10 / 62
六人目の学友
しおりを挟む
六人目の学友
男女別に計上している事を明示していなかったと思い出した為先ず其れを書き添えておく、要するに本章は女性としての六人目に当たると言う次第だ。斯様な性差による区分けを無意識にもしてしまう辺りに両性愛者としての程度の低さが見えるのは多方面に対する謝意を禁じ得ない。
二十歳の峠を跨ぎ更に春夏秋冬を越して後、もうぞろ梅雨に差し掛からんやと言う時節が出会いの時期だったと記憶している。
書き出しから本章までに懸かった時間が7年前後。ぼつぼつ人数と計算が合わないことを訝しがられる頃合いかと思うため白状しておくと、一人当たりと人生が重なった時間は極端に短い。長くとも半年に満たないのではあるまいか。
憚り無く語るなら、頃年に到るまで出会いの九分九厘は寂寥埋めの間に合わせ以上に見ていなかった。「熱し易く冷め易い」とは良く言った物だが、孤独に基因する渇望を熱烈なアプローチに取り違える側に責任の一端も無いではないだろうと今尚思う。転嫁ではない。彼の存在を認知し、その上で受け入れた面々が此処に名を連ねて居るのだから。
そんな許容の度合いで言えば、此の学友上がりは歴代でも一、二を争う。だがしかし、差し当たっては他と同様に出会いの経緯から記しておく事としたい。
将来の展望を持ち様も無く、恩師の薦めに従って大学の教職課程に進路を取った。率直に、本意も不本意も無い程度の進学だった事は間違い無い。とは言え結果として学びに対する楽しみを四年間の在学中に人並み程度に見出だす事が出来たのは僥倖だ。諸々の得難い経験が今日の生業にも一役買っているのは確かだろう。話を本道に戻すが、其の教職課程の講義が出会いの切っ掛けとなった。
生来の人好きが掌を返すように新たな友誼の構築を極力避けていた私に反し、学友は学部の垣根も越えて多方面に交遊を図っていたらしい。出会った当時は社会学科に恋人も居た筈だ。友人作りに燃やす情熱は話し掛ける切っ掛けさえ有れば手当たり次第と言った勢いで、同郷と知られた私は帰路の車内で其の網に捉えられる事となる。
この頃から今日に迄通ずるスタンスとして、私の人生観は「来る者拒まず去る者追わぬ」性格を多分に含んでいた。その為彼女の厚意に敢えて攻撃的に迄は距離を取ろうとしなかった事が幸いか災いかしたのだろう、何時の間にか同郷の学友として其れなりの付き合いが出来上がっていた。
済崩しに摘み食らうも一興と虎視眈々に構えた事は隠す気も無い。とは言え、講義の終わりを狙って先方の彼氏に詰め寄られては話が違う。先の捕り物の記憶も未だ鮮明に残る頃合い、へいへいご迷惑お掛けしましたよってと簡易な謝辞で適当にあしらい有言実行に早々と此方からの交流を絶った。其の上で尚遊ぼうよ等と食い下がってくるのだ、食らい返しても私許りの責では在るまいよ。
結局完全に乗り換えを果たし学友から恋人へ昇格を遂げんとした折、交際を踏み切るのに待ったを掛けたのは私からだった。
「前にも話したけど、俺は秋くんの事を忘れられないよ」
紛らわし賑やかしに老若男女と区別なく傍に置き寄り添った事も含め赤裸々に語ったのは、君の形態が少し彼に似ている事も理由に有ると迄打ち明けていた。
「代わりにして良いよ、『秋くん』って呼んでも良い」
遠からぬ破局を見通すに苦が無い申し出だった。本心から斯様な扱いを許容し得る器には到底見えなかった。
それでも、そんな言葉を以てすら投身する有様さえもが、彼の陰と色濃く重なったのは事実だ。
いやぁ…此処までを見るとすっげぇ良い子なんだけどさぁ…
俺にすんなり転んだ事からも分かるように激チョロの浮気症だったのはもう何つーかドンマイ俺って感じですわ。
人懐っこくていい子なのよ?でもねぇ…浮気相手と致してる最中に電話してくる女ブッチしても俺悪くないよね?
男女別に計上している事を明示していなかったと思い出した為先ず其れを書き添えておく、要するに本章は女性としての六人目に当たると言う次第だ。斯様な性差による区分けを無意識にもしてしまう辺りに両性愛者としての程度の低さが見えるのは多方面に対する謝意を禁じ得ない。
二十歳の峠を跨ぎ更に春夏秋冬を越して後、もうぞろ梅雨に差し掛からんやと言う時節が出会いの時期だったと記憶している。
書き出しから本章までに懸かった時間が7年前後。ぼつぼつ人数と計算が合わないことを訝しがられる頃合いかと思うため白状しておくと、一人当たりと人生が重なった時間は極端に短い。長くとも半年に満たないのではあるまいか。
憚り無く語るなら、頃年に到るまで出会いの九分九厘は寂寥埋めの間に合わせ以上に見ていなかった。「熱し易く冷め易い」とは良く言った物だが、孤独に基因する渇望を熱烈なアプローチに取り違える側に責任の一端も無いではないだろうと今尚思う。転嫁ではない。彼の存在を認知し、その上で受け入れた面々が此処に名を連ねて居るのだから。
そんな許容の度合いで言えば、此の学友上がりは歴代でも一、二を争う。だがしかし、差し当たっては他と同様に出会いの経緯から記しておく事としたい。
将来の展望を持ち様も無く、恩師の薦めに従って大学の教職課程に進路を取った。率直に、本意も不本意も無い程度の進学だった事は間違い無い。とは言え結果として学びに対する楽しみを四年間の在学中に人並み程度に見出だす事が出来たのは僥倖だ。諸々の得難い経験が今日の生業にも一役買っているのは確かだろう。話を本道に戻すが、其の教職課程の講義が出会いの切っ掛けとなった。
生来の人好きが掌を返すように新たな友誼の構築を極力避けていた私に反し、学友は学部の垣根も越えて多方面に交遊を図っていたらしい。出会った当時は社会学科に恋人も居た筈だ。友人作りに燃やす情熱は話し掛ける切っ掛けさえ有れば手当たり次第と言った勢いで、同郷と知られた私は帰路の車内で其の網に捉えられる事となる。
この頃から今日に迄通ずるスタンスとして、私の人生観は「来る者拒まず去る者追わぬ」性格を多分に含んでいた。その為彼女の厚意に敢えて攻撃的に迄は距離を取ろうとしなかった事が幸いか災いかしたのだろう、何時の間にか同郷の学友として其れなりの付き合いが出来上がっていた。
済崩しに摘み食らうも一興と虎視眈々に構えた事は隠す気も無い。とは言え、講義の終わりを狙って先方の彼氏に詰め寄られては話が違う。先の捕り物の記憶も未だ鮮明に残る頃合い、へいへいご迷惑お掛けしましたよってと簡易な謝辞で適当にあしらい有言実行に早々と此方からの交流を絶った。其の上で尚遊ぼうよ等と食い下がってくるのだ、食らい返しても私許りの責では在るまいよ。
結局完全に乗り換えを果たし学友から恋人へ昇格を遂げんとした折、交際を踏み切るのに待ったを掛けたのは私からだった。
「前にも話したけど、俺は秋くんの事を忘れられないよ」
紛らわし賑やかしに老若男女と区別なく傍に置き寄り添った事も含め赤裸々に語ったのは、君の形態が少し彼に似ている事も理由に有ると迄打ち明けていた。
「代わりにして良いよ、『秋くん』って呼んでも良い」
遠からぬ破局を見通すに苦が無い申し出だった。本心から斯様な扱いを許容し得る器には到底見えなかった。
それでも、そんな言葉を以てすら投身する有様さえもが、彼の陰と色濃く重なったのは事実だ。
いやぁ…此処までを見るとすっげぇ良い子なんだけどさぁ…
俺にすんなり転んだ事からも分かるように激チョロの浮気症だったのはもう何つーかドンマイ俺って感じですわ。
人懐っこくていい子なのよ?でもねぇ…浮気相手と致してる最中に電話してくる女ブッチしても俺悪くないよね?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
分かりやすい日月神示のエッセイ 🔰女性向け
蔵屋
エッセイ・ノンフィクション
私は日月神示の内容を今まで学問として研究してもう25年になります。
このエッセイは私の25年間の集大成です。
宇宙のこと、118種類の元素のこと、神さまのこと、宗教のこと、政治、経済、社会の仕組みなど社会に役立たつことも含めていますので、皆さまのお役に立つものと確信しています。
どうか、最後まで読んで頂きたいと思います。
お読み頂く前に次のことを皆様に申し上げておきます。
このエッセイは国家を始め特定の人物や団体、機関を否定して、批判するものではありません。
一つ目は「私は一切の対立や争いを好みません。」
2つ目は、「すべての教えに対する評価や取捨選択は読者の自由とします。」
3つ目は、「この教えの実践や実行に於いては、周囲の事情を無視した独占的排他的言動を避けていただき、常識に照らし合わせて問題を起こさないよう慎重にしていただきたいと思います。
この日月神示は最高神である国常立尊という神様が三千世界の大洗濯をする為に霊界で閻魔大王として閉じ込められていましたが、この世の中が余りにも乱れていて、悪の蔓延る暗黒の世の中になりつつあるため、私たちの住む現界に現れたのです。この日月神示に書かれていることは、真実であり、これから起こる三千世界の大洗濯を事前に知らせているのです。
何故?
それは私たち人類に改心をさせるためです。
それでは『分かりやすい日月神示のエッセイ 🔰女性向け』を最後まで、お読み下さい。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年(2025年)元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる