81 / 118
特別編
第17話『夜道で愛を口にして』
しおりを挟む
夕食後は琴葉達が泊まる808号室でババ抜きと大貧民をやった。ひさしぶりにやったこともあってか一度も勝つことができず、ババや大貧民になってしまうことの方が多かった。それでも十分に楽しめた。
801号室に戻ってきたのは午後9時過ぎ。随分とひさしぶりにこの部屋に戻ってきた気がする。
「ふふっ、まさか、玲人君がトランプが弱いとは思わなかったよ」
「……そういうことで笑わないでくれませんかね。これでも、昔は琴葉や姉さんとはいい勝負をしていたんですから」
まあ、その琴葉や姉さんとずっと最下位争いを繰り広げたわけだが。元々弱かったんじゃない。逮捕され、禁固生活も送ってトランプをすることもなかったから、ブランクが生じてしまって弱くなっただけだ……と自分自身を慰める。
「僕が弱かったのもありますけど、沙奈会長達が強すぎますって」
常に3位までを如月姉妹と副会長さんが占めており、3人の牙城を崩せなかった。
「小さい頃は友達とトランプをやることが多かったし、樹里先輩とも何度か遊んだことがあるからね。もちろん、昔から勝つことは多かったよ」
「……そうだったんですか。真奈ちゃんや副会長さんも容赦なかったですもんね」
3人が強すぎるので、途中から琴葉と姉さんに勝つことが目標になってしまっていた。それでも、結果は僕が最下位になることが多かったな。
「玲人君って、普段はあまり感情を表に出さないし、大貧民はともかくババ抜きはとても強いイメージがあったんだけどね」
「……あまりにも負けてしまったので、強いと思ってくれただけでも嬉しいですよ」
「……その笑顔が切なく見えるよ、玲人君」
何か会長に同情されているような気がする。
負け続けたのが悔しいのは確かだど、トランプしたこと自体は楽しかったし、会長が強いと思ってくれたことも素直に嬉しい。
「気分転換に何かする? 玲人君さえお望みならもう……しちゃう? 私は玲人君のしたいことなら何でも付き合うよ!」
沙奈会長はイチャイチャすることを期待しているのか、ベッドの上で正座して、ニヤニヤしながら浴衣をめくり胸元まで見せてくる。イチャイチャするのもいいけど、まだ9時過ぎだしなぁ。もうちょっと何か別のことをしたい。
「……そうだ。せっかくですから、ホテルの周りでもお散歩しませんか? 旅行に行くと、夕食の後にホテルの周りを散歩することが多くて……」
「それいいね! 私も旅行に行くとたまに真奈と散歩することあったよ」
「そうだったんですね。じゃあ、散歩しましょうか。コンビニがあったら何か飲み物やお菓子を買いたいですね。もちろん2人きりで」
「……うん!」
会長、とても嬉しそうだな。2人きりで何かすることに惹かれたのかも。
スマートフォンや財布などの貴重品を持って、僕と沙奈会長は801号室を出発する。
「さすがに今の時間だと静かだね」
「ええ。客室でゆっくりと過ごしている方も多いんじゃないでしょうか」
「そうかもね。でも、こうしていると……何だか、先生の目を盗んで、いけないことをしに行くみたいでドキドキする」
沙奈会長は僕に腕を絡ませてくる。
仮にこれが修学旅行だったら、夕食後にホテルの周りを散策するよりも、泊まる部屋で体を重ねて愛し合う方がよっぽどまずい気がするけれど。
フロントに部屋のカードキーを預けて、僕らはホテルの外に出る。
「結構冷えるね」
「そうですね。天気予報でこっちは涼しいと言っていましたが。半纏を着て正解でしたね」
「うん。ただ、寒ければこうして身を寄せ合えば何てことないよ。ふふっ、温かい」
もうこの時点で散歩に行って正解だったと思わせてくれる笑顔だ。それを見て心がとても温かくなる。
特に目的地もなく、ただ何となく歩き始める。でも、旅先ということもあって、この先には何があるのだろうかとワクワクさせてくれる。だから、ホテルの周りを散歩することが好きなのだ。
「周りにあまり民家とかお店がないから寂しいけど、たまにはこういった静かな場所もいいよね」
「ええ。自然がいっぱいだからか空気が美味しいです」
いかにも旅先を散歩しているって感じだ。
街灯もあまり多くないけれど、月が満月に近いこともあってか、散歩することにはさほど問題なかった。
「そういえば、月が綺麗ですね、沙奈会長」
「……うん。ずっと綺麗だって思っているよ」
すると、沙奈会長は僕の目の前に立ってキスしてきた。もしかして、沙奈会長は今の言葉を告白として受け取ったのかな。彼女のことが好きなのでそれでもかまわない。
唇が離れると、そこにはとても可愛らしい会長の笑みがあった。
「もう、突然口づけしてきて。驚いちゃいましたよ」
「ごめんね。ただ、キュンとなったんだ。玲人君と同じことを思っていたんだって」
「……そうですか。沙奈会長は、出会った頃とは比べものにならないくらいに可愛く思えますよ。縛られたあの日の夜に会長が家の前まで来たときは恐かったほどですから。そんな会長と付き合い始めて、一緒に旅行に行って、こうして夜道を歩いているんですから世の中は分からないですよね」
あのときの僕に今のこの状況を話したら、頭をぶつけたのかと心配され、さっさと逃げて部屋で引きこもってろって怒られそうだな。
「……随分と言ってくれるじゃない、玲人君。私はあの猫を助けたのを見た瞬間からずっと玲人君のことが好きだし、それは日に日に増しているよ。ただ、色々なことを知ったからか、一目惚れしたあのときと比べて、今の方がとても素敵だと思ってる」
「……そうですか」
そんな沙奈会長も素敵な人だと思っているよ。月よりもよっぽど綺麗だとも思っているし。それを口で言うのは気恥ずかしいので、そっと彼女のことを抱きしめた。
「……やっぱり、こうするのが一番温かい気がするな」
「僕も同じことを思いました」
温かいだけじゃなくて、甘い匂いも感じられるし。本当にこの人といると心身共に温かくなる。
「何だか、どこにいても玲人君がいればやっていける気がするよ」
「……何とかなりそうな気がしますよね」
「うん。さっ、もうちょっと歩こうよ」
「そうですね」
再び旅先の夜道を散策し始める。
それにしても、全く人とすれ違わないな。僕らのように、夜に泊まっているホテル周辺を散策する人って全然いないのかな。そのことにちょっとした寂しさを覚える。
「玲人君、あそこ……もしかして、アリスさんが入った足湯じゃない?」
「えっ?」
沙奈会長の指さすところ先には、確かに湯気が見えている。そこは屋根が付いていて明るくなっている。
「そうかもしれませんね。行ってみましょう」
湯気の立っているところに行ってみる。午後9時半くらいなのでここにも人はおらず。看板を見てみると、ここは街が運営している24時間無料で入れる足湯とのこと。
「玲人君、せっかくだから入ってみたい!」
「いいですけど……まあ、このタオルハンカチがあれば大丈夫ですね」
「うんうん! じゃあ、入ろっか」
僕らは下駄を脱いで隣同士に座り、浴衣の裾を捲って足湯に入る。くるぶしよりも上だし、だいたい深さは30cmくらいだろうか。
「気持ちいいね、玲人君」
「ええ。足だけでもお湯に浸かると全身が温まる気がしますね」
アリスさんが足湯のことを満足げに語っていたのも頷ける。これを24時間無料で堪能することができるとは。近くに人気ホテルもある温泉街だからなのかな。有り難い限りだ。
しかし、浴衣の裾を挙げた沙奈会長というのもなかなか魅力的だ。脚がとても綺麗。他に誰もいなくて良かった。
「明日は河乃湖ハイランドかぁ。楽しみだな」
「ええ。何か、絶叫マシンとお化け屋敷に行くのが確定みたいな雰囲気ですけど。確か、沙奈会長はどっちも苦手って言っていましたよね」
「小さい頃は苦手だったよ。まあ、遊園地に行くのもひさしぶりだし、今なら平気になっているかもしれないし。一度、トライしてみようかなって」
「確かに、時間が経てば平気になっていることもありますよね」
僕も元々は苦手だったけれど、琴葉や姉さんに付き合わされて普通に楽しめる程度にはなった。けれど、僕も久しく行っていないから、逆パターンでまた苦手になってしまっているかもしれない。
「それにしても気持ちいい。これを玲人君と2人だけで楽しめるなんて贅沢だね」
「人が全然いないので寂しかったですが、足湯は2人きりでむしろ良かったです」
「……私も」
そう言って沙奈会長は僕の方に寄り掛かってきたので、彼女の肩に手を回した。
「今の私達を見たらどう思うんだろうね」
「恋人か若い夫婦でしょうか」
「やっぱりそう見えるよね。……実際に夫婦になってもこうして足湯に入りたいね」
「……そうですね。入りますよ、絶対に」
きっと、そのときも沙奈会長は嬉しくて僕に寄り掛かってくるんだろうな。
「何だか、足湯に入ったら部屋にある温泉に入りたくなってきちゃった。その後は思う存分……ね」
「そうですね。じゃあ、そろそろ出てホテルの方に戻りましょうか」
「うん。でも、あそこにコンビニがあるから何か買っていこうよ」
「いいですね。せっかくですから、地域限定のコーヒーがあればいいんですが」
「ふふっ、本当に玲人君、コーヒーが好きだなぁ。今から飲んで眠れるの?」
「多少、眠たくなるのが遅くなるだけですよ。でも、沙奈会長にとっては僕がなかなか眠らない方がいいんじゃないですか?」
僕がそう問いかけると、沙奈会長は恥ずかしそうな様子で視線をちらつかせる。
「……まあね。コーヒー飲んでたっぷりと……しよう」
「はいはい」
その後、足湯の近くにあるコンビニに行くと地域限定のブラックコーヒーが売っていた。ここで、昨日、僕がばぶばぶ言ったことと引き換えに、沙奈会長にコーヒーを買ってもらうのであった。
801号室に戻ってきたのは午後9時過ぎ。随分とひさしぶりにこの部屋に戻ってきた気がする。
「ふふっ、まさか、玲人君がトランプが弱いとは思わなかったよ」
「……そういうことで笑わないでくれませんかね。これでも、昔は琴葉や姉さんとはいい勝負をしていたんですから」
まあ、その琴葉や姉さんとずっと最下位争いを繰り広げたわけだが。元々弱かったんじゃない。逮捕され、禁固生活も送ってトランプをすることもなかったから、ブランクが生じてしまって弱くなっただけだ……と自分自身を慰める。
「僕が弱かったのもありますけど、沙奈会長達が強すぎますって」
常に3位までを如月姉妹と副会長さんが占めており、3人の牙城を崩せなかった。
「小さい頃は友達とトランプをやることが多かったし、樹里先輩とも何度か遊んだことがあるからね。もちろん、昔から勝つことは多かったよ」
「……そうだったんですか。真奈ちゃんや副会長さんも容赦なかったですもんね」
3人が強すぎるので、途中から琴葉と姉さんに勝つことが目標になってしまっていた。それでも、結果は僕が最下位になることが多かったな。
「玲人君って、普段はあまり感情を表に出さないし、大貧民はともかくババ抜きはとても強いイメージがあったんだけどね」
「……あまりにも負けてしまったので、強いと思ってくれただけでも嬉しいですよ」
「……その笑顔が切なく見えるよ、玲人君」
何か会長に同情されているような気がする。
負け続けたのが悔しいのは確かだど、トランプしたこと自体は楽しかったし、会長が強いと思ってくれたことも素直に嬉しい。
「気分転換に何かする? 玲人君さえお望みならもう……しちゃう? 私は玲人君のしたいことなら何でも付き合うよ!」
沙奈会長はイチャイチャすることを期待しているのか、ベッドの上で正座して、ニヤニヤしながら浴衣をめくり胸元まで見せてくる。イチャイチャするのもいいけど、まだ9時過ぎだしなぁ。もうちょっと何か別のことをしたい。
「……そうだ。せっかくですから、ホテルの周りでもお散歩しませんか? 旅行に行くと、夕食の後にホテルの周りを散歩することが多くて……」
「それいいね! 私も旅行に行くとたまに真奈と散歩することあったよ」
「そうだったんですね。じゃあ、散歩しましょうか。コンビニがあったら何か飲み物やお菓子を買いたいですね。もちろん2人きりで」
「……うん!」
会長、とても嬉しそうだな。2人きりで何かすることに惹かれたのかも。
スマートフォンや財布などの貴重品を持って、僕と沙奈会長は801号室を出発する。
「さすがに今の時間だと静かだね」
「ええ。客室でゆっくりと過ごしている方も多いんじゃないでしょうか」
「そうかもね。でも、こうしていると……何だか、先生の目を盗んで、いけないことをしに行くみたいでドキドキする」
沙奈会長は僕に腕を絡ませてくる。
仮にこれが修学旅行だったら、夕食後にホテルの周りを散策するよりも、泊まる部屋で体を重ねて愛し合う方がよっぽどまずい気がするけれど。
フロントに部屋のカードキーを預けて、僕らはホテルの外に出る。
「結構冷えるね」
「そうですね。天気予報でこっちは涼しいと言っていましたが。半纏を着て正解でしたね」
「うん。ただ、寒ければこうして身を寄せ合えば何てことないよ。ふふっ、温かい」
もうこの時点で散歩に行って正解だったと思わせてくれる笑顔だ。それを見て心がとても温かくなる。
特に目的地もなく、ただ何となく歩き始める。でも、旅先ということもあって、この先には何があるのだろうかとワクワクさせてくれる。だから、ホテルの周りを散歩することが好きなのだ。
「周りにあまり民家とかお店がないから寂しいけど、たまにはこういった静かな場所もいいよね」
「ええ。自然がいっぱいだからか空気が美味しいです」
いかにも旅先を散歩しているって感じだ。
街灯もあまり多くないけれど、月が満月に近いこともあってか、散歩することにはさほど問題なかった。
「そういえば、月が綺麗ですね、沙奈会長」
「……うん。ずっと綺麗だって思っているよ」
すると、沙奈会長は僕の目の前に立ってキスしてきた。もしかして、沙奈会長は今の言葉を告白として受け取ったのかな。彼女のことが好きなのでそれでもかまわない。
唇が離れると、そこにはとても可愛らしい会長の笑みがあった。
「もう、突然口づけしてきて。驚いちゃいましたよ」
「ごめんね。ただ、キュンとなったんだ。玲人君と同じことを思っていたんだって」
「……そうですか。沙奈会長は、出会った頃とは比べものにならないくらいに可愛く思えますよ。縛られたあの日の夜に会長が家の前まで来たときは恐かったほどですから。そんな会長と付き合い始めて、一緒に旅行に行って、こうして夜道を歩いているんですから世の中は分からないですよね」
あのときの僕に今のこの状況を話したら、頭をぶつけたのかと心配され、さっさと逃げて部屋で引きこもってろって怒られそうだな。
「……随分と言ってくれるじゃない、玲人君。私はあの猫を助けたのを見た瞬間からずっと玲人君のことが好きだし、それは日に日に増しているよ。ただ、色々なことを知ったからか、一目惚れしたあのときと比べて、今の方がとても素敵だと思ってる」
「……そうですか」
そんな沙奈会長も素敵な人だと思っているよ。月よりもよっぽど綺麗だとも思っているし。それを口で言うのは気恥ずかしいので、そっと彼女のことを抱きしめた。
「……やっぱり、こうするのが一番温かい気がするな」
「僕も同じことを思いました」
温かいだけじゃなくて、甘い匂いも感じられるし。本当にこの人といると心身共に温かくなる。
「何だか、どこにいても玲人君がいればやっていける気がするよ」
「……何とかなりそうな気がしますよね」
「うん。さっ、もうちょっと歩こうよ」
「そうですね」
再び旅先の夜道を散策し始める。
それにしても、全く人とすれ違わないな。僕らのように、夜に泊まっているホテル周辺を散策する人って全然いないのかな。そのことにちょっとした寂しさを覚える。
「玲人君、あそこ……もしかして、アリスさんが入った足湯じゃない?」
「えっ?」
沙奈会長の指さすところ先には、確かに湯気が見えている。そこは屋根が付いていて明るくなっている。
「そうかもしれませんね。行ってみましょう」
湯気の立っているところに行ってみる。午後9時半くらいなのでここにも人はおらず。看板を見てみると、ここは街が運営している24時間無料で入れる足湯とのこと。
「玲人君、せっかくだから入ってみたい!」
「いいですけど……まあ、このタオルハンカチがあれば大丈夫ですね」
「うんうん! じゃあ、入ろっか」
僕らは下駄を脱いで隣同士に座り、浴衣の裾を捲って足湯に入る。くるぶしよりも上だし、だいたい深さは30cmくらいだろうか。
「気持ちいいね、玲人君」
「ええ。足だけでもお湯に浸かると全身が温まる気がしますね」
アリスさんが足湯のことを満足げに語っていたのも頷ける。これを24時間無料で堪能することができるとは。近くに人気ホテルもある温泉街だからなのかな。有り難い限りだ。
しかし、浴衣の裾を挙げた沙奈会長というのもなかなか魅力的だ。脚がとても綺麗。他に誰もいなくて良かった。
「明日は河乃湖ハイランドかぁ。楽しみだな」
「ええ。何か、絶叫マシンとお化け屋敷に行くのが確定みたいな雰囲気ですけど。確か、沙奈会長はどっちも苦手って言っていましたよね」
「小さい頃は苦手だったよ。まあ、遊園地に行くのもひさしぶりだし、今なら平気になっているかもしれないし。一度、トライしてみようかなって」
「確かに、時間が経てば平気になっていることもありますよね」
僕も元々は苦手だったけれど、琴葉や姉さんに付き合わされて普通に楽しめる程度にはなった。けれど、僕も久しく行っていないから、逆パターンでまた苦手になってしまっているかもしれない。
「それにしても気持ちいい。これを玲人君と2人だけで楽しめるなんて贅沢だね」
「人が全然いないので寂しかったですが、足湯は2人きりでむしろ良かったです」
「……私も」
そう言って沙奈会長は僕の方に寄り掛かってきたので、彼女の肩に手を回した。
「今の私達を見たらどう思うんだろうね」
「恋人か若い夫婦でしょうか」
「やっぱりそう見えるよね。……実際に夫婦になってもこうして足湯に入りたいね」
「……そうですね。入りますよ、絶対に」
きっと、そのときも沙奈会長は嬉しくて僕に寄り掛かってくるんだろうな。
「何だか、足湯に入ったら部屋にある温泉に入りたくなってきちゃった。その後は思う存分……ね」
「そうですね。じゃあ、そろそろ出てホテルの方に戻りましょうか」
「うん。でも、あそこにコンビニがあるから何か買っていこうよ」
「いいですね。せっかくですから、地域限定のコーヒーがあればいいんですが」
「ふふっ、本当に玲人君、コーヒーが好きだなぁ。今から飲んで眠れるの?」
「多少、眠たくなるのが遅くなるだけですよ。でも、沙奈会長にとっては僕がなかなか眠らない方がいいんじゃないですか?」
僕がそう問いかけると、沙奈会長は恥ずかしそうな様子で視線をちらつかせる。
「……まあね。コーヒー飲んでたっぷりと……しよう」
「はいはい」
その後、足湯の近くにあるコンビニに行くと地域限定のブラックコーヒーが売っていた。ここで、昨日、僕がばぶばぶ言ったことと引き換えに、沙奈会長にコーヒーを買ってもらうのであった。
0
あなたにおすすめの小説
向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2025.12.18)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編5が完結しました!(2025.7.6)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる