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特別編-ラブラブ!サンシャイン!!-
第10話『壁クイ』
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海へ遊びに行ってから2時間くらいしか経っていないのに、随分と久しぶりに部屋に戻ったような気がする。外の気温に慣れていたからか、部屋の中がとても涼しく思える。
「智也さん、水着に砂とかが付いていると思うので、軽く洗って干しておきますね」
「ありがとう」
「智也さん、ここでもお願いです。今日中はお風呂や寝るとき以外はずっとメガネをかけてくれませんか? 運転中のメガネ姿の智也さんを見て、素敵だなと思ったので」
「……分かった」
こんなことがお願いだなんて美来も可愛いな。僕はバッグからメガネケースを取り出して、メガネをかける。
「メガネをかけるとさすがによく見えるね」
「ふふっ。じゃあ、水着を洗ってきますね」
「お願いします」
じゃあ、それまではバルコニーに出て、さっき買ったコーラでも飲みながらゆっくりしていようかな。
バルコニーに出ると、さすがに海の近くなのか、僕達が住んでいるところよりもちょっと涼しく感じられる。穏やかな波の音や、今もプールで遊ぶ人達の声が聞こえるからかな。
さっき買ったコーラを開けて、一口飲む。
「うん、美味しい」
どこにでも売っているノンカロリーのコーラなんだけどな。どうして、旅先で飲むといつもよりも美味しく感じられるんだろう。
バルコニーにも小さなテーブルと椅子が2つ置いてあるので、僕はそれに座って、さっきもらった2つのパンフレットを見ることに。字も小さいから、メガネをかけて正解だったな。読みやすい。
それにしても、結構ここら辺って色々な観光地があるんだな。さっき、宮原さんに勧めてもらった鍾乳洞はもちろん、城跡、岬、今が開花時期のひまわりがたくさん咲いている庭園など。ホテル発着の半日ツアーが人気なのも分かる気がする。
「智也さん、水着を洗い終わりました」
「ありがとう。お疲れ様」
美来、さっき買ったみかん味のお水を持ってバルコニーにやってきた。
「ここにも椅子があったんですね」
そう言うと、美来はテーブルを挟んで向かい側の椅子に座り、みかん味のお水を飲んだ。
「美味しいなぁ。智也さんも飲んでみますか?」
「うん、飲ませて。僕のコーラも飲んでいいから」
「では、交換という形で」
僕はみかん味のお水、美来はノンカロリーのコーラを一口飲む。うん、みかんの味がしっかりしているなぁ。見た目は透明なのに。
「ふふっ、間接キスしちゃいましたね」
「……そういうことか」
「もちろん、コーラも美味しかったですよ!」
「みかん味のお水も美味しかったよ」
美来とは数え切れないくらいにキスしたし、もう間接キスくらいでは何とも思わなくなってきた。
「それにしても、綺麗な景色ですね」
「……そうだね」
綺麗な夕焼けを背景に、海を眺めている美来の横顔の方がよっぽど綺麗だけど。金髪だからなのか、どこかの財閥の令嬢のように見える。
「……そうだ。智也さんに是非、やってほしいことがあって」
「やってほしいこと?」
「ええ。そのためにも、お部屋に戻りましょう」
部屋の中で僕にやってほしいことって何だろう? 全く想像ができないので凄く怖いんだけど。
「智也さん。壁ドンと顎クイをしてください!」
「……ん?」
どうして旅先で壁ドンと顎クイというものをしてほしいんだ。あと、壁ドンは前に流行っていたからまだ分かるけど、
「顎クイってなに?」
「顎をこうやることです」
美来がそう言うと、右手で僕の顎を軽く持ち上げられる。急にやられたから僕はビックリしたけど、中にはこうされてドキドキする人もいるのか。
「壁ドンをしてって言われても、隣の部屋の人に迷惑にならない?」
バルコニー側の壁も、壁ドンできるほどのスペースはないしなぁ。
「この部屋は1301号室。端のお部屋です。テレビが置いてある側の壁なら迷惑にはなりません。それに、洗面所の扉の横でも、壁の向こう側はこの部屋の浴室になるので大丈夫ですよ?」
「……ちゃんと考えているんだね」
そういえば、僕……この部屋の中をまだあまり見ていなかったな。さっき、美来は水着を洗っていたから、その際にこの部屋の中がどうなっているのかを確認したのかも。
「テレビの横……ここでやりましょう」
「うん、分かった。一度もやったことがないからさ、ちょっとどんな感じなのか試してみてもいい?」
「分かりました」
壁ドンも顎クイも今までやったことがないから、一度練習してみないと。ベッドに押し倒したことは何度かあるんだけど。
美来は僕に壁ドン&顎クイをされるために、壁を背にして僕のことを見ている。
「よし、やってみるね」
「お、お願いします」
練習とはいえ、ドキドキしていそうな美来を見ると、壁ドンをすることに申し訳なさが。それでもやらないと。
――ドンッ!
左手を使って、美来の耳の近くで壁ドンをして、右手で美来の顎をクイッと上げてみる。
「こんな感じかな?」
「は、はい。こんな感じです。かっこいい……」
そう言う美来はうっとりとした表情をして僕のことを見つめている。あと、美来の生温かな吐息が右手に掛かってきてくすぐったい。
いつまでもこの状態のままでいるのはまずいので一度、美来から離れる。
「何だか智也さんに包み込まれているようでした。とてもかっこよかった……」
「そっか」
美来がそう言ってくれたのは嬉しいけど、さっき壁ドンをしたときに左手が痛くなっちゃったので本番はどうするか。
「智也さん。本番では何か……かっこいい言葉を言ってくれませんか」
「……段々ハードルが上がってきているような気がするな。やってみるけれど」
「……お願いします」
キュンとくる言葉じゃなくて、かっこいい言葉かぁ。でも、かっこいい言葉を言えばキュンとくるのかな……あぁ、本格的に分からなくなってきたぞ。
再び、美来は背を壁に付けて僕が壁ドンと顎クイをするのを待っている。
よし、やってみるか。
――ドンッ!
左の手から肘までを使って壁ドンをして、右手で美来の顎をクイッ、と上げる。
「僕の妻は美来だけだ。だから、僕と一緒にいてほしい」
かっこいい言葉がなかなか思いつかなかったので、結局は僕の想っていることを言葉にした。
「ふふっ」
さっきとは違って、美来は顔を赤くすることなく楽しそうに笑っている。
「ちょっとキュンとなりましたけど、これ……かっこいいのかなぁ?」
「かっこいい言葉が全然思いつかなかったんだ……」
「そうですか」
美来、笑いが止まらず。不満そうな表情をされるよりはいいけれど、何だかこれはこれで結構恥ずかしい。なので、壁ドンと顎クイの状態を解く。
「でも、ありがとうございます。妻として智也さんの側に……すっといますね」
そう言って、美来の方からキスしてきた。僕がかっこいい言葉を言えなくても嬉しかったのか、舌を絡ませてくる。さっき飲んだからかコーラとみかんの味が混ざり合って、とにかく甘かった。
「今度のキスは甘かったですね」
「コーラとみかん味のお水を飲んだからね。……それはそうと、美来のお願いを僕は叶えることができたのかな」
「もちろんです。私に言ってくれた言葉もとても素敵でしたから。素敵な旅行の思い出の一つになりました。ありがとうございます」
「楽しい思い出の一つになったなら嬉しいよ」
僕にとっては恥ずかしい思い出の一つになっちゃったけど。壁ドンと顎クイ……略して壁クイだな。誰かがもう言っているかもしれないけど。
「もう少しで夕食の時間ですね」
「そうだね、久しぶりにたくさん運動したから、結構お腹空いちゃったな」
「私もお腹ペコペコです」
「バイキング形式みたいだけれど、食べ過ぎには気を付けないとなぁ。昔、夕ご飯に食べ過ぎてお腹を壊したことがあるからさ……」
「智也さんってそんなに食べるんですか? いつもは一般的な量ですよね」
「普段はね。でもさ、旅行に行くと何だかいつもより食べられそうな気がするんだ。美味しい食べ物もたくさんあるし。バイキングだから多めに取っちゃって」
「それ分かります。なぜか、いつもよりもたくさん食べることができちゃうんですよね。お腹を壊したことはありませんが」
「そっか。えらいえらい」
思わず美来の頭を優しく撫でる。
思い返せば、美来……一度もお腹が痛いとか言ったことがなかったような気がする。女子高生って胃腸がしっかりしているのかな。
「僕はつい食べ過ぎることが多くて。まあ、ここ数年くらいはお腹を壊すほど食べることはないけどね。ただ、念のために胃腸薬はたくさん持ってきてある」
「なるほどです。あと、智也さんはお酒の量も考えた方がいいかもしれませんね。呑みすぎたら、お部屋で色々とできなくなっちゃうかもしれないので」
「……気を付けます」
元々、お酒にはあまり強くないのは分かっているから、アルコールの強いお酒を避けたり、弱くてもたくさんの量を呑んだりしないようにしなければ。
「でも、お酒に酔った智也さんは普段よりも大胆になって、えっちでほどよく意地悪になるのでそれはそれでいいかも……」
これは……本当に気を付けないといけないな。美来に乗せられていつもよりもお酒をたくさん呑んじゃうかもしれないから。
「智也さん、水着に砂とかが付いていると思うので、軽く洗って干しておきますね」
「ありがとう」
「智也さん、ここでもお願いです。今日中はお風呂や寝るとき以外はずっとメガネをかけてくれませんか? 運転中のメガネ姿の智也さんを見て、素敵だなと思ったので」
「……分かった」
こんなことがお願いだなんて美来も可愛いな。僕はバッグからメガネケースを取り出して、メガネをかける。
「メガネをかけるとさすがによく見えるね」
「ふふっ。じゃあ、水着を洗ってきますね」
「お願いします」
じゃあ、それまではバルコニーに出て、さっき買ったコーラでも飲みながらゆっくりしていようかな。
バルコニーに出ると、さすがに海の近くなのか、僕達が住んでいるところよりもちょっと涼しく感じられる。穏やかな波の音や、今もプールで遊ぶ人達の声が聞こえるからかな。
さっき買ったコーラを開けて、一口飲む。
「うん、美味しい」
どこにでも売っているノンカロリーのコーラなんだけどな。どうして、旅先で飲むといつもよりも美味しく感じられるんだろう。
バルコニーにも小さなテーブルと椅子が2つ置いてあるので、僕はそれに座って、さっきもらった2つのパンフレットを見ることに。字も小さいから、メガネをかけて正解だったな。読みやすい。
それにしても、結構ここら辺って色々な観光地があるんだな。さっき、宮原さんに勧めてもらった鍾乳洞はもちろん、城跡、岬、今が開花時期のひまわりがたくさん咲いている庭園など。ホテル発着の半日ツアーが人気なのも分かる気がする。
「智也さん、水着を洗い終わりました」
「ありがとう。お疲れ様」
美来、さっき買ったみかん味のお水を持ってバルコニーにやってきた。
「ここにも椅子があったんですね」
そう言うと、美来はテーブルを挟んで向かい側の椅子に座り、みかん味のお水を飲んだ。
「美味しいなぁ。智也さんも飲んでみますか?」
「うん、飲ませて。僕のコーラも飲んでいいから」
「では、交換という形で」
僕はみかん味のお水、美来はノンカロリーのコーラを一口飲む。うん、みかんの味がしっかりしているなぁ。見た目は透明なのに。
「ふふっ、間接キスしちゃいましたね」
「……そういうことか」
「もちろん、コーラも美味しかったですよ!」
「みかん味のお水も美味しかったよ」
美来とは数え切れないくらいにキスしたし、もう間接キスくらいでは何とも思わなくなってきた。
「それにしても、綺麗な景色ですね」
「……そうだね」
綺麗な夕焼けを背景に、海を眺めている美来の横顔の方がよっぽど綺麗だけど。金髪だからなのか、どこかの財閥の令嬢のように見える。
「……そうだ。智也さんに是非、やってほしいことがあって」
「やってほしいこと?」
「ええ。そのためにも、お部屋に戻りましょう」
部屋の中で僕にやってほしいことって何だろう? 全く想像ができないので凄く怖いんだけど。
「智也さん。壁ドンと顎クイをしてください!」
「……ん?」
どうして旅先で壁ドンと顎クイというものをしてほしいんだ。あと、壁ドンは前に流行っていたからまだ分かるけど、
「顎クイってなに?」
「顎をこうやることです」
美来がそう言うと、右手で僕の顎を軽く持ち上げられる。急にやられたから僕はビックリしたけど、中にはこうされてドキドキする人もいるのか。
「壁ドンをしてって言われても、隣の部屋の人に迷惑にならない?」
バルコニー側の壁も、壁ドンできるほどのスペースはないしなぁ。
「この部屋は1301号室。端のお部屋です。テレビが置いてある側の壁なら迷惑にはなりません。それに、洗面所の扉の横でも、壁の向こう側はこの部屋の浴室になるので大丈夫ですよ?」
「……ちゃんと考えているんだね」
そういえば、僕……この部屋の中をまだあまり見ていなかったな。さっき、美来は水着を洗っていたから、その際にこの部屋の中がどうなっているのかを確認したのかも。
「テレビの横……ここでやりましょう」
「うん、分かった。一度もやったことがないからさ、ちょっとどんな感じなのか試してみてもいい?」
「分かりました」
壁ドンも顎クイも今までやったことがないから、一度練習してみないと。ベッドに押し倒したことは何度かあるんだけど。
美来は僕に壁ドン&顎クイをされるために、壁を背にして僕のことを見ている。
「よし、やってみるね」
「お、お願いします」
練習とはいえ、ドキドキしていそうな美来を見ると、壁ドンをすることに申し訳なさが。それでもやらないと。
――ドンッ!
左手を使って、美来の耳の近くで壁ドンをして、右手で美来の顎をクイッと上げてみる。
「こんな感じかな?」
「は、はい。こんな感じです。かっこいい……」
そう言う美来はうっとりとした表情をして僕のことを見つめている。あと、美来の生温かな吐息が右手に掛かってきてくすぐったい。
いつまでもこの状態のままでいるのはまずいので一度、美来から離れる。
「何だか智也さんに包み込まれているようでした。とてもかっこよかった……」
「そっか」
美来がそう言ってくれたのは嬉しいけど、さっき壁ドンをしたときに左手が痛くなっちゃったので本番はどうするか。
「智也さん。本番では何か……かっこいい言葉を言ってくれませんか」
「……段々ハードルが上がってきているような気がするな。やってみるけれど」
「……お願いします」
キュンとくる言葉じゃなくて、かっこいい言葉かぁ。でも、かっこいい言葉を言えばキュンとくるのかな……あぁ、本格的に分からなくなってきたぞ。
再び、美来は背を壁に付けて僕が壁ドンと顎クイをするのを待っている。
よし、やってみるか。
――ドンッ!
左の手から肘までを使って壁ドンをして、右手で美来の顎をクイッ、と上げる。
「僕の妻は美来だけだ。だから、僕と一緒にいてほしい」
かっこいい言葉がなかなか思いつかなかったので、結局は僕の想っていることを言葉にした。
「ふふっ」
さっきとは違って、美来は顔を赤くすることなく楽しそうに笑っている。
「ちょっとキュンとなりましたけど、これ……かっこいいのかなぁ?」
「かっこいい言葉が全然思いつかなかったんだ……」
「そうですか」
美来、笑いが止まらず。不満そうな表情をされるよりはいいけれど、何だかこれはこれで結構恥ずかしい。なので、壁ドンと顎クイの状態を解く。
「でも、ありがとうございます。妻として智也さんの側に……すっといますね」
そう言って、美来の方からキスしてきた。僕がかっこいい言葉を言えなくても嬉しかったのか、舌を絡ませてくる。さっき飲んだからかコーラとみかんの味が混ざり合って、とにかく甘かった。
「今度のキスは甘かったですね」
「コーラとみかん味のお水を飲んだからね。……それはそうと、美来のお願いを僕は叶えることができたのかな」
「もちろんです。私に言ってくれた言葉もとても素敵でしたから。素敵な旅行の思い出の一つになりました。ありがとうございます」
「楽しい思い出の一つになったなら嬉しいよ」
僕にとっては恥ずかしい思い出の一つになっちゃったけど。壁ドンと顎クイ……略して壁クイだな。誰かがもう言っているかもしれないけど。
「もう少しで夕食の時間ですね」
「そうだね、久しぶりにたくさん運動したから、結構お腹空いちゃったな」
「私もお腹ペコペコです」
「バイキング形式みたいだけれど、食べ過ぎには気を付けないとなぁ。昔、夕ご飯に食べ過ぎてお腹を壊したことがあるからさ……」
「智也さんってそんなに食べるんですか? いつもは一般的な量ですよね」
「普段はね。でもさ、旅行に行くと何だかいつもより食べられそうな気がするんだ。美味しい食べ物もたくさんあるし。バイキングだから多めに取っちゃって」
「それ分かります。なぜか、いつもよりもたくさん食べることができちゃうんですよね。お腹を壊したことはありませんが」
「そっか。えらいえらい」
思わず美来の頭を優しく撫でる。
思い返せば、美来……一度もお腹が痛いとか言ったことがなかったような気がする。女子高生って胃腸がしっかりしているのかな。
「僕はつい食べ過ぎることが多くて。まあ、ここ数年くらいはお腹を壊すほど食べることはないけどね。ただ、念のために胃腸薬はたくさん持ってきてある」
「なるほどです。あと、智也さんはお酒の量も考えた方がいいかもしれませんね。呑みすぎたら、お部屋で色々とできなくなっちゃうかもしれないので」
「……気を付けます」
元々、お酒にはあまり強くないのは分かっているから、アルコールの強いお酒を避けたり、弱くてもたくさんの量を呑んだりしないようにしなければ。
「でも、お酒に酔った智也さんは普段よりも大胆になって、えっちでほどよく意地悪になるのでそれはそれでいいかも……」
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