管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ

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特別編10

第2話『球技大会③-ドッジボール(1年3組)-』

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「次があたし達のクラスだから、もう行かないと」
「そうだね、風花。勝てるように頑張ってくるね」

 風花と橋本さんが俺達に向かってそう言う。1年3組のドッジボールの試合は次の試合なので、もう会場に行っておいた方がいいか。

「ああ。風花、橋本さん、頑張って。ここから応援してる」
「頑張れよ!」
「頑張って! 私、一生懸命応援するから!」
「あたしも応援するわ。頑張ってね」

 俺、加藤、霧嶋先生、大宮先生はエールを送る。あと、担任教師だけあって、霧嶋先生は力が入っているな。可愛い先生だ。

「あと……奏。俺からおまじないだ」

 加藤はそう言うと、橋本さんにキスをする。その際、周りから女子達の黄色い声が聞こえてきて。2人は普段からラブラブだし、おまじないということでキスしているので、2人のキスを見ていると微笑ましい気持ちに。
 数秒ほどして、加藤から唇を離した。おまじないのキスをしてもらったからか、橋本さんはとても嬉しそうだ。

「ありがとう。頑張れそうだよ、潤」
「おう、頑張れよ、奏」
「良かったね、奏」
「うんっ。じゃあ、いってきます」
「いってきます!」

 風花と橋本さんは俺達とグータッチを交わして、ギャラリーを後にする。また、離れる際に風花は俺に、橋本さんは加藤に荷物を渡した。
 コートの方を見ると、美優先輩や花柳先輩はコートから出ており、体育館から出ようとしているところだった。
 ただ、出入口のところで風花と橋本さんの姿が見え、4人は何やら話している。みんな笑顔であることからして、先輩方の勝利をおめでとうと言ったり、風花と橋本さんに試合頑張れと言ったりしているのだろう。
 それから程なくして、美優先輩と花柳先輩は体育館から出た。そして、

「今年も1回戦を勝利できました! 由弦君達の応援聞こえてました。励みになりました。ありがとうございます」
「初戦勝ちました! 応援ありがとうございました!」

 美優先輩と花柳先輩がギャラリーにやってきて、嬉しそうな様子でそう言ってきた。2人がこう言ってくれると応援して良かったなと思える。
 俺達4人は美優先輩と花柳先輩とハイタッチを交わした。
 また、美優先輩は俺のことを抱きしめてきて。そのことで、美優先輩の温もりや柔らかさ、汗混じりの甘い匂いを感じられて。幸せな気持ちになる。

「おめでとうございます。美優先輩は一度も当たりませんでしたし、花柳先輩は相手を何人もアウトにしましたね」
「おめでとう! 今年もドッジボールを1回戦突破できて嬉しいわ!」
「おめでとう。花柳さんも活躍していたし、白鳥さんもよく逃げ切ったわね」
「先輩方、おめでとうございます」

 俺達4人は美優先輩と花柳先輩に改めて1回戦勝利を讃えた。そのことで、2人の笑顔はより嬉しそうなものになったように見えた。

「ありがとうございます。ジャンプボールが成功したらあたしにボールを渡すっていう作戦が上手くいったのがいいきっかけだったのかもしれません」
「そうだね、瑠衣ちゃん。いきなりアウトにできたからね」

 やっぱり、ジャンプボールについては作戦を考えていたのか。スムーズなプレーだったからな。

「あと……私が逃げ切れたのは由弦君がかけてくれたおまじないのおかげだよ。ありがとう」

 俺の目を見つめながらそう言うと、美優先輩はキスしてきた。さっきの加藤のおまじないのときのように、女子達の黄色い声が聞こえた。
 試合中は必死に逃げていたのもあり、試合前に俺がおまじないをかけたときよりも美優先輩の唇から感じる温もりは強く感じられた。
 少しして美優先輩の方から唇を離した。その流れで目が合うと、先輩は俺に向かってニコッと笑いかけてくれた。それがとても可愛くてドキッとさせられる。

「良かったです、先輩」

 そう言って、美優先輩の頭をポンポンと優しく叩く。そのことで、先輩はへにゃっとした笑顔になって。それがとても可愛かった。
 美優先輩と花柳先輩に預かっていた荷物を返すと、先輩方は持参した水筒でゴクゴクと水分補給していた。ちなみに、美優先輩は俺と同じスポーツドリンクだ。2人とも体を動かした後だからか、とっても美味しそうに飲んでいた。

「おっ、奏と姫宮達が出てきたぜ」

 加藤がそう言うのでコートの方を見ると、コートには第6試合を戦う両チームの生徒達が出てきていた。
 風花と橋本さんが赤いゼッケンを身につけているので、うちのクラスは赤いゼッケンか。ちなみに、相手チーム……確か1年9組だったか。相手は青いゼッケンだ。また、風花はゼッケン1番、橋本さんはゼッケン2番を身につけている。
 俺達6人は1年3組の生徒達に向かって「頑張れ」とエールを送る。その声が聞こえたようで、風花や橋本さん達は笑顔でこちらに手を振ってきた。
 それから程なくして、先ほどの試合と同じ女性教師がコートにやってきて、両チームの生徒はセンターライン付近で向かい合う形で立つ。

「これより、1年3組対1年9組の試合を始めます」
『お願いします』

 さあ、いよいようちのクラスのドッジボールが始まるぞ。

「応援はするけど、ちゃんと見ないとね。この試合での勝者が、あたし達の次の相手になるから」
「そうだね、瑠衣ちゃん」

 先輩方はそう話す。次の試合に勝つためには、相手を知っておくことは大切だ。美優先輩はいつもの優しい笑顔だけど、花柳先輩はいつになく真剣な様子だ。
 風花と橋本さんは内野にいる。ちなみに、うちのチームでジャンプボールを担当するのは……チームの中で一番背の高い山田さんという子だ。確か、テニス部だった気がする。相手のチームのゼッケン4番女子と背の高さはほとんど変わらない。
 ジャンプボールを担当する2人が向かい合う形で立つ。
 ――ピーッ!
 女性教師がホイッスルを鳴らし、ボールを高く投げる。

『おっ!』

 山田さんはボールが投げられた直後に跳躍し、相手チームの生徒よりも高く飛び上がった! だから、思わず声が出てしまって。それは美優先輩達も同じだった。

「風花ちゃん!」

 山田さんはそう言い、風花に向かってボールを弾き飛ばす。その弾き方はまるでバレーボールのスパイクのようで。ボールは風花に向かって一直線に飛んでいく。

「うんっ!」

 風花は山田さんからのパスをしっかりとキャッチ。すぐさまにセンターラインに向かって走り出し、

「それっ!」

 風花は勢い良くボールを投げる。さっきの試合の花柳先輩よりもかなり速い速度で、ゼッケン6番の生徒に向かって飛んでいく。
 ゼッケン6番の生徒は逃げようとする。しかし、風花の投げたボールがあまりにも速く、
 ――ボンッ!
 逃げる前前に左の太ももにヒット! 当たったことでボールの勢いが落ちて、その場でボールが床に落ちた。

 ――ピーッ!
「青ゼッケン6番アウト!」
『おおっ!』

 いきなりアウトを取ったのもあり、会場は盛り上がる。
 見事なプレーだ。ただ、さっきの2年4組の試合と流れが似ているので、うちのクラスもジャンプボールについて、事前に作戦を立てていたのかもしれない。

「風花! ナイス!」
「姫宮凄えな!」
「姫宮さん凄いわ!」
「凄いよ、風花ちゃん!」
「風花ちゃん! ナイスプレー!」
「さすがは風花ちゃんだわ!」

 俺達は風花に向かって称賛の言葉を送る。その言葉が風花に届いたようで、風花は笑顔で右手を高く上げ、ピースサインしてきた。可愛いしかっこいいな。
 また、風花は近くにいる橋本さんや山田さんと左手でハイタッチを交わす。
 相手チームはジャンプボールを務めたゼッケン4番の生徒がボールを拾う。あの生徒は誰を狙う? 味方をアウトにした風花か? ジャンプボールで負かされた山田さんか? それとも他の――。

「試合前にキスしてくれるイケメン金髪彼氏がいるなんて羨ましいわ! ゼッケン2番!」

 ゼッケン2番……って橋本さんのことか! まさか、彼氏のいることの嫉妬をここでぶつけてくるとは。
 相手チームのゼッケン4番の生徒は橋本さんに向けてボールを投げる。風花ほどではないけど、なかなかの速さのボールだ。
 橋本さんにめがけてボールが飛んでいくけど、ゼッケン2番と宣言したのもあってか橋本さんは特に慌てる様子もなく、
 ――ボンッ!
 両手でボールをしっかりと受け止めた。

「よしっ! いいぞ、奏!」
「橋本さんナイスキャッチ!」

 恋人の橋本さんがキャッチしたので、加藤は興奮気味だ。霧嶋先生も大きな声で褒め言葉を言う。
 橋本さんはセンターラインに走っていき、

「それっ!」

 勢い良くボールを投げた。橋本さんもなかなかの速さだ。
 ボールは、先ほど橋本さんに向けて投げたゼッケン4番の生徒に向かって飛んでいき、
 ――ボンッ!
 ゼッケン4番の右肩にヒットした!
 ゼッケン4番の生徒に当たったボールはふわりと浮き上がる。何人かの生徒がボールに向かって走っていくけど、誰も取ることができずにボールは床に落ちた。

 ――ピーッ!
「ゼッケン4番アウト!」
『おおおっ!』

 1年3組チームが順調に2人目をアウトにしたからか、会場はさらに盛り上がる。そんなムードの中で橋本さんは風花達とハイタッチを交わす。

「奏、ナイスプレーだ!」
「橋本さんも凄いわ!」
「橋本さんもアウトにした!」
「奏ちゃんも凄いね!」
「奏ちゃんの投げるボールも速かったわね!」
「そうね、瑠衣ちゃん。奏ちゃんいいね!」

 俺達は橋本さんに向かって大きな声で称賛を送る。
 さっきの風花に倣ってだろうか。橋本さんは笑顔になり、右手を高く上げてピースサインをした。
 それからも試合が進んでいく。
 1年3組チームは風花と橋本さんを中心に攻撃を展開する。2人とも投球が速いのもあって、相手チームの生徒を続々とアウトにしていく。

「いいぞ、奏! 姫宮もいいぞ!」

 恋人が大活躍しているのもあってか、加藤はかなり大きな声で応援している。結構迫力もあって。

「姫宮さん、またアウトにしたわ! とってもいいわよっ!」

「橋本さんもアウトにしたわね! その調子で!」

「山田さん、ナイスキャッチ!」

 担任として受け持っているクラスだからか、霧嶋先生は物凄く熱を入れて応援している。チーム一人一人のプレーを褒めたり、アウトになっても「気にしないで! 次、いきましょう!」とフォローしたりと、まるで自分も試合に参加しているかのようだ。
 風花と橋本さんの攻撃と、霧嶋先生の応援もあってか、

 ――ピーッ!
「そこまで! 内野にいる青ゼッケンの生徒が全員アウトになったため、この時点で試合終了です! 1年3組……残り5人、1年9組は残り0人。よって、1年3組の勝利です!」

 相手チームの内野にいる人数をゼロにしたため、試合時間の7分が経過する前に試合が終了し、1年3組が勝利した! 全員倒しての試合終了となったので、会場は大いに盛り上がり、拍手が送られる。
 風花と橋本さんは内野にいるチームメイトと嬉しそうにハイタッチする。
 俺達6人も笑顔でハイタッチを交わして、

「奏、姫宮、良かったぞ! みんなおめでとう!」
「素晴らしい試合だったわ! おめでとう!」
「風花、橋本さん、凄かったな! みんな、1回戦勝利おめでとう!」
「風花ちゃんも奏ちゃんもいい攻撃だったよ! 1年3組おめでとう!」
「みんな初戦勝利おめでとう! 風花ちゃんも奏ちゃんも凄かったわ!」
「1年3組凄いわ! 初戦突破おめでとう!」

 俺達は1年3組のメンバーに向かって祝福の言葉を送った。他学年の美優先輩と花柳先輩や、他クラスの担任である大宮先生もおめでとうと言ってくれるのが嬉しくて。
 俺達の言葉が聞こえたようで、風花や橋本さん達はこちらに向いて、

『ありがとうございます!』

 と、声を揃えてお礼を言い、笑顔で手を振っていた。

「次の対戦相手はかなりの強敵ね」
「そうだね、瑠衣ちゃん」

 花柳先輩は真剣な様子で、美優先輩はいつもの優しい笑顔でそんな会話をする。
 そう。この試合で1年3組が勝利したことで決まったのだ。
 風花と橋本さんがいる我ら1年3組と、美優先輩と花柳先輩がいる2年4組が2回戦で対決することが。



「初戦勝ちました! 応援ありがとうございました!」
「みなさんのおかげで勝てました! ありがとうございました!」

 ギャラリーに戻ってきた風花と橋本さんは笑顔でお礼を言ってきた。全員倒しての勝利だったのもあり、2人ともとてもいい笑顔だ。
 俺達6人は「おめでとう」と言い、風花と橋本さんとハイタッチを交わした。また、霧嶋先生は「よくやったわ」と2人の頭を撫でていて。
 霧嶋先生に頭を撫でられた後、橋本さんは加藤の目の前に立って、

「潤のおまじないがあったから、凄く力を出せて、相手をいっぱいアウトにできたと思う。狙われたこともあったけどね。……ありがとう」

 橋本さんは加藤に向かってお礼を言い、ちゅっ、とキスをした。
 少しして橋本さんが唇を離すと、加藤はニコッと笑って、

「いえいえ。相手をアウトにする奏はかっこよかったぜ。最高だった」

 そう言って橋本さんの頭を撫でた。それもあって、橋本さんは「うんっ」と幸せそうな笑顔になって。カップルのいい光景だな。

「あたし達も勝てたので、次の対戦相手は……美優先輩と瑠衣先輩のいる2年4組ですね。対戦するのが楽しみです!」

 風花はそう言うと、美優先輩と花柳先輩に凜々しい笑顔を向ける。こういうことを言えるのはスポーツをやっている風花らしいなぁと思える。

「私も楽しみです」
「私も楽しみだよ。クラスが多いしトーナメント戦だから、1年3組と試合ができるのが嬉しいよ」
「あたしも嬉しいし、楽しみだわ。風花ちゃんや奏ちゃんがいるし、かなり強いって分かったからね」

 橋本さん、美優先輩、花柳先輩も笑顔でそう言う。3人も次の試合で対決することが楽しみか。学年も違って一緒に授業を受けることは当然ないから、こういうイベントで関われるのが嬉しいのかもしれない。

「試合には出ないけど、あたしと一佳ちゃんの戦いとも言えるかな」
「そうですね、成実さん。うちのクラスが勝てるように応援します。よろしくお願いします」
「うんっ、よろしくね」

 霧嶋先生と大宮先生は笑顔で握手を交わした。
 また、担任教師2人を見倣ってか、風花、橋本さん、美優先輩、花柳先輩も握手を交わしていた。こういうシーン……スポーツ漫画やアニメで見たことがある。胸が熱くなるな。
 1年3組対2年4組の試合がどんな試合になるのか楽しみだ。
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