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特別編-ラブラブ!サンシャイン!!-
第2話『夏の旅路』
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8月17日、水曜日。
今日から美来と2人きりで2泊3日の旅行。天気は快晴で、絶好の旅行日和だ。
宿泊する場所はアクアサンシャインリゾートホテル。公式サイトを見てみたら、ホテルの前にはプライベートビーチがあり、遊泳施設が充実しているとのこと。僕の好きな温泉もある。また、ホテルの近くには観光地もいくつかあるようだ。
「今日は晴れて良かったですね、智也さん」
「そうだね」
以前、旅行したときと同じように、レンタカーを借りて僕の運転でホテルへと向かっている。もちろん、美来は助手席に。初めて行く場所なので、車窓から見える景色がとても新鮮で、いかにも旅行気分を味わわせてくれる。
助手席に座っている美来は車窓からの景色よりも、運転している僕のことが気になるようで時折、僕の方に顔を向ける。白の肩開きのブラウスがとても可愛い。時々、体ごと僕の方に向けてくるので、そのときは特にシートベルトが胸の谷間に……。
「……美来。その……気分は大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。私、車酔いはしない方ですし。むしろ、途中でお昼ご飯を食べたのでほどよい眠気が……」
「そっか。ホテルに着くまで眠っていてもいいからね」
良かった、快適に過ごせていて。杞憂に終わったか。
「智也さんも男の子ですね。私の胸が気になるなんて。もう、こういった状況にも慣れたので、気分が悪くなることもないですよ」
そう言って、美来は僕のことを見て笑っている。僕の考えていることはお見通しってわけか。
「今日から3日間、思いっきり楽しみましょうね!」
「そうだね。急に決まった旅行だけど、たくさん楽しもう」
「そうですね。あとはお土産も忘れずに」
「うん。最低でも羽賀と、譲ってくれた佐藤さんの分は絶対に買わないとね」
引越しに伴い、それなりにお金は飛んだけど、前の会社からもらった夏のボーナスと退職金、今の会社からも引越しの手当が出たので、お土産を買うお金くらいは十分にある。
「それにしても、今年の夏休みに智也さんと2泊3日の旅行に行けるとは思いませんでした。しかも、こんなに素敵なホテルに」
「本当にね。まあ、引越しの作業も、色々な手続きも順調に終わったから、この前みたいに1泊2日くらいで行きたいなとは思ってたよ」
今はお盆だから、他の時期よりも値段は高めだけど。
「智也さん……」
美来、目を輝かせて僕のことを見ているぞ。それだけ、僕と旅行に行きたかったのかな。
「メガネをかけた智也さんもいいですね。より聡明な感じがします」
聡明って。メガネをかけている人って確かに頭が良さそうに見えるけれど。
「そういえば、家では全然掛けたことないか」
中学生くらいのときに視力が落ちて、黒板の文字が見にくくなったことをきっかけにメガネを作った。それ以外での日常生活を送る上ではあまり支障はない。仕事でパソコンを使うときも、スマートフォンを見るときも裸眼でも大丈夫だ。
「どうして、車を運転するときにはメガネをかけているんですか?」
「運転をするとき、一定以上の視力がないといけないんだ。運転中は周りがよく見えないといけないからね。僕の場合、その規定の視力以上になるにはメガネをかけないとダメなんだよ。だから、僕の運転免許には『眼鏡等』って書かれているんだ」
「そうだったんですか」
「美来はメガネをかけていないけど、視力はどのくらいあるの?」
「両眼とも1.5です」
「……それは素晴らしい」
ただ、美来のメガネをかけた姿がどんな感じなのか見てみたい気持ちもある。今はファッション用に度のないメガネや、パソコンやスマートフォン用のブルーライトカットレンズの眼鏡もあるから、いずれ買ってみようかな。
「海やプールに入るとき、眼鏡はかけられませんけど、私の水着姿をしっかりと見てもらえるでしょうか」
「そのくらいだったら全然問題ないよ。それに、万が一見えづらかったら、僕が美来の近くに行けばいいんだからさ」
そう言うと、美来はくすくすと笑っている。
「昨日買った水着、楽しみにしていてくださいね」
「うん」
昨日、旅行へ行く準備のために、水着とか、ビーチサンダルとか、日焼け止めなど海やプールで必要なものを中心に買い物に行った。
もちろん、美来の水着も一緒に買いに行って、黒のビキニにしたはず。ただ、海でのお楽しみだと言われて、新しい水着を着た美来の姿を見ることはできていない。なので、美来のビキニ姿を見るのも旅行の楽しみの一つになっている。
「そういえば、美来ってこの旅行で何かしたいことはある? 一昨日の夕方に行くことになったから、泊まるホテル以外はほぼノープランじゃない。そう言っている僕も温泉にゆっくり入りたいとか、ご当地のアイスを食べたいなぁくらいしか考えていないけど」
急なことなので、ホテルや周辺のこともあまり調べることができていない。
ただ、ホテル発着で、ホテル周辺の観光地を回ることのできる半日ツアーが気になった。けれど、結構人気のようで、さすがに今からでは予約をするのは無理だろう。それに、観光地に行くことになったら、僕が運転すればいいわけだし。
「そういえば、具体的に何をしたいってあまり考えていませんでしたね。智也さんと楽しい3日間を過ごしたいなとしか。もちろん、せっかくの海やプールですから、昨日買った水着を着た姿を智也さんに見てほしいですけど……」
「……そっか」
まったく、僕の彼女は凄く可愛い女の子だな。美来のことを見ていたいけれど、運転中なのでそれはいけないな。
「ただ、一番したいことは智也さんと2人きりでお部屋で過ごす時間ですかね! 色々なことをしたいです!」
やっぱり、美来は美来だったか。
チラッと美来のことを見ると、美来は何を思っているのか頬を紅潮させて、とても幸せそうな表情を浮かべている。
「この前の旅行みたいに、ふとんやベッドの上で智也さんと愛情を……って、昼過ぎから何を言わせているんですか、もう」
「僕は何も言っていないよ」
美来と2人きりの旅行だし、美来なら夜に僕と……するんだろうなって思ってはいる。僕だって男だ。そういうことをするんじゃないかって期待してしまう。
「混浴とかあるといいな」
「私もそれに期待して、ホテルの公式サイトをよく見ませんでしたけど、混浴風呂はありませんでした。お部屋にあるお風呂に一緒に入りましょう」
「……そうだね」
混浴風呂がないのが残念な気持ちもあるけど、それよりも恥ずかしい気持ちの方が強い。
「あっ、そうだ。1つ、この旅行でしたいことがあるのを思い出しました!」
「おっ、何かな?」
美来がこの旅行にしたいことか。できるだけ叶えさせてあげたい。この旅行がより楽しい思い出になるように。
「縁結びの幽霊さんに会いたいです!」
美来のその言葉に耳を疑った。
「え、縁結びの幽霊さん?」
思わず聞き返してしまった。
「はい! 高校生くらいの女の子の幽霊らしいんですけど、お部屋でその幽霊と出会ったカップルは必ず結ばれるらしいんです」
「なるほどね……」
座敷童子的な感じか。高校生くらいの女の子の幽霊ってことはきっと可愛いんだろうけど、幽霊であることには変わりない。
ホテルに関しては公式サイトくらいしか見ていなかったので、縁結びの幽霊のことなんて全然知らなかったよ。
「どうしたんですか? 急に顔色が悪くなりましたけど。寒いならクーラーの温度、上げましょうか?」
「いや、それはいいんだ。ただ、僕……心霊系とかが苦手で」
「そうだったんですか。私は割と好きな方なので、もし幽霊さんが出たら私が智也さんのことをお守りしますね!」
「……頼もしいね」
さらりとそう言えてしまうことに、ちょっと情けなさを感じる。
美来のやりたいことならできるだけ叶えさせたいと思っていたけど、幽霊に会うことだけは、僕にはどうしようもできないな。ただ、こういうのは運が全てだからこそいいのかもしれない。僕はあまりお目に掛かりたくないけど。
「わあっ、海が見えてきましたね!」
「そうだね。綺麗だなぁ」
青い空に、青い海。太陽が照り付けているから、海はキラキラと光っている。
海も見えてきたってことは、アクアサンシャインリゾートホテルにも近いのかな。カーナビの画面には、到着予定時刻として今から20分後の時刻が表示されている。
「旅行に来たって感じがしてきました!」
「海が見えると、やっぱり雰囲気が変わるよね」
正直、僕は自宅の近くにあるレンタカー屋さんから出発し、30分後ぐらいに高速道路を走り始めた頃くらいから旅行気分になっているけれど。
「ホテルまであとどのくらいでしょうか」
「カーナビ予想だとあと20分くらいかな」
地方に来ただけあって、周りの景色も自然でいっぱい。海や山、畑があって……民家や商店がちらほらと。のんびりとした風景になっている。
「じゃあ、もうすぐで着くんですね」
楽しみだなぁと美来は呟く。縁結びの幽霊さんを含め、美来にはホテルでの楽しみがいっぱいあるようだ。そんなことを想い、途中のサービスエリアで購入した缶コーヒーを飲みながら運転を続けるのであった。
今日から美来と2人きりで2泊3日の旅行。天気は快晴で、絶好の旅行日和だ。
宿泊する場所はアクアサンシャインリゾートホテル。公式サイトを見てみたら、ホテルの前にはプライベートビーチがあり、遊泳施設が充実しているとのこと。僕の好きな温泉もある。また、ホテルの近くには観光地もいくつかあるようだ。
「今日は晴れて良かったですね、智也さん」
「そうだね」
以前、旅行したときと同じように、レンタカーを借りて僕の運転でホテルへと向かっている。もちろん、美来は助手席に。初めて行く場所なので、車窓から見える景色がとても新鮮で、いかにも旅行気分を味わわせてくれる。
助手席に座っている美来は車窓からの景色よりも、運転している僕のことが気になるようで時折、僕の方に顔を向ける。白の肩開きのブラウスがとても可愛い。時々、体ごと僕の方に向けてくるので、そのときは特にシートベルトが胸の谷間に……。
「……美来。その……気分は大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。私、車酔いはしない方ですし。むしろ、途中でお昼ご飯を食べたのでほどよい眠気が……」
「そっか。ホテルに着くまで眠っていてもいいからね」
良かった、快適に過ごせていて。杞憂に終わったか。
「智也さんも男の子ですね。私の胸が気になるなんて。もう、こういった状況にも慣れたので、気分が悪くなることもないですよ」
そう言って、美来は僕のことを見て笑っている。僕の考えていることはお見通しってわけか。
「今日から3日間、思いっきり楽しみましょうね!」
「そうだね。急に決まった旅行だけど、たくさん楽しもう」
「そうですね。あとはお土産も忘れずに」
「うん。最低でも羽賀と、譲ってくれた佐藤さんの分は絶対に買わないとね」
引越しに伴い、それなりにお金は飛んだけど、前の会社からもらった夏のボーナスと退職金、今の会社からも引越しの手当が出たので、お土産を買うお金くらいは十分にある。
「それにしても、今年の夏休みに智也さんと2泊3日の旅行に行けるとは思いませんでした。しかも、こんなに素敵なホテルに」
「本当にね。まあ、引越しの作業も、色々な手続きも順調に終わったから、この前みたいに1泊2日くらいで行きたいなとは思ってたよ」
今はお盆だから、他の時期よりも値段は高めだけど。
「智也さん……」
美来、目を輝かせて僕のことを見ているぞ。それだけ、僕と旅行に行きたかったのかな。
「メガネをかけた智也さんもいいですね。より聡明な感じがします」
聡明って。メガネをかけている人って確かに頭が良さそうに見えるけれど。
「そういえば、家では全然掛けたことないか」
中学生くらいのときに視力が落ちて、黒板の文字が見にくくなったことをきっかけにメガネを作った。それ以外での日常生活を送る上ではあまり支障はない。仕事でパソコンを使うときも、スマートフォンを見るときも裸眼でも大丈夫だ。
「どうして、車を運転するときにはメガネをかけているんですか?」
「運転をするとき、一定以上の視力がないといけないんだ。運転中は周りがよく見えないといけないからね。僕の場合、その規定の視力以上になるにはメガネをかけないとダメなんだよ。だから、僕の運転免許には『眼鏡等』って書かれているんだ」
「そうだったんですか」
「美来はメガネをかけていないけど、視力はどのくらいあるの?」
「両眼とも1.5です」
「……それは素晴らしい」
ただ、美来のメガネをかけた姿がどんな感じなのか見てみたい気持ちもある。今はファッション用に度のないメガネや、パソコンやスマートフォン用のブルーライトカットレンズの眼鏡もあるから、いずれ買ってみようかな。
「海やプールに入るとき、眼鏡はかけられませんけど、私の水着姿をしっかりと見てもらえるでしょうか」
「そのくらいだったら全然問題ないよ。それに、万が一見えづらかったら、僕が美来の近くに行けばいいんだからさ」
そう言うと、美来はくすくすと笑っている。
「昨日買った水着、楽しみにしていてくださいね」
「うん」
昨日、旅行へ行く準備のために、水着とか、ビーチサンダルとか、日焼け止めなど海やプールで必要なものを中心に買い物に行った。
もちろん、美来の水着も一緒に買いに行って、黒のビキニにしたはず。ただ、海でのお楽しみだと言われて、新しい水着を着た美来の姿を見ることはできていない。なので、美来のビキニ姿を見るのも旅行の楽しみの一つになっている。
「そういえば、美来ってこの旅行で何かしたいことはある? 一昨日の夕方に行くことになったから、泊まるホテル以外はほぼノープランじゃない。そう言っている僕も温泉にゆっくり入りたいとか、ご当地のアイスを食べたいなぁくらいしか考えていないけど」
急なことなので、ホテルや周辺のこともあまり調べることができていない。
ただ、ホテル発着で、ホテル周辺の観光地を回ることのできる半日ツアーが気になった。けれど、結構人気のようで、さすがに今からでは予約をするのは無理だろう。それに、観光地に行くことになったら、僕が運転すればいいわけだし。
「そういえば、具体的に何をしたいってあまり考えていませんでしたね。智也さんと楽しい3日間を過ごしたいなとしか。もちろん、せっかくの海やプールですから、昨日買った水着を着た姿を智也さんに見てほしいですけど……」
「……そっか」
まったく、僕の彼女は凄く可愛い女の子だな。美来のことを見ていたいけれど、運転中なのでそれはいけないな。
「ただ、一番したいことは智也さんと2人きりでお部屋で過ごす時間ですかね! 色々なことをしたいです!」
やっぱり、美来は美来だったか。
チラッと美来のことを見ると、美来は何を思っているのか頬を紅潮させて、とても幸せそうな表情を浮かべている。
「この前の旅行みたいに、ふとんやベッドの上で智也さんと愛情を……って、昼過ぎから何を言わせているんですか、もう」
「僕は何も言っていないよ」
美来と2人きりの旅行だし、美来なら夜に僕と……するんだろうなって思ってはいる。僕だって男だ。そういうことをするんじゃないかって期待してしまう。
「混浴とかあるといいな」
「私もそれに期待して、ホテルの公式サイトをよく見ませんでしたけど、混浴風呂はありませんでした。お部屋にあるお風呂に一緒に入りましょう」
「……そうだね」
混浴風呂がないのが残念な気持ちもあるけど、それよりも恥ずかしい気持ちの方が強い。
「あっ、そうだ。1つ、この旅行でしたいことがあるのを思い出しました!」
「おっ、何かな?」
美来がこの旅行にしたいことか。できるだけ叶えさせてあげたい。この旅行がより楽しい思い出になるように。
「縁結びの幽霊さんに会いたいです!」
美来のその言葉に耳を疑った。
「え、縁結びの幽霊さん?」
思わず聞き返してしまった。
「はい! 高校生くらいの女の子の幽霊らしいんですけど、お部屋でその幽霊と出会ったカップルは必ず結ばれるらしいんです」
「なるほどね……」
座敷童子的な感じか。高校生くらいの女の子の幽霊ってことはきっと可愛いんだろうけど、幽霊であることには変わりない。
ホテルに関しては公式サイトくらいしか見ていなかったので、縁結びの幽霊のことなんて全然知らなかったよ。
「どうしたんですか? 急に顔色が悪くなりましたけど。寒いならクーラーの温度、上げましょうか?」
「いや、それはいいんだ。ただ、僕……心霊系とかが苦手で」
「そうだったんですか。私は割と好きな方なので、もし幽霊さんが出たら私が智也さんのことをお守りしますね!」
「……頼もしいね」
さらりとそう言えてしまうことに、ちょっと情けなさを感じる。
美来のやりたいことならできるだけ叶えさせたいと思っていたけど、幽霊に会うことだけは、僕にはどうしようもできないな。ただ、こういうのは運が全てだからこそいいのかもしれない。僕はあまりお目に掛かりたくないけど。
「わあっ、海が見えてきましたね!」
「そうだね。綺麗だなぁ」
青い空に、青い海。太陽が照り付けているから、海はキラキラと光っている。
海も見えてきたってことは、アクアサンシャインリゾートホテルにも近いのかな。カーナビの画面には、到着予定時刻として今から20分後の時刻が表示されている。
「旅行に来たって感じがしてきました!」
「海が見えると、やっぱり雰囲気が変わるよね」
正直、僕は自宅の近くにあるレンタカー屋さんから出発し、30分後ぐらいに高速道路を走り始めた頃くらいから旅行気分になっているけれど。
「ホテルまであとどのくらいでしょうか」
「カーナビ予想だとあと20分くらいかな」
地方に来ただけあって、周りの景色も自然でいっぱい。海や山、畑があって……民家や商店がちらほらと。のんびりとした風景になっている。
「じゃあ、もうすぐで着くんですね」
楽しみだなぁと美来は呟く。縁結びの幽霊さんを含め、美来にはホテルでの楽しみがいっぱいあるようだ。そんなことを想い、途中のサービスエリアで購入した缶コーヒーを飲みながら運転を続けるのであった。
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