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続編
第5話『助っ人』
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4月25日、木曜日。
週も後半になり、10連休間近ということもあってか、クラスのテンションがより上がっているように思える。
今日は体育の授業もあったから、あっという間に一日が過ぎていった。
放課後になると風花や加藤、橋本さんを送り出して、美優先輩達を待つといういつも通りの時間を過ごす。
先週末に具合が悪くなった風花も、すっかりといつも通りの元気さを取り戻していた。体育の授業はもちろんのこと、水泳部の活動も全力で臨んでいるらしい。
「由弦君」
「あっ、美優先輩。お疲れ様です……あれ?」
いつもは美優先輩と花柳先輩の2人なのに、今日は103号室に住む佐竹莉帆先輩までいる。どうしたんだろう? バイトがないから一緒に遊んだり、あけぼの荘に帰ったりしようって話になったのかな。
「佐竹先輩も一緒なのは珍しいですね」
「バイトのある日が多いからね。今日もこれからバイトなんだけど、実はシフトに入っている人達が風邪を引いたり、急に外せない用事が入ったりして来られなくなってさ。だから、今日だけ美優ちゃんと瑠衣ちゃんにお願いしたの。2人とも、これまでに何度か助っ人で手伝ってもらったことがあって」
「そうなんですね」
アパートの管理人さんをしていても、単発ならアルバイトをしても大丈夫そうか。
美優先輩と花柳先輩は喫茶店でバイトをするのか。バイトをしている先輩達を見てみたいし、今日の放課後はコーヒーを飲みながらゆっくりしようかな。
「それで、この後……由弦君も一緒にバイトをしてくれないかな?」
「えっ?」
「桐生君は料理が上手だからキッチンもできそうだし、イケメンで物腰も柔らかいから接客にも向いていそうだし! バイト代も弾むって店長も言っているんだけど……手伝ってもらえないかな? 桐生君がいるととても助かるの」
佐竹先輩は両手で俺の右手をぎゅっと掴み、真剣な様子で見つめてくる。
バイトの助っ人か。学校生活にも慣れてきて、そろそろバイトをしたいと思っていたので参考にするいい機会だな。バイト代が入れば、ゴールデンウィーク中に美優先輩とデートをするときなどにも使える。
「分かりました。今日は先輩方と一緒に俺もバイトをします」
「ありがとう、桐生君! 本当に助かるよ」
「じゃあ、さっそく4人で喫茶店・ユナユナに行こうか」
「はい」
俺は先輩方と一緒に学校を後にして、ユナユナのある方に向かって歩き始める。
助っ人とはいえ、まさか平成の間にアルバイトをすることになるとは。こういうことがあると、元号が平成のうちに予想外のことがまだまだ起こりそうな気がする。
「それにしても、学校で3人も助っ人を集めるほどに、今日のバイトの方が休むなんて。不運が重なった感じがするわね」
「そうだね、瑠衣ちゃん。シフトない子も今日は外せない用事があって入れない人ばかりで。だから、あたしが学校で助っ人を探すことになったの。といっても、瑠衣ちゃんや美優ちゃんっていう経験者もいるし、桐生君っていう期待の新星も現れたから誰に頼むか悩むことはなかったよ」
「俺のことを随分と高く買ってくれますね」
「だって、美優ちゃんの彼氏になるほどの子だし、その美優ちゃんが料理については太鼓判を押しているんだよ? 人当たりもいいって言っているし。料理については瑠衣ちゃんも褒めてる。だから、桐生君に頼もうって決めたの」
「そうですか。美優先輩や花柳先輩もありがとうございます」
「由弦君なら力になると思ったんだよ」
「料理が上手っていうのは部活とかで分かっているからね。まあ、他の部員とも仲良く話すし、人当たりがいいのも納得かな」
美優先輩と花柳先輩はそう言ってくれる。その期待に応えることができるようにバイトに励まないと。
「佐竹先輩。俺達はどのような仕事をすればいいんですか? 喫茶店だとキッチン担当とホール担当っていうイメージがありますけど」
「いい質問だね。君の言う通り、担当はキッチンとホールで分かれているの。シフトに入れなくなったのは、キッチン担当が1人でホール担当が2人。だから、美優ちゃんがキッチンで、瑠衣ちゃんと桐生君にはホールを担当してもらおうと思ってる。あたしもホール担当だから安心して」
「佐竹先輩や花柳先輩が一緒なら安心ですね」
「由弦君達と一緒じゃないのは寂しいけれど、料理を作るのは好きだし頑張るね」
美優先輩が接客をする風景も見てみたかったけれど、料理やスイーツ作りが得意なことは事実。3人の中だったら、先輩が最もキッチン担当に適しているんじゃないだろうか。
学校から歩き始めて10分も経たないうちに喫茶店・ユナユナに到着する。
女性の店長さんや休憩しているスタッフの方に挨拶をする。店長さんの話だと、閉店時間である午後8時までとのこと。今は午後4時くらいだから、4時間の勤務か。
また、佐竹先輩が言ったとおりに俺と花柳先輩はホール、美優先輩はキッチンを担当することになった。
店長さんから、俺が着ることのできそうなサイズのホールの制服を受け取り、男子更衣室で着替える。
「おおっ、なかなかいいな」
黒を基調とした制服はかっこいいな。陽出学院高校の制服が紺色だからか、とても大人っぽく感じられる。
あと、部活から帰ってきた風花が宿題を手伝ってほしいと言ってくる可能性もあるので、先輩方と一緒に佐竹先輩のバイトする喫茶店で助っ人をしているとメッセージを送っておく。
最後に鏡で制服のチェックをし、男子更衣室から出る。
すると、そこにはここの制服に着替えた美優先輩、花柳先輩、佐竹先輩の姿が。ホールを担当する花柳先輩と佐竹先輩は俺と一緒の制服だけど、キッチン担当の美優先輩は白を基調とした制服を着ており、黒いベレー帽を被っている。
「おっ、桐生君。サイズの方は大丈夫?」
「ええ。キツくありませんし、動きやすいです」
「良かった。桐生君、似合ってるね。これなら女性のお客さんもたくさん呼べそう」
「ありがとうございます。お客さんがたくさん来るといいですね。みなさんの制服姿もよく似合っていますね」
「ありがとう、桐生君。今日は莉帆やあたしと一緒にホールで頑張ろうね」
そう言って花柳先輩は可愛らしい笑みを浮かべる。そんな花柳先輩の横で、美優先輩はうっとりとした様子で俺のことを見続けている。
「由弦君、かっこいい……」
「ありがとうございます。美優先輩もキッチン担当用の制服がよく似合っていますよ。ベレー帽も可愛いですね」
「ありがとう。由弦君がとてもかっこいいから色々としたくなっちゃうな。それに、お店の制服姿を見ると、由弦君のことをお持ち帰りしたいって注文したくなるよ」
「ははっ、それは美優先輩だけの特別メニューですね。かしこまりました。今日も先輩にお持ち帰りされましょう。もちろん、お値段は無料です」
「……そのときは置いていかないでね」
「もちろんですよ。一緒に帰りましょう」
俺はベレー帽の上から、美優先輩の頭をポンポンと軽く叩いた。そうすると、美優先輩は俺のことを見ながら嬉しそうな笑みを浮かべた。
「バカップルってこういうことを言うのかな、莉帆」
「かもねぇ」
気付けば、花柳先輩と佐竹先輩がニヤニヤしながら俺達のことを見ていた。お客様から見えない場所にいるけど、仕事場であることには変わりない。これから初めてのアルバイトなんだし、しっかりやらないと。
「じゃあ、美優ちゃんはキッチン、瑠衣ちゃんと桐生君はあたしと一緒にホールの仕事をお願いします。2人にはあたしが仕事のやり方を教えるからね。特に初めての桐生君は分からないことがあったり、何かあったりしたらすぐに周りのスタッフに言ってね」
「分かりました」
「では、閉店の午後8時までそれぞれの仕事を頑張りましょう!」
『よろしくお願いします』
その後、俺は花柳先輩と一緒に、佐竹先輩からお客様の応対の仕方や注文の取り方、レジの操作などを教えてもらう。
初めてなので緊張感もあるけど、ここでのバイトが長い佐竹先輩や数回ほどバイトを経験している花柳先輩が一緒なんだ。キッチンにいるからたまにチラッとしか見えないけど、美優先輩もいる。頑張っていこう。
週も後半になり、10連休間近ということもあってか、クラスのテンションがより上がっているように思える。
今日は体育の授業もあったから、あっという間に一日が過ぎていった。
放課後になると風花や加藤、橋本さんを送り出して、美優先輩達を待つといういつも通りの時間を過ごす。
先週末に具合が悪くなった風花も、すっかりといつも通りの元気さを取り戻していた。体育の授業はもちろんのこと、水泳部の活動も全力で臨んでいるらしい。
「由弦君」
「あっ、美優先輩。お疲れ様です……あれ?」
いつもは美優先輩と花柳先輩の2人なのに、今日は103号室に住む佐竹莉帆先輩までいる。どうしたんだろう? バイトがないから一緒に遊んだり、あけぼの荘に帰ったりしようって話になったのかな。
「佐竹先輩も一緒なのは珍しいですね」
「バイトのある日が多いからね。今日もこれからバイトなんだけど、実はシフトに入っている人達が風邪を引いたり、急に外せない用事が入ったりして来られなくなってさ。だから、今日だけ美優ちゃんと瑠衣ちゃんにお願いしたの。2人とも、これまでに何度か助っ人で手伝ってもらったことがあって」
「そうなんですね」
アパートの管理人さんをしていても、単発ならアルバイトをしても大丈夫そうか。
美優先輩と花柳先輩は喫茶店でバイトをするのか。バイトをしている先輩達を見てみたいし、今日の放課後はコーヒーを飲みながらゆっくりしようかな。
「それで、この後……由弦君も一緒にバイトをしてくれないかな?」
「えっ?」
「桐生君は料理が上手だからキッチンもできそうだし、イケメンで物腰も柔らかいから接客にも向いていそうだし! バイト代も弾むって店長も言っているんだけど……手伝ってもらえないかな? 桐生君がいるととても助かるの」
佐竹先輩は両手で俺の右手をぎゅっと掴み、真剣な様子で見つめてくる。
バイトの助っ人か。学校生活にも慣れてきて、そろそろバイトをしたいと思っていたので参考にするいい機会だな。バイト代が入れば、ゴールデンウィーク中に美優先輩とデートをするときなどにも使える。
「分かりました。今日は先輩方と一緒に俺もバイトをします」
「ありがとう、桐生君! 本当に助かるよ」
「じゃあ、さっそく4人で喫茶店・ユナユナに行こうか」
「はい」
俺は先輩方と一緒に学校を後にして、ユナユナのある方に向かって歩き始める。
助っ人とはいえ、まさか平成の間にアルバイトをすることになるとは。こういうことがあると、元号が平成のうちに予想外のことがまだまだ起こりそうな気がする。
「それにしても、学校で3人も助っ人を集めるほどに、今日のバイトの方が休むなんて。不運が重なった感じがするわね」
「そうだね、瑠衣ちゃん。シフトない子も今日は外せない用事があって入れない人ばかりで。だから、あたしが学校で助っ人を探すことになったの。といっても、瑠衣ちゃんや美優ちゃんっていう経験者もいるし、桐生君っていう期待の新星も現れたから誰に頼むか悩むことはなかったよ」
「俺のことを随分と高く買ってくれますね」
「だって、美優ちゃんの彼氏になるほどの子だし、その美優ちゃんが料理については太鼓判を押しているんだよ? 人当たりもいいって言っているし。料理については瑠衣ちゃんも褒めてる。だから、桐生君に頼もうって決めたの」
「そうですか。美優先輩や花柳先輩もありがとうございます」
「由弦君なら力になると思ったんだよ」
「料理が上手っていうのは部活とかで分かっているからね。まあ、他の部員とも仲良く話すし、人当たりがいいのも納得かな」
美優先輩と花柳先輩はそう言ってくれる。その期待に応えることができるようにバイトに励まないと。
「佐竹先輩。俺達はどのような仕事をすればいいんですか? 喫茶店だとキッチン担当とホール担当っていうイメージがありますけど」
「いい質問だね。君の言う通り、担当はキッチンとホールで分かれているの。シフトに入れなくなったのは、キッチン担当が1人でホール担当が2人。だから、美優ちゃんがキッチンで、瑠衣ちゃんと桐生君にはホールを担当してもらおうと思ってる。あたしもホール担当だから安心して」
「佐竹先輩や花柳先輩が一緒なら安心ですね」
「由弦君達と一緒じゃないのは寂しいけれど、料理を作るのは好きだし頑張るね」
美優先輩が接客をする風景も見てみたかったけれど、料理やスイーツ作りが得意なことは事実。3人の中だったら、先輩が最もキッチン担当に適しているんじゃないだろうか。
学校から歩き始めて10分も経たないうちに喫茶店・ユナユナに到着する。
女性の店長さんや休憩しているスタッフの方に挨拶をする。店長さんの話だと、閉店時間である午後8時までとのこと。今は午後4時くらいだから、4時間の勤務か。
また、佐竹先輩が言ったとおりに俺と花柳先輩はホール、美優先輩はキッチンを担当することになった。
店長さんから、俺が着ることのできそうなサイズのホールの制服を受け取り、男子更衣室で着替える。
「おおっ、なかなかいいな」
黒を基調とした制服はかっこいいな。陽出学院高校の制服が紺色だからか、とても大人っぽく感じられる。
あと、部活から帰ってきた風花が宿題を手伝ってほしいと言ってくる可能性もあるので、先輩方と一緒に佐竹先輩のバイトする喫茶店で助っ人をしているとメッセージを送っておく。
最後に鏡で制服のチェックをし、男子更衣室から出る。
すると、そこにはここの制服に着替えた美優先輩、花柳先輩、佐竹先輩の姿が。ホールを担当する花柳先輩と佐竹先輩は俺と一緒の制服だけど、キッチン担当の美優先輩は白を基調とした制服を着ており、黒いベレー帽を被っている。
「おっ、桐生君。サイズの方は大丈夫?」
「ええ。キツくありませんし、動きやすいです」
「良かった。桐生君、似合ってるね。これなら女性のお客さんもたくさん呼べそう」
「ありがとうございます。お客さんがたくさん来るといいですね。みなさんの制服姿もよく似合っていますね」
「ありがとう、桐生君。今日は莉帆やあたしと一緒にホールで頑張ろうね」
そう言って花柳先輩は可愛らしい笑みを浮かべる。そんな花柳先輩の横で、美優先輩はうっとりとした様子で俺のことを見続けている。
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「ありがとうございます。美優先輩もキッチン担当用の制服がよく似合っていますよ。ベレー帽も可愛いですね」
「ありがとう。由弦君がとてもかっこいいから色々としたくなっちゃうな。それに、お店の制服姿を見ると、由弦君のことをお持ち帰りしたいって注文したくなるよ」
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