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夏休み小話編
『氷織とシュワシュワ口移し』
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『氷織とシュワシュワ口移し』
お盆前のある日のこと。
午後1時45分。
今日は氷織の家でお家デートをする約束をしている。午後2時にお邪魔することになっている。
今は自転車に乗って、氷織の自宅に向かっているところだ。今日もよく晴れていて暑いけど、自転車で風を切るのは気持ちがいい。
10分近く漕いで、俺は氷織の家に到着した。
氷織の家の敷地内に自転車を止め、俺は氷織から誕生日プレゼントでもらったショルダーバッグを持って玄関へと向かい、インターホンを鳴らす。
――ピンポー。
『はいっ。あっ、明斗さん』
インターホンの音が鳴り終わる前に氷織が出てくれた。約束の時間に近いし、インターホンが鳴るのを待ち構えていたのかも。これまでも、音が鳴り終わる前に氷織が出てくれたことが何度かある。
「明斗です。来たよ」
『お待ちしていました! すぐに行きますね!』
氷織は弾んだ声でそう言ってくれた。
それから程なくして、玄関の扉が開く。すると、ロングスカートにノースリーブの縦ニット姿の氷織が姿を現した。今日も可愛いな。
「こんにちは、明斗さん!」
氷織はニッコリとした笑顔で挨拶してくれる。そのことでより氷織が可愛く見えて。
「こんにちは、氷織。今日の服もよく似合っているよ。可愛いな」
「ありがとうございますっ。明斗さんもVネックTシャツ姿がよく似合っていてかっこいいです!」
「ありがとう。……今日もこんにちはのキスをしていいかな」
「はいっ」
笑顔で返事をすると、氷織はそっと目を瞑る。
氷織のキス顔も可愛いと思いながら、俺は氷織にこんにちはのキスをする。お家デートでお互いに家に来たとき、こうして玄関でキスをするのが恒例だ。キスをすると、これからお家デートが始まるんだなと実感できる。
今日も晴れて暑いけど、氷織の唇から伝わる温もりはとても心地いい。
数秒ほどして、俺から唇を離す。すると、目の前には頬を紅潮させながら笑顔でいる氷織がいて。
「さあ、明斗さん。上がってください」
「ああ。お邪魔します」
俺は氷織の家にお邪魔する。
リビングでゆっくりしている氷織の母親の陽子さんに挨拶をして、2階にある氷織の部屋に向かう。
氷織の部屋に入ると……エアコンがかかっているから涼しくて快適だ。それに、氷織の甘い匂いもほんのりと香ってくるし。
「あの、明斗さん。実は明斗さんとやってみたいことがありまして」
氷織は俺を見つめながらそう言ってくる。このタイミングでやりたいことがあると言うのは珍しい。それに、こんにちはのキスをした直後ほどではないけど、頬が赤くなっているし。いったい、氷織は俺と何をやりたいんだろう?
「俺とやりたいことって何なんだ?」
「……サイダーを口移しすることです」
「口移し……か」
思いも寄らないことだったので、思わず「口移し」部分をオウム返ししてしまった。そんな俺に対して、氷織は「はい」と頷く。
「昨日読んだ少女漫画に、主人公の女の子と恋人の男の子が、サイダーを口移しして、そのことに女の子がうっとりするシーンがありまして。そのシーンを読んだら、私も明斗さんとやってみたくなりまして。それに、明斗さんと口移ししたことは全然ありませんから」
「確かに、口移しは全然やったことないな」
舌を絡めるほどのキスをして、キスをする直前に食べていたものや飲んでいたものの味や匂いを感じ合ったことはあるけど。
俺とサイダーを口移ししたいから、やってみたいことがあると言ったとき、氷織の頬は赤くなっていたんだな。
氷織はローテーブルに置いてある漫画を手に取り、ページをペラペラとめくっている。
「このシーンです」
といい、氷織は漫画を開いた状態で俺に渡してくる。
女子と男子がキスをしており、主人公の女子が、
『彼から、シュワシュワとしたサイダーが流れてきて気持ちいい……』
と、思いながらうっとりとした表情が描かれている。
「いいシーンだ。氷織が俺と口移ししたくなるのも分かるよ」
「そうですかっ」
「……よし。じゃあ、俺達もサイダーで口移ししてみるか」
「ありがとうございます! さっそく、サイダーを持ってきますね! 明斗さんは適当にくつろいでいてくださいねっ」
氷織は嬉しそうな様子でそう言うと、部屋を出て行った。
ベッドの側にあるクッションに腰を下ろして、さっき氷織から渡された漫画を冒頭から読んでみる。……結構面白いな。氷織にお願いして、貸してもらおうかな。
「お待たせしました。サイダーを持ってきました」
氷織はサイダーが入ったグラスを2つ乗せたトレーを持って、部屋に戻ってきた。グラスをローテーブルに置き、トレーを勉強机に置く。
炭酸でシュワシュワとしているし、爽やかで甘い匂いがするから、サイダーがとても美味しそうだ。
氷織は俺の隣にあるクッションに腰を下ろした。
「ありがとう、氷織。さっそくやるか?」
「お気持ちは嬉しいですが、まずは普通に飲みましょう。明斗さんは暑い中うちに来てくれましたから」
「分かった。じゃあ……サイダーいただきます」
「いただきますっ」
俺はサイダーを一口飲む。
口に入った瞬間、炭酸のシュワッとした刺激とサイダーの甘味が口の中に広がっていって。自転車だけど、暑い中来たから冷たさがたまらない。炭酸による喉ごしも。
「あぁ、サイダー美味い!」
「美味しいですね!」
氷織はニッコリとした笑顔でそう言った。
「いつも飲むコーヒーや紅茶もいいけど、こういう炭酸飲料もいいな!」
「ですねっ!」
「コーヒーや紅茶をよく飲むようになる前は、夏の暑い時期はサイダーとかコーラとか甘い炭酸飲料を飲むことが多かったなぁ」
「私も小さい頃は炭酸飲料を飲むことが結構ありましたね。あとは、果実系のジュースとかも。甘いのでゴクゴク飲んじゃいます」
「分かるなぁ」
ゴクゴク飲む感覚もいいんだよなぁ。
サイダーをもう一口飲む。コーヒーや紅茶が好きで最近は炭酸飲料を飲むことがあまりないから、ちょっと懐かしい感覚になる。
氷織もサイダーをもう一口飲む。甘くて美味しいから、さっき以上にニッコリとしていて。本当に可愛い。
「……氷織。そろそろ口移ししてみるか?」
「はい、やってみましょう」
「じゃあ、最初は俺から氷織にサイダーを口移ししようか」
「はいっ。楽しみですっ」
ワクワクとした様子で言う氷織。これから漫画の再現ができるからか、凄く楽しみなのが伝わってくるよ。
口移しがしやすいように、俺達は向かい合う体勢になる。
俺はサイダーを少し口に含む。
少し開いている氷織の口にキスをする。こういう状態でキスしたことはないので新鮮だ。
氷織にサイダーを口移しするために、口を少しだけ開けた。
「んっ」
口からサイダーが出ていくのと同時に、氷織のそんな可愛らしい声が漏れる。ゴクッという喉が鳴る音も聞こえて。どうやら、ちゃんと氷織に口移しできているようだ。
俺の口からサイダーがなくなったので、俺は氷織の口からそっと唇を離した。
氷織はうっとりとした表情になっており、
――ゴクッ。
と喉を鳴らした。その姿はとても艶っぽく感じられた。
「どうだ、氷織」
「……凄く良かったです。明斗さんの口からシュワシュワとしたサイダーが流れ込んでくる感覚が刺激的で、気持ち良くて。それに、明斗さんの口に入ったものですから、普通に飲むサイダーよりも美味しく感じられました。口移し……いいですね」
氷織は恍惚とした笑顔でそう言ってくれた。その姿と感想にとてもドキッとさせられる。
「それは良かった。あと、今の氷織の顔は、漫画の女の子みたいにうっとりとした表情になってるよ」
「ふふっ、そうですか。漫画の子も気持ちいいと思っていましたからね。同じ体験ができて嬉しいです。ありがとうございます、明斗さん!」
氷織はとっても嬉しそうな笑顔でお礼を言ってくれた。そのことに胸がとても温かくなっていく。
「いえいえ。氷織のお願いを叶えられて、喜んでくれて、恋人として嬉しい限りだよ」
「ありがとうございますっ。では、今度は明斗さんの番ですね」
「ああ。お願いするよ。楽しみだ」
凄く良かったと言っていたからな。
氷織がサイダーを口に含む。それを確認して、俺は氷織が口移ししやすいように口を少し開けた。
氷織は俺にキスしてくる。そして、氷織にサイダーを口移ししてもらう。
氷織の口からシュワシュワとしたサイダーが流れてくる感覚……いいな。気持ちいい。あと、氷織の口に一度入ったものだから、普通に飲むよりも甘く感じて。そんなことを考えながら飲んでいく。
全て口移しできたようで、氷織は俺からそっと唇を離した。キスしたのもあって、氷織の頬が赤くなっていて。それが可愛いと思いながら、口に残っている氷織から口移ししてもらったサイダーを全て飲んだ。
「どうでしたか?」
「……凄く良かったよ。氷織の言う通りだ。シュワシュワしているから、口の中にサイダーが流れ込んでくる感覚が凄くいい。それに、普通に飲むよりも甘くて美味しく感じた。口移しいいな」
「そう言ってもらえて嬉しいです!」
氷織はニコッとした笑顔でそう言った。
「口移ししてみたいって言ってくれてありがとう」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます! ……今後も漫画やアニメなどの影響で、このシーンを再現してみたいと言うかもしれません」
「そのときは遠慮なく言ってくれ」
「ありがとうございますっ」
「……あと、この漫画の冒頭を読んでみたら面白かったから、貸してもらえると嬉しい」
「いいですよ! ラブコメ好きな明斗さんなら楽しめると思います」
「ありがとう」
俺は氷織にお礼のキスをする。
サイダーを飲んだり、お互いにサイダーを口移ししたりした直後なのもあり、キスをすると氷織からサイダーの爽やかな甘い匂いが感じられて。
少しして唇を離すと、目の前には氷織の可愛らしい笑顔があって。とても幸せな気持ちになる。
「じゃあ、昨日の夜に放送されたアニメを観ましょうか」
「ああ、そうしよう」
その後はサイダーを飲みながら氷織も俺も好きなアニメを観て、お家デートを楽しんでいくのであった。
『氷織とシュワシュワ口移し』 おわり
次のエピソードから夏休み小話編2です。
お盆前のある日のこと。
午後1時45分。
今日は氷織の家でお家デートをする約束をしている。午後2時にお邪魔することになっている。
今は自転車に乗って、氷織の自宅に向かっているところだ。今日もよく晴れていて暑いけど、自転車で風を切るのは気持ちがいい。
10分近く漕いで、俺は氷織の家に到着した。
氷織の家の敷地内に自転車を止め、俺は氷織から誕生日プレゼントでもらったショルダーバッグを持って玄関へと向かい、インターホンを鳴らす。
――ピンポー。
『はいっ。あっ、明斗さん』
インターホンの音が鳴り終わる前に氷織が出てくれた。約束の時間に近いし、インターホンが鳴るのを待ち構えていたのかも。これまでも、音が鳴り終わる前に氷織が出てくれたことが何度かある。
「明斗です。来たよ」
『お待ちしていました! すぐに行きますね!』
氷織は弾んだ声でそう言ってくれた。
それから程なくして、玄関の扉が開く。すると、ロングスカートにノースリーブの縦ニット姿の氷織が姿を現した。今日も可愛いな。
「こんにちは、明斗さん!」
氷織はニッコリとした笑顔で挨拶してくれる。そのことでより氷織が可愛く見えて。
「こんにちは、氷織。今日の服もよく似合っているよ。可愛いな」
「ありがとうございますっ。明斗さんもVネックTシャツ姿がよく似合っていてかっこいいです!」
「ありがとう。……今日もこんにちはのキスをしていいかな」
「はいっ」
笑顔で返事をすると、氷織はそっと目を瞑る。
氷織のキス顔も可愛いと思いながら、俺は氷織にこんにちはのキスをする。お家デートでお互いに家に来たとき、こうして玄関でキスをするのが恒例だ。キスをすると、これからお家デートが始まるんだなと実感できる。
今日も晴れて暑いけど、氷織の唇から伝わる温もりはとても心地いい。
数秒ほどして、俺から唇を離す。すると、目の前には頬を紅潮させながら笑顔でいる氷織がいて。
「さあ、明斗さん。上がってください」
「ああ。お邪魔します」
俺は氷織の家にお邪魔する。
リビングでゆっくりしている氷織の母親の陽子さんに挨拶をして、2階にある氷織の部屋に向かう。
氷織の部屋に入ると……エアコンがかかっているから涼しくて快適だ。それに、氷織の甘い匂いもほんのりと香ってくるし。
「あの、明斗さん。実は明斗さんとやってみたいことがありまして」
氷織は俺を見つめながらそう言ってくる。このタイミングでやりたいことがあると言うのは珍しい。それに、こんにちはのキスをした直後ほどではないけど、頬が赤くなっているし。いったい、氷織は俺と何をやりたいんだろう?
「俺とやりたいことって何なんだ?」
「……サイダーを口移しすることです」
「口移し……か」
思いも寄らないことだったので、思わず「口移し」部分をオウム返ししてしまった。そんな俺に対して、氷織は「はい」と頷く。
「昨日読んだ少女漫画に、主人公の女の子と恋人の男の子が、サイダーを口移しして、そのことに女の子がうっとりするシーンがありまして。そのシーンを読んだら、私も明斗さんとやってみたくなりまして。それに、明斗さんと口移ししたことは全然ありませんから」
「確かに、口移しは全然やったことないな」
舌を絡めるほどのキスをして、キスをする直前に食べていたものや飲んでいたものの味や匂いを感じ合ったことはあるけど。
俺とサイダーを口移ししたいから、やってみたいことがあると言ったとき、氷織の頬は赤くなっていたんだな。
氷織はローテーブルに置いてある漫画を手に取り、ページをペラペラとめくっている。
「このシーンです」
といい、氷織は漫画を開いた状態で俺に渡してくる。
女子と男子がキスをしており、主人公の女子が、
『彼から、シュワシュワとしたサイダーが流れてきて気持ちいい……』
と、思いながらうっとりとした表情が描かれている。
「いいシーンだ。氷織が俺と口移ししたくなるのも分かるよ」
「そうですかっ」
「……よし。じゃあ、俺達もサイダーで口移ししてみるか」
「ありがとうございます! さっそく、サイダーを持ってきますね! 明斗さんは適当にくつろいでいてくださいねっ」
氷織は嬉しそうな様子でそう言うと、部屋を出て行った。
ベッドの側にあるクッションに腰を下ろして、さっき氷織から渡された漫画を冒頭から読んでみる。……結構面白いな。氷織にお願いして、貸してもらおうかな。
「お待たせしました。サイダーを持ってきました」
氷織はサイダーが入ったグラスを2つ乗せたトレーを持って、部屋に戻ってきた。グラスをローテーブルに置き、トレーを勉強机に置く。
炭酸でシュワシュワとしているし、爽やかで甘い匂いがするから、サイダーがとても美味しそうだ。
氷織は俺の隣にあるクッションに腰を下ろした。
「ありがとう、氷織。さっそくやるか?」
「お気持ちは嬉しいですが、まずは普通に飲みましょう。明斗さんは暑い中うちに来てくれましたから」
「分かった。じゃあ……サイダーいただきます」
「いただきますっ」
俺はサイダーを一口飲む。
口に入った瞬間、炭酸のシュワッとした刺激とサイダーの甘味が口の中に広がっていって。自転車だけど、暑い中来たから冷たさがたまらない。炭酸による喉ごしも。
「あぁ、サイダー美味い!」
「美味しいですね!」
氷織はニッコリとした笑顔でそう言った。
「いつも飲むコーヒーや紅茶もいいけど、こういう炭酸飲料もいいな!」
「ですねっ!」
「コーヒーや紅茶をよく飲むようになる前は、夏の暑い時期はサイダーとかコーラとか甘い炭酸飲料を飲むことが多かったなぁ」
「私も小さい頃は炭酸飲料を飲むことが結構ありましたね。あとは、果実系のジュースとかも。甘いのでゴクゴク飲んじゃいます」
「分かるなぁ」
ゴクゴク飲む感覚もいいんだよなぁ。
サイダーをもう一口飲む。コーヒーや紅茶が好きで最近は炭酸飲料を飲むことがあまりないから、ちょっと懐かしい感覚になる。
氷織もサイダーをもう一口飲む。甘くて美味しいから、さっき以上にニッコリとしていて。本当に可愛い。
「……氷織。そろそろ口移ししてみるか?」
「はい、やってみましょう」
「じゃあ、最初は俺から氷織にサイダーを口移ししようか」
「はいっ。楽しみですっ」
ワクワクとした様子で言う氷織。これから漫画の再現ができるからか、凄く楽しみなのが伝わってくるよ。
口移しがしやすいように、俺達は向かい合う体勢になる。
俺はサイダーを少し口に含む。
少し開いている氷織の口にキスをする。こういう状態でキスしたことはないので新鮮だ。
氷織にサイダーを口移しするために、口を少しだけ開けた。
「んっ」
口からサイダーが出ていくのと同時に、氷織のそんな可愛らしい声が漏れる。ゴクッという喉が鳴る音も聞こえて。どうやら、ちゃんと氷織に口移しできているようだ。
俺の口からサイダーがなくなったので、俺は氷織の口からそっと唇を離した。
氷織はうっとりとした表情になっており、
――ゴクッ。
と喉を鳴らした。その姿はとても艶っぽく感じられた。
「どうだ、氷織」
「……凄く良かったです。明斗さんの口からシュワシュワとしたサイダーが流れ込んでくる感覚が刺激的で、気持ち良くて。それに、明斗さんの口に入ったものですから、普通に飲むサイダーよりも美味しく感じられました。口移し……いいですね」
氷織は恍惚とした笑顔でそう言ってくれた。その姿と感想にとてもドキッとさせられる。
「それは良かった。あと、今の氷織の顔は、漫画の女の子みたいにうっとりとした表情になってるよ」
「ふふっ、そうですか。漫画の子も気持ちいいと思っていましたからね。同じ体験ができて嬉しいです。ありがとうございます、明斗さん!」
氷織はとっても嬉しそうな笑顔でお礼を言ってくれた。そのことに胸がとても温かくなっていく。
「いえいえ。氷織のお願いを叶えられて、喜んでくれて、恋人として嬉しい限りだよ」
「ありがとうございますっ。では、今度は明斗さんの番ですね」
「ああ。お願いするよ。楽しみだ」
凄く良かったと言っていたからな。
氷織がサイダーを口に含む。それを確認して、俺は氷織が口移ししやすいように口を少し開けた。
氷織は俺にキスしてくる。そして、氷織にサイダーを口移ししてもらう。
氷織の口からシュワシュワとしたサイダーが流れてくる感覚……いいな。気持ちいい。あと、氷織の口に一度入ったものだから、普通に飲むよりも甘く感じて。そんなことを考えながら飲んでいく。
全て口移しできたようで、氷織は俺からそっと唇を離した。キスしたのもあって、氷織の頬が赤くなっていて。それが可愛いと思いながら、口に残っている氷織から口移ししてもらったサイダーを全て飲んだ。
「どうでしたか?」
「……凄く良かったよ。氷織の言う通りだ。シュワシュワしているから、口の中にサイダーが流れ込んでくる感覚が凄くいい。それに、普通に飲むよりも甘くて美味しく感じた。口移しいいな」
「そう言ってもらえて嬉しいです!」
氷織はニコッとした笑顔でそう言った。
「口移ししてみたいって言ってくれてありがとう」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます! ……今後も漫画やアニメなどの影響で、このシーンを再現してみたいと言うかもしれません」
「そのときは遠慮なく言ってくれ」
「ありがとうございますっ」
「……あと、この漫画の冒頭を読んでみたら面白かったから、貸してもらえると嬉しい」
「いいですよ! ラブコメ好きな明斗さんなら楽しめると思います」
「ありがとう」
俺は氷織にお礼のキスをする。
サイダーを飲んだり、お互いにサイダーを口移ししたりした直後なのもあり、キスをすると氷織からサイダーの爽やかな甘い匂いが感じられて。
少しして唇を離すと、目の前には氷織の可愛らしい笑顔があって。とても幸せな気持ちになる。
「じゃあ、昨日の夜に放送されたアニメを観ましょうか」
「ああ、そうしよう」
その後はサイダーを飲みながら氷織も俺も好きなアニメを観て、お家デートを楽しんでいくのであった。
『氷織とシュワシュワ口移し』 おわり
次のエピソードから夏休み小話編2です。
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