桜庭かなめ

文字の大きさ
83 / 118
特別編

第19話『決意の朝』

しおりを挟む
 5月5日、土曜日。
 ゆっくりと目を覚ますとそこは肌色の世界が広がっていた。その中心から1本の黒い線が下へと伸びる。
 大好きな匂いがして、安心できる柔らかさも感じられる。髪には定期的に温かな息がかかっているように思えて。
 顔を動かすと、そこには優しい笑みを浮かべながら僕を見つめる沙奈会長がいた。

「おはよう、玲人君」
「おはようございます、沙奈会長」
「目が覚めたら、玲人君の可愛い寝顔があってさ。それにキュンとなって抱きしめちゃった。玲人君の温かな吐息が胸にかかって心地よかったよ」
「そうだったんですか。いい夢を見て、気持ち良く起きられたのは会長のおかげかもしれませんね」
「……今の言葉でまたキュンとした」

 頬を赤らめた沙奈会長は、目覚めのキスをしてきた。
 沙奈会長と一緒に迎えた旅先の朝はとても幸せな気分にさせてくれる。彼女の温もりをもっと感じたくて背中に手を回した。このまま時間が止まってしまってもいいくらい。

「んっ……」

 気持ちが盛り上がってきたのか、沙奈会長は舌を絡ませてくる。昨日の夜のことを思い出すなぁ。
 やがて、唇が離れると沙奈会長はうっとりとした表情で僕のことを見つめ、

「にゃーん」

 そんな可愛らしい声を漏らしながら、僕の胸に頭をすりすりしてくる。どうしてこんなことをしているかというと……彼女は猫のカチューシャを持ってきており、昨日は一時、猫になりきってイチャイチャしていた。ちなみに今、そのカチューシャは彼女の下着と一緒に隣のベッドに置かれている。

「まったく、甘えんぼな猫さんですね」

 よしよし、と沙奈会長の頭を撫でる。こんなところを琴葉達に見られたら、今日は絶対にベッドの中に潜り続けるだろうな。
 そういえば、外は明るくなっているけど、今は何時なんだろう。スマートフォンで確認してみると、今は午前6時過ぎか。日を跨いでから寝たのにスッキリと起きられた。これも温泉のおかげなのか、沙奈会長とたくさんイチャイチャしたからなのか。とりあえず、目覚ましを切っておこう。

「ねえ、玲人君。シャワーを浴びてまた一緒に温泉に入りたい」
「いいですよ。もう明るくなっていますから、沙奈会長と温泉に浸かりながら富士山を見たいです」
「そうだね。じゃあ、一緒に入ろっか」

 僕は沙奈会長と一緒にシャワーを浴び、昨日と同じように隣り合って温泉に浸かる。明るくなってからだと雰囲気も変わるな。8階だから景色も結構広くて、

「富士山、凄く綺麗ですよ!」

 富士山もはっきりと見える。朝からとても贅沢な時間を過ごしている気がする。

「そうだね。ふふっ、何だか旅行に来てから一二を争うくらいにテンション高いね」
「そうですか? ただ、バルコニーから見る富士山もいいですが、沙奈会長と一緒に温泉に浸かりながら見る富士山は格別です」
「そう言ってくれるとこっちまで嬉しくなるよ。でも、温泉に浸かりながら富士山を眺める……日本だねぇ」
「……ええ。そして、幸せな気分になれますね」

 沙奈会長は手を重ねてきて、そっと寄り添ってくる。
 今日は河乃湖ハイランドに行くけれど、どんな一日になるだろうか。楽しい一日になればいいなと思いながら、温泉と沙奈会長の温もりに浸るのであった。


 午前7時過ぎ。
 昨晩約束したように、僕と沙奈会長は琴葉達と一緒に朝食の会場であるレストランへと向かう。
 夕食のときと同じように朝食もバイキング形式であり、午前6時から8時半までの間に受付を済ませれば大丈夫なようになっている。開始時刻から1時間経っているからか、すぐに6人席に行くことができた。
 昨日の夕食とは違い、今回は僕だけではなく琴葉も残ってくれた。僕が寂しがりそうだからと彼女は言っていたけれど、きっとアリスさんのことを話したいんじゃないかと思う。沙奈会長も同じことを思っているのか、特に不満げな様子は見せなかった。

「あの後、沙奈さんとは楽しい時間を過ごせた?」
「……うん。ホテルの周りを散歩したり、部屋に付いていた温泉に一緒に入ったりして。ばぶばぶ言ったことのお礼に会長にコーヒーを買ってもらったんだ。昨日の夜はたっぷりと楽しめたよ」
「そっか! それは良かった」
「琴葉の方はどうだった? 正直……808号室の4人だと、どんなことをしていたのかなかなか想像できなくて」

 年齢もバラバラだし、一昨日初めて会った人もいる。そこから一緒に過ごす中でみんな仲良くなってきている気がするけど。

「みんなのんびりしていたよ。ただ、レイ君と沙奈さんが部屋を出ていった直後は、2人はどういう時間を過ごすのか話したよ。お部屋に温泉があるのは知っていたから、きっと一緒に温泉に入って、ツインだけど同じベッドの上でイチャイチャして、そのまま寝るんじゃないかっていう結論になった」
「……散歩した後、その通りのことをしたよ」

 さすがにそこは読まれていたか。きっと、今夜も一緒にお風呂に入って、たくさんイチャイチャして、同じベッドで寝ると思う。

「後はね……今日行く河乃湖ハイランドのことを話したかな。絶叫マシンとお化け屋敷は絶対に行きたいねって話になったかな」
「そうなんだ。僕も沙奈会長と散歩したときにその話題が出て、絶叫マシンとお化け屋敷には一度は行きたいって話したよ」
「そうなんだ。そういえば、レイ君は今でも大丈夫なのかな?」
「……どうだろうなぁ」

 ただ、絶叫マシンは分からないけれど、お化け屋敷は大丈夫じゃないだろうか。一時期の沙奈会長は、お化け屋敷なんて可愛いと思えるくらいに恐ろしかったから。

「一度試してみて、ダメだったら他のところに行けばいいと思うよ」
「……成長したな。琴葉がそういうことを言えるようになるなんて」
「あたしだって大人になったからね。昔みたいに無理矢理付き合わせることなんてしないよ」
「……そっか。でも、大丈夫であってほしいって思ってる」

 どうせなら色々なことを楽しみたい。しばらくの間は行っていないけど、僕だって高校生になったんだ。体験してみたらとても楽しめるかもしれないし。

「今のレイ君なら大丈夫かもね。話を戻すけど、昨日は……麻実ちゃんは運転して疲れたみたいで11時くらいには寝たかな。真奈ちゃんもそのすぐ後に。だから、声を小さくして樹里さんと放送していたアニメを観たんだけれど、あたしも12時前にはふとんに入ったよ。そのときにアリスちゃんが現れて、ちょっとの間ふとんの中で話したんだ」
「そうだったんだね」

 アリスさん、やっぱり琴葉の前に姿を現したか。
 あと、副会長さんは旅先で深夜アニメを観たんだな。旅先で観ると特別な感じがしていいよなぁ。何時まで起きていたのか分からないけれど、元気そうなのでいいか。

「アリスさんとはどういう話をしたの?」
「みんな旅行が楽しそうで何よりだって。この後も、できるだけあたし達の様子を見て楽しむってさ。あと、足湯がとても気に入ったみたいで、また入りに行くって言ってた」

 確かに、僕にも満足そうな様子で足湯のことを話していたもんな。

「そうなんだ。アリスさんが入った足湯かどうかは分からないけれど、沙奈会長と散歩しているときに24時間無料で入れる足湯に入ってきたよ。気持ち良かった」
「そうだったんだ。昨日の夜は結構寒かったよね。バルコニーに出て夜景を見たんだけど、体が震えちゃったもん」
「この半纏を着てもちょっと寒かったかな」

 だからこそ、あの足湯がとても気持ちいいと思えたのかもしれない。それもあってか、僕も沙奈会長も特に具合は悪くなっていない。沙奈会長は昨日以上に元気だ。

「琴葉、体調は大丈夫?」
「うん。特におかしいところはないし、今はお腹ペコペコだから朝ご飯をたくさん食べたいぐらいだもん」
「あははっ、そっか。健康そのものだ。じゃあ、河乃湖ハイランドに行っても大丈夫そうだね。もちろん、気分が悪くなったりしたら遠慮なく言って」
「うん、分かった」

 意識を取り戻してから1週間くらいしか経っていないのが信じられないくらいだ。きっと、今、琴葉がここまで元気なのは、アリスさんと一緒に異世界で過ごしたからだと思うようにしている。

「お待たせ、玲人君、琴葉ちゃん」

 沙奈会長が戻ってきた。見てみるとご飯に味噌汁、焼き魚などの和食メニュー。美味しそうだ。うちの朝ご飯は和食が多いし僕もそうしようかな。

「2人で何か話していたみたいだけど」
「沙奈さんとレイ君が部屋に戻った後のことと、アリスちゃんとふとんの中でお話をしたのでそのことを話しました」
「そっか。やっぱり、アリスさん……琴葉ちゃんのところに行ったんだね」
「ええ。レイ君から聞きましたけど、昨日は2人きりでたっぷりと楽しい時間を過ごしたそうじゃないですか」
「まあ、そうだけど……玲人君、詳しく喋っちゃった?」

 沙奈会長、顔を赤くしながら僕のことをチラチラと見ている。

「いいえ、散歩して、部屋の温泉に入って、イチャイチャして、一緒のベッドで寝たって言っただけですから」
「それならいいけれど」

 沙奈会長はほっと胸を撫で下ろす。昨日、車の中で口づけをして恥ずかしい想いをしていたからな。2人きりのところだとイチャイチャしても、誰かがいると恥ずかしがるところは可愛らしい。

「あとは、河乃湖ハイランドに行ったら絶叫マシンとお化け屋敷には行こうねってレイ君と話していました」
「前から話していたもんね。私は小さい頃は苦手だったからなぁ。昨日、玲人君とも話したけれど、一度トライしてみるのが大事だよね」
「そうですね! じゃあ、あたし達も取りに行こうか、レイ君」
「そうだな」
「いってらっしゃい」

 僕は琴葉と一緒に朝食を取りに行く。確かに、沙奈会長の言うようにメニューが豊富だ。どれも美味しそうで、和風だと心に決めていたけれど迷い始めてしまった。
 でも、バイキングなので食べたくなったらまた取りに行けばいいか。僕は和食のメニューを中心に取っていく。

「レイ君は和食なんだ」
「うん。普段がそうだからね」

 そう言う琴葉は洋食のメニューをたくさん取っている。そして、朝からフルーツたっぷりだなぁ。その中にはいちごもあるし。
 昨晩のことや、今日行く河乃湖ハイランドのことについて話しながら、僕達は楽しく朝食を食べるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。  しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。  ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。  桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編5が完結しました!(2025.7.6)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

処理中です...