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17-3 エドガー
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「何?」
聞き返すと、ニコルはニヤリと笑った。
その顔は悪意に満ちていて、人間であるということを疑いたくなるほどの邪悪さがあった。
「話してあげるよ。何でジルがあなたに好きだと伝えるのか。でもその為にはちゃんと頼んでくれないと」
ニヤニヤとそう言うニコルは、俺が何でも言うことを聞くと思っている様子だ。
だが今、ニコルに構っている暇はない。
「それは今話すことか?」
「え?」
「悪いが急いでいるんだ。お前の話を聞く時間はない」
そう言うとニコルの笑顔は歪んでいった。
踵を返してエンバルトリアへ続く道へと走る。
後ろから我慢ならないといった様子のニコルが叫んでいるのが聞こえた。
「あんたの妹を黒髪の男が殺したように見せかけたのも、サバイバル訓練中に訓練兵を襲っていたのも全部僕の仕業だよ!! それなのに一方的にジルを跳ね除けて冷たく当たったあんたが!! 今さらジルに顔向けできるの!?」
そうだったのか。やっぱり、ジルはそんなことするような奴ではなかったんだ。
それなのに、俺は見誤った。
顔向けなんてできるわけがない。
だが、今行かないと二度と会えない気がした。
「ジルは! ここじゃない世界のあんたと付き合ってた!! ジルが見てるのはあんたじゃない!! 別の世界のエドガー・フォン・ドランザーだ!! ザマァみろ!!」
ニコルは狂ったようにケタケタと笑い出した。
ドクリと心臓が揺れる。
そんな訳のわからない話を信じるなんてどうかしている。
それなのに、別の世界の俺と恋人だったと言うその話はなぜだか俺の心にしっくりときた。
そして、その話を信じると、ジルがなぜこんな俺に好きだと伝えていたのかが分かり、心臓に穴が開いたように痛くなった。ジルが好きだと言ったのは、俺であって俺でない、別の世界の男なのだ。
それでも俺は夢中で走った。
途中で馬を借りて乗り、3日で到着した。
来たことのないその場所は、荒れ果てた土地で雨が何日も雨が降っていないのか乾燥しきった地面に、俺の背丈の2、3倍はありそうな大きな岩が点在していた。
そして何人もの遺体が転がっている。
だが、号外に出ていたように1000人あまりの兵の死体はパッと見ただけでもなさそうだ。
転がっている兵を1人、1人確認して、それがジルではないと確認するたびに胸を撫で下ろしている自分に嫌気が差した。
自分がぬくぬくと生活している間に、こうやって国を守る為に戦い死んでいった者たちの死を見て、その死がジルではないことに安心しているなんて。
「ジル! ジル!! いるなら返事をしてくれ!!」
あたりは静かで、動物1匹すらも生きてる者の気配がしない。
「ジル! 嫌だ。俺は……、ジル!!」
だんだんと半狂乱になりながら、辺りの兵を確認していくと、死んでいると思っていた兵の中には微かに息をしている兵もいた。
俺はそいつらを一か所に集めて辺りを散策し、野営テントを見つけてその中にあった水などを飲ませた。
それからすぐにまた、捜索に入る。
「ジル! 生きててくれ……。頼む……ジル」
しばらく歩き回っていると辺り一帯が木で生い茂っている場所を発見した。
聞き返すと、ニコルはニヤリと笑った。
その顔は悪意に満ちていて、人間であるということを疑いたくなるほどの邪悪さがあった。
「話してあげるよ。何でジルがあなたに好きだと伝えるのか。でもその為にはちゃんと頼んでくれないと」
ニヤニヤとそう言うニコルは、俺が何でも言うことを聞くと思っている様子だ。
だが今、ニコルに構っている暇はない。
「それは今話すことか?」
「え?」
「悪いが急いでいるんだ。お前の話を聞く時間はない」
そう言うとニコルの笑顔は歪んでいった。
踵を返してエンバルトリアへ続く道へと走る。
後ろから我慢ならないといった様子のニコルが叫んでいるのが聞こえた。
「あんたの妹を黒髪の男が殺したように見せかけたのも、サバイバル訓練中に訓練兵を襲っていたのも全部僕の仕業だよ!! それなのに一方的にジルを跳ね除けて冷たく当たったあんたが!! 今さらジルに顔向けできるの!?」
そうだったのか。やっぱり、ジルはそんなことするような奴ではなかったんだ。
それなのに、俺は見誤った。
顔向けなんてできるわけがない。
だが、今行かないと二度と会えない気がした。
「ジルは! ここじゃない世界のあんたと付き合ってた!! ジルが見てるのはあんたじゃない!! 別の世界のエドガー・フォン・ドランザーだ!! ザマァみろ!!」
ニコルは狂ったようにケタケタと笑い出した。
ドクリと心臓が揺れる。
そんな訳のわからない話を信じるなんてどうかしている。
それなのに、別の世界の俺と恋人だったと言うその話はなぜだか俺の心にしっくりときた。
そして、その話を信じると、ジルがなぜこんな俺に好きだと伝えていたのかが分かり、心臓に穴が開いたように痛くなった。ジルが好きだと言ったのは、俺であって俺でない、別の世界の男なのだ。
それでも俺は夢中で走った。
途中で馬を借りて乗り、3日で到着した。
来たことのないその場所は、荒れ果てた土地で雨が何日も雨が降っていないのか乾燥しきった地面に、俺の背丈の2、3倍はありそうな大きな岩が点在していた。
そして何人もの遺体が転がっている。
だが、号外に出ていたように1000人あまりの兵の死体はパッと見ただけでもなさそうだ。
転がっている兵を1人、1人確認して、それがジルではないと確認するたびに胸を撫で下ろしている自分に嫌気が差した。
自分がぬくぬくと生活している間に、こうやって国を守る為に戦い死んでいった者たちの死を見て、その死がジルではないことに安心しているなんて。
「ジル! ジル!! いるなら返事をしてくれ!!」
あたりは静かで、動物1匹すらも生きてる者の気配がしない。
「ジル! 嫌だ。俺は……、ジル!!」
だんだんと半狂乱になりながら、辺りの兵を確認していくと、死んでいると思っていた兵の中には微かに息をしている兵もいた。
俺はそいつらを一か所に集めて辺りを散策し、野営テントを見つけてその中にあった水などを飲ませた。
それからすぐにまた、捜索に入る。
「ジル! 生きててくれ……。頼む……ジル」
しばらく歩き回っていると辺り一帯が木で生い茂っている場所を発見した。
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