中でもメイド服じゃない服装を見せてくれると嬉しいな」
「……そうですか? では、これからはそうしてみますね」
美来は僕の腕を掴んで、頭をすりすりさせてくる。いつもの美来らしくなってきたな。
「本当に夢のような時間を過ごしている感覚です。いつかは智也さんと結婚する! という想いは10年前のあの日からずっとありましたけれどね」
「……そうか」
10年前のあの日にプロポーズをしてきたほどだからな。結婚したいっていう想いはあの日からずっと抱き続けているに違いない。
「……そういえば」
以前に、簡単には教えてもらったけれど、10年前のあの日から僕と再会する日までの話をちゃんと聞いたことがなかったな。
「せっかく、こうして一緒に過ごすことになったんだ。美来のことをもっと知りたい。この10年間、僕と再会するまでの美来の話を聞かせてくれないかな。前に簡単には話してくれたけれどさ」
僕に気付かれないように気をつけながら、ずっと僕のことを見守っていましたって。
「そういえば、再会するまでの10年間を詳しく話したことは一度もありませんでしたね。分かりました。思い出に浸るいい機会です。お話ししましょう」
「ありがとう」
どんな話が聞けるかが楽しみだなぁ。
「では、まずは智也さんのことを見つけるまでの話をしましょう!」
「えっ、そんなところから話すの?」
「当たり前です! これは10年にも及ぶ、智也さんと再会するまでの私の歩んだ愛の軌跡なのですから。それを将来の旦那様である智也さんにきちんと話さないと!」
「そ、そっか……」
僕はてっきり、今までに聞いていた話をちょっと詳しくした感じで話してくれると思ったんだけど、これはかなり壮大な内容になりそうだ。何せ10年近くのことだからなぁ。一日中かかると覚悟しておいた方がいいかな。
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