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例えるなら、春の盛り鮮やかに咲き誇った二輪の花。酷暑の夏にも厳寒の冬にもその色を損なわせる事無く愛で続けて居たいと願う様な、そんな気分と言って通じるだろうか。
自身も斯く在りたしと言う憧憬ではない。物語の背景の一部に成る事すら烏滸がましさを覚える程の尊さを見出だす悦びを、理解されるだろうか。
※注:冒頭だけこんなんで中身ギャグです。
文字数 55,281
最終更新日 2025.11.14
登録日 2021.10.07
進退も極まった今、吐いた唾を飲み込む器用も無い私に出来る精一杯を眼前の少女に捧ぐ覚悟が定まっていた。
※本文 『傷心の手当てなら趣味の範疇だ』 より引用
文字数 15,387
最終更新日 2024.11.30
登録日 2021.06.07
私が去年死に損なうまでの数日、併せて今日に至るまで、見た夢と現実を文にしたためたものです。
文字数 10,400
最終更新日 2024.10.23
登録日 2022.09.16
文字数 49,724
最終更新日 2022.02.25
登録日 2021.06.03
指先が顎先と重なった所で上向きに力を加えてやると抵抗することなく顔を上げこちらを見上げてきた。彼のオニキスのように輝く黒い瞳に吸い寄せられていく。自身の存在ごと委ねるように目蓋を閉じ全身の力を抜いた彼が車椅子から転落しないようそっと反対の手を腰に回し抱き留める。
唇が触れてからの時間を数える趣味は無いが今回は五秒と経たず中断を余儀なくされた。玄関の呼び鈴が来客を告げたのである。ゆっくりと身体を離すと彼の不満げな表情が眼前に有った。
「これからと言う所で・・・」
恨めしそうに玄関の方角を睨みつける彼の頬を慰めるように撫でてから手を離す。
「旺盛な奴だ、昨日あれだけ可愛がったのに」
そう言えば結局寝室もキッチンも掃除が全く済んでいない事に気が付いたが先ずは来客に対応しなければ。
「貴方様の寵愛なら何時だって何度だって何処でだって受け止めたく存じます」
邪気のない笑顔で殺し文句を吐く彼に返す言葉が見つからず、ただ頬にもう一度軽く口づけた私は早々に玄関へと足を向けた。断じて気恥ずかしかったわけではない。
※本編『1-2』より引用
文字数 132,887
最終更新日 2021.09.11
登録日 2021.06.03
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