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特別編10
第11話『美優先輩のしゃっくりが止まらない。』
夕食後。
俺と美優先輩は一緒に夏休みの課題をする。夕食を食べているときに、
「ねえ、由弦君。夕ご飯を食べたら、夏休みの課題をやろうかなって考えているの。私、初日から課題をやるタイプで。昼間は関東大会の応援をしていたから、夜にちょっとやろうかなって。由弦君……一緒にやる?」
と、美優先輩から誘われたのがきっかけだ。俺も夏休みの課題を初日からやるタイプなので、先輩からの提案に快諾した。
美優先輩は英語表現Ⅱ、俺は英語表現Ⅰの課題をする。
英語表現Ⅰの課題は1学期の総復習プリントだ。ざっと見た感じ、基本的な問題が多いけど、難しめの応用問題もいくつもある。
英語は得意なのでスラスラ解ける。
ただ、和訳で難しい問題があり、その問題について質問すると、美優先輩は嬉しそうに教えてくれた。先輩の教え方が分かりやすいのですぐに理解できて。普段から思っていることだけど、質問をすると教えてくれる人が側にいるのは心強いし有り難いと改めて思った。
午後10時半頃。
美優先輩と一緒に入浴した後、今はリビングのテレビで、昨日の深夜に放送されたものを録画した日常系アニメを観ている。先輩と隣同士でソファーに座って、食後のアイスコーヒーを飲みながら。
このアニメは漫画が原作であり、美優先輩も俺も読んだことがある。なので、先輩とキャラクターやストーリーのことについて話しながらアニメを観ていった。
「今週のお話も面白かったね!」
「ええ。この作品、アニメになっても面白くて、キャラクター達が可愛いですね」
「うんっ! そんなアニメを由弦君と一緒に観られて嬉しいよ」
「俺もです」
自分の好きな作品がアニメでも面白いのはもちろんのこと、その作品が美優先輩も好きなことや先輩と一緒に楽しめることがとても嬉しいし、幸せだ。そんなことを思いながらアイスコーヒーを飲むととても美味しく感じられる。
まだ10時半頃なので、もう少しアニメを観ることに。
次に観るアニメは、数年前に放送していたラブコメアニメだ。美優先輩が実家にいた頃に録画していたBlu-rayを観る。
このアニメはギャグ色が強く、そのギャグが俺も美優先輩も笑いのツボにハマって一緒に笑うことも何度かあって。
ラブコメを観始めてから10分ほどが経ったときのことだった。
「あははっ! ……けほっけほっ」
このアニメを観てから一番大きな声で笑った直後に、美優先輩は咳き込む。笑いすぎると咳き込むことってあるよなぁ。
「美優先輩、大丈夫ですか?」
そう問いかけながら、俺は美優先輩の背中をさする。
「うん、大丈夫だよ。さすってくれてありがとう」
美優先輩はいつもの優しい笑顔でお礼を言ってくれた。たいしたことなくて良か――。
「ひっ」
美優先輩からそんな可愛い声が聞こえたと同時に、先輩の体がピクッと震える。
「あれ、私……ひっ」
再び、美優先輩の体がピクッとする。これはもしかして……と考えた瞬間、先輩は三度「ひっ」と体がピクッとして。
美優先輩も何が起きているのか予想が付いたのだろうか。先輩は苦笑。
「これは……ひっ、しゃっくりかな」
「でしょうね。咳き込んだことがきっかけで横隔膜が痙攣しちゃったのかもしれませんね」
「だろうねぇ。……ひっ。また出ちゃった」
えへへっ、と美優先輩は照れくさそうに笑う。
「美優先輩がしゃっくりをするところを見るのって初めてです」
「確かに……ひっ、由弦君と住み始めてからしゃっくりが出るのは初めてかも」
「ですよね。しゃっくりをする美優先輩、可愛いです」
「もう、由弦君ったら。しゃっくりっていつ出るか分からないし、結構長い時間出続けるときもあるからちょっと怖いよ。まあ、可愛いって言ってくれるのは嬉しいけどね……ひっ」
美優先輩は笑顔でそう言う。先輩の言う通り、しゃっくりって不意に出るし、長い時間出続けちゃうことってあるよな。長くなると不安になっていくし、怖いって言う気持ちも分かる。
しゃっくりが止まらないと美優先輩がアニメを楽しめないだろうから、Blu-rayの再生を一旦止めた。
「じゃあ、しゃっくりが止まるように色々とやってみましょうか」
「そうだね。……ひっ。まずはアイスコーヒーを飲んでみるよ」
「水を飲むのは定番の方法ですよね」
「うん。やってみる。確か、下を向いて飲むとより良かったはず」
美優先輩はコーヒーを口に含むと、下を向いてゴクンと飲んだ。これでしゃっくりが止まるといいんだけどな。
「止まるかな……ひっ。……止まらないね」
はあっ、とがっかりとした様子になる美優先輩。定番の方法だけど、すぐには止まらないか。
「止まりませんね。もう一口飲んでみますか? それとも、他の方法を試してみますか?」
「他の方法を……ひっ、試してみる」
「分かりました。俺で良ければ協力します」
「ありがとう、由弦君」
美優先輩は俺に微笑みかけながらお礼を言った。
さあ、さっそくやってみるか。実家にいた頃、この方法でしゃっくりが止まったことがあるし。定番だし。
俺は素早く先輩の顔の近くまで両手を持って行き、
――パンッ!
と、思いっきり叩いた。その瞬間、美優先輩は「きゃっ」と驚いて、体をピクッと震わせる。
「えっ、ゆ、由弦君?」
美優先輩は見開いた目で俺のことを見つめてくる。
「驚かせるのもしゃっくりを止める定番ですので。実家にいた頃、雫姉さんに驚かされて止まった経験がありますし」
「ああ、なるほどね。それでいきなり両手を叩いたんだ」
「ええ。不意にやった方が驚かせやすいと思って」
「そういうことだったんだ……ひっ」
美優先輩から可愛いしゃっくりが出てしまった。その瞬間、先輩は申し訳なさそうな表情に。
「……また出ちゃった。驚かせてくれたのにごめんね、由弦君」
「いえいえ。しゃっくりは自分の意思では制御できませんし。ただ、なかなかしつこいしゃっくりですね」
「ひっ。そ、そうだね。他に方法は……くすぐってもらうことかな。驚かされるのが由弦君が実家にいた頃に止まった方法だって言っていたから、私も実家にいた頃のことを思い出したの」
「そうでしたか。くすぐってもらうのも定番ですよね。姉さんと心愛にくすぐられました」
楽しそうにくぐっていた雫姉さんと心愛の顔を今でも鮮明に思い出すよ。
「そうだったんだね。妹達にくすぐられて止まった経験があるからやってみるのもいいかなって。ひっ。あと、由弦君にくすぐられたことがないから、くすぐられてみたいっていう気持ちもある」
「ははっ、そうですか。可愛いですね。じゃあ、くすぐりましょうか。どこがいいですか?」
「弱いところの方が効果ありそうな気がする。腋とか脇腹とか」
「それは言えてそうです。じゃあ、腋をくすぐりましょうか」
「うんっ、お願いします」
美優先輩は俺の方を向いてソファーの上に座る。半袖の寝間着を着ているので、両方の袖を肩まで捲り、両腕を少し上げて腋を見せてくる。腋がとても綺麗なのもあり艶やかな雰囲気だ。
俺は美優先輩の腋に触れる。弱いと言っているだけあって、先輩は「んっ」と可愛らしい声を漏らして体をびくつかせる。そんな可愛い反応を見ていると、肌を重ねたときのことを思い出してドキドキしてしまう。
「じゃあ、始めますね」
「ひっ……お願いします」
俺は美優先輩の腋をくすぐり始める。
「あははっ!」
弱いところなだけあって、くすぐり始めた途端に美優先輩は大きな声で笑い始める。そんな先輩は楽しそうな笑顔で。
そういえば、脇腹も弱いと言っていたな。そっちもくすぐってみるか。片手で腋をくすぐり続けながら、もう片方の手を美優先輩が着ている寝間着の中に入れて脇腹をくすぐる。そういったことをされるとは予想しなかったのか、
「ひゃんっ!」
と可愛い声を漏らして、体をビクンと大きく震わせた。その反応にドキッとさせられてしまう。
くすぐり効果は結構あるようで、くすぐり始めたときには何度か出ていたしゃっくりが少なくなってきている。
「あははっ……くすぐられるのって結構いいね。由弦君だからかな……ははっ」
美優先輩は笑いながらそんなことを言う。俺にくすぐられてみたいっていう気持ちがいいなって思わせるのかもしれない。
もうすっかりとしゃっくりが出なくなっていた。そろそろ止めるか。そう決めてくすぐるのを止めた。
笑い疲れたのだろうか。美優先輩はソファーの背もたれにぐったりともたれかかった。微笑みながら「はあっ、はあっ……」と息を乱していて。たくさん笑って体が熱くなったのか頬が上気していて。それが何とも扇情的で。
「笑い疲れた……」
「いっぱい笑っていましたもんね。あと、しゃっくりが止まりましたね」
「うん。これも由弦君がたくさんくすぐってくれたからだよ。ありがとう」
「いえいえ。しゃっくりが止まって良かったです」
「そうだね。腋をくすぐられてくすぐったかったし、急に脇腹をくすぐられたときは驚いちゃったよ」
「不意にくすぐったら驚きも与えられるかと思いまして。あのときの先輩の反応、可愛かったです」
「ちょっと恥ずかしいけど嬉しい。ありがとう、由弦君」
美優先輩はお礼を言って、俺にキスしてくる。先輩の唇から感じられる温もりはいつもより温かくて。あと、ほんのりとアイスコーヒーの香りがした。
数秒ほどして美優先輩から唇を離すと、先輩はニコッと笑う。そんな先輩の頭を俺は優しく撫でた。
「ねえ、由弦君。これからも由弦君と一緒にいるときにしゃっくりが出たらくすぐってもらっていい? 止まったし、くすぐられるのも良かったし」
「いいですよ」
「ありがとう。ただ、大きな声で笑っちゃったから、由弦君と2人きりか友達くらいしかいないとき限定かな」
「まあ、それが良さそうですね」
時と場所によっては結構迷惑になってしまうかもしれないし。
美優先輩が笑い疲れているので、アイスコーヒーを飲んで少し休憩をした後、アニメを観るのを再開するのであった。
俺と美優先輩は一緒に夏休みの課題をする。夕食を食べているときに、
「ねえ、由弦君。夕ご飯を食べたら、夏休みの課題をやろうかなって考えているの。私、初日から課題をやるタイプで。昼間は関東大会の応援をしていたから、夜にちょっとやろうかなって。由弦君……一緒にやる?」
と、美優先輩から誘われたのがきっかけだ。俺も夏休みの課題を初日からやるタイプなので、先輩からの提案に快諾した。
美優先輩は英語表現Ⅱ、俺は英語表現Ⅰの課題をする。
英語表現Ⅰの課題は1学期の総復習プリントだ。ざっと見た感じ、基本的な問題が多いけど、難しめの応用問題もいくつもある。
英語は得意なのでスラスラ解ける。
ただ、和訳で難しい問題があり、その問題について質問すると、美優先輩は嬉しそうに教えてくれた。先輩の教え方が分かりやすいのですぐに理解できて。普段から思っていることだけど、質問をすると教えてくれる人が側にいるのは心強いし有り難いと改めて思った。
午後10時半頃。
美優先輩と一緒に入浴した後、今はリビングのテレビで、昨日の深夜に放送されたものを録画した日常系アニメを観ている。先輩と隣同士でソファーに座って、食後のアイスコーヒーを飲みながら。
このアニメは漫画が原作であり、美優先輩も俺も読んだことがある。なので、先輩とキャラクターやストーリーのことについて話しながらアニメを観ていった。
「今週のお話も面白かったね!」
「ええ。この作品、アニメになっても面白くて、キャラクター達が可愛いですね」
「うんっ! そんなアニメを由弦君と一緒に観られて嬉しいよ」
「俺もです」
自分の好きな作品がアニメでも面白いのはもちろんのこと、その作品が美優先輩も好きなことや先輩と一緒に楽しめることがとても嬉しいし、幸せだ。そんなことを思いながらアイスコーヒーを飲むととても美味しく感じられる。
まだ10時半頃なので、もう少しアニメを観ることに。
次に観るアニメは、数年前に放送していたラブコメアニメだ。美優先輩が実家にいた頃に録画していたBlu-rayを観る。
このアニメはギャグ色が強く、そのギャグが俺も美優先輩も笑いのツボにハマって一緒に笑うことも何度かあって。
ラブコメを観始めてから10分ほどが経ったときのことだった。
「あははっ! ……けほっけほっ」
このアニメを観てから一番大きな声で笑った直後に、美優先輩は咳き込む。笑いすぎると咳き込むことってあるよなぁ。
「美優先輩、大丈夫ですか?」
そう問いかけながら、俺は美優先輩の背中をさする。
「うん、大丈夫だよ。さすってくれてありがとう」
美優先輩はいつもの優しい笑顔でお礼を言ってくれた。たいしたことなくて良か――。
「ひっ」
美優先輩からそんな可愛い声が聞こえたと同時に、先輩の体がピクッと震える。
「あれ、私……ひっ」
再び、美優先輩の体がピクッとする。これはもしかして……と考えた瞬間、先輩は三度「ひっ」と体がピクッとして。
美優先輩も何が起きているのか予想が付いたのだろうか。先輩は苦笑。
「これは……ひっ、しゃっくりかな」
「でしょうね。咳き込んだことがきっかけで横隔膜が痙攣しちゃったのかもしれませんね」
「だろうねぇ。……ひっ。また出ちゃった」
えへへっ、と美優先輩は照れくさそうに笑う。
「美優先輩がしゃっくりをするところを見るのって初めてです」
「確かに……ひっ、由弦君と住み始めてからしゃっくりが出るのは初めてかも」
「ですよね。しゃっくりをする美優先輩、可愛いです」
「もう、由弦君ったら。しゃっくりっていつ出るか分からないし、結構長い時間出続けるときもあるからちょっと怖いよ。まあ、可愛いって言ってくれるのは嬉しいけどね……ひっ」
美優先輩は笑顔でそう言う。先輩の言う通り、しゃっくりって不意に出るし、長い時間出続けちゃうことってあるよな。長くなると不安になっていくし、怖いって言う気持ちも分かる。
しゃっくりが止まらないと美優先輩がアニメを楽しめないだろうから、Blu-rayの再生を一旦止めた。
「じゃあ、しゃっくりが止まるように色々とやってみましょうか」
「そうだね。……ひっ。まずはアイスコーヒーを飲んでみるよ」
「水を飲むのは定番の方法ですよね」
「うん。やってみる。確か、下を向いて飲むとより良かったはず」
美優先輩はコーヒーを口に含むと、下を向いてゴクンと飲んだ。これでしゃっくりが止まるといいんだけどな。
「止まるかな……ひっ。……止まらないね」
はあっ、とがっかりとした様子になる美優先輩。定番の方法だけど、すぐには止まらないか。
「止まりませんね。もう一口飲んでみますか? それとも、他の方法を試してみますか?」
「他の方法を……ひっ、試してみる」
「分かりました。俺で良ければ協力します」
「ありがとう、由弦君」
美優先輩は俺に微笑みかけながらお礼を言った。
さあ、さっそくやってみるか。実家にいた頃、この方法でしゃっくりが止まったことがあるし。定番だし。
俺は素早く先輩の顔の近くまで両手を持って行き、
――パンッ!
と、思いっきり叩いた。その瞬間、美優先輩は「きゃっ」と驚いて、体をピクッと震わせる。
「えっ、ゆ、由弦君?」
美優先輩は見開いた目で俺のことを見つめてくる。
「驚かせるのもしゃっくりを止める定番ですので。実家にいた頃、雫姉さんに驚かされて止まった経験がありますし」
「ああ、なるほどね。それでいきなり両手を叩いたんだ」
「ええ。不意にやった方が驚かせやすいと思って」
「そういうことだったんだ……ひっ」
美優先輩から可愛いしゃっくりが出てしまった。その瞬間、先輩は申し訳なさそうな表情に。
「……また出ちゃった。驚かせてくれたのにごめんね、由弦君」
「いえいえ。しゃっくりは自分の意思では制御できませんし。ただ、なかなかしつこいしゃっくりですね」
「ひっ。そ、そうだね。他に方法は……くすぐってもらうことかな。驚かされるのが由弦君が実家にいた頃に止まった方法だって言っていたから、私も実家にいた頃のことを思い出したの」
「そうでしたか。くすぐってもらうのも定番ですよね。姉さんと心愛にくすぐられました」
楽しそうにくぐっていた雫姉さんと心愛の顔を今でも鮮明に思い出すよ。
「そうだったんだね。妹達にくすぐられて止まった経験があるからやってみるのもいいかなって。ひっ。あと、由弦君にくすぐられたことがないから、くすぐられてみたいっていう気持ちもある」
「ははっ、そうですか。可愛いですね。じゃあ、くすぐりましょうか。どこがいいですか?」
「弱いところの方が効果ありそうな気がする。腋とか脇腹とか」
「それは言えてそうです。じゃあ、腋をくすぐりましょうか」
「うんっ、お願いします」
美優先輩は俺の方を向いてソファーの上に座る。半袖の寝間着を着ているので、両方の袖を肩まで捲り、両腕を少し上げて腋を見せてくる。腋がとても綺麗なのもあり艶やかな雰囲気だ。
俺は美優先輩の腋に触れる。弱いと言っているだけあって、先輩は「んっ」と可愛らしい声を漏らして体をびくつかせる。そんな可愛い反応を見ていると、肌を重ねたときのことを思い出してドキドキしてしまう。
「じゃあ、始めますね」
「ひっ……お願いします」
俺は美優先輩の腋をくすぐり始める。
「あははっ!」
弱いところなだけあって、くすぐり始めた途端に美優先輩は大きな声で笑い始める。そんな先輩は楽しそうな笑顔で。
そういえば、脇腹も弱いと言っていたな。そっちもくすぐってみるか。片手で腋をくすぐり続けながら、もう片方の手を美優先輩が着ている寝間着の中に入れて脇腹をくすぐる。そういったことをされるとは予想しなかったのか、
「ひゃんっ!」
と可愛い声を漏らして、体をビクンと大きく震わせた。その反応にドキッとさせられてしまう。
くすぐり効果は結構あるようで、くすぐり始めたときには何度か出ていたしゃっくりが少なくなってきている。
「あははっ……くすぐられるのって結構いいね。由弦君だからかな……ははっ」
美優先輩は笑いながらそんなことを言う。俺にくすぐられてみたいっていう気持ちがいいなって思わせるのかもしれない。
もうすっかりとしゃっくりが出なくなっていた。そろそろ止めるか。そう決めてくすぐるのを止めた。
笑い疲れたのだろうか。美優先輩はソファーの背もたれにぐったりともたれかかった。微笑みながら「はあっ、はあっ……」と息を乱していて。たくさん笑って体が熱くなったのか頬が上気していて。それが何とも扇情的で。
「笑い疲れた……」
「いっぱい笑っていましたもんね。あと、しゃっくりが止まりましたね」
「うん。これも由弦君がたくさんくすぐってくれたからだよ。ありがとう」
「いえいえ。しゃっくりが止まって良かったです」
「そうだね。腋をくすぐられてくすぐったかったし、急に脇腹をくすぐられたときは驚いちゃったよ」
「不意にくすぐったら驚きも与えられるかと思いまして。あのときの先輩の反応、可愛かったです」
「ちょっと恥ずかしいけど嬉しい。ありがとう、由弦君」
美優先輩はお礼を言って、俺にキスしてくる。先輩の唇から感じられる温もりはいつもより温かくて。あと、ほんのりとアイスコーヒーの香りがした。
数秒ほどして美優先輩から唇を離すと、先輩はニコッと笑う。そんな先輩の頭を俺は優しく撫でた。
「ねえ、由弦君。これからも由弦君と一緒にいるときにしゃっくりが出たらくすぐってもらっていい? 止まったし、くすぐられるのも良かったし」
「いいですよ」
「ありがとう。ただ、大きな声で笑っちゃったから、由弦君と2人きりか友達くらいしかいないとき限定かな」
「まあ、それが良さそうですね」
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