浮気性で流され体質の俺は異世界に召喚されてコロニーの母になる

いちみやりょう

文字の大きさ
1 / 6

しおりを挟む
「最低! なんで浮気なんかするの!!」

目の前では怒り顔の女が叫んでいる。

「は? 俺、最初からお前一人にするつもりないって言ったよな?」
「そんなの、付き合ったら変わるって思うでしょ! 私が一番でしょ!?」
「勝手にそんなこと思わないでほしいんだけど。別にお前のこと好きじゃねぇし、他のやつのことも同じくらい好きじゃねぇよ?」
「っ!!」

バシャ

女はコップの水を俺にかけて店を出て行った。

「はぁ」

俺はため息をついて会計をしてから店を出た。
俺はいつもこんな感じで振られる。振られることに特になんとも思ってはいないが、女たちの態度には疲弊する。

「あーあ、誰か1人に絞らなくてもいい世界に行きてーなー」

ゴロゴロゴロ

雲ひとつなかった空に急に黒い雲が立ち込めて空が鳴り出した。

ピシャーン!!!

その音が聞こえた時には俺の視界は光に包まれて、気がついたら目の前は真っ白い空間が広がっていた。

「ってて」

起き上がってみても、やっぱり周りは真っ白で俺一人だけが色を持った世界に迷い込んだようだ。

『おめでとうございます』

突然空から声が降ってきた。

「な、え、なんだ」
『私は神様みたいなものです』
「神様!?」

あ、夢か。

『夢ではありません。私はあなた様が望んだ世界に送るため、あなた様を殺害しました』
「心読まないでもらっても? 殺害とかも軽く言わないで……ってか、望んだ世界って?」
『望まれたでしょう? 誰か一人に絞らなくてもいい世界に行きてーなーって』
「えっ、そんな世界に行かせてもらえるんすか!」
『ええ。ではこちらの扉からどうぞ』
「え、説明とか」
『大丈夫です。行けばなんとかなりますから』
「展開早くない? え? 何かそのこう言う時ってこう、何かスキルとかもらえるでしょう!? それは?」
『ああ。モテモテになるスキルをつけてあげましたから』
「えっ、それって弱そうなスキルじゃない? ねぇ! ちょっと押さないで!」

俺はその神様とやらにグイグイと扉の方に押されて外に飛び出た。
扉の外には床はなくて俺はどんどんと落ちて行った。

「強引すぎるだろぉ~~~!!!」

まぁでも、モテモテな上に誰か一人に絞らなくていい世界。
それならいっかー。
流され体質な俺は結局諦めて目を閉じた。


目が覚めると俺はベットの上にいるらしくふかふかと気持ちいい。
周りはどこかヨーロッパな感じで、俺って転生したんだなぁとどこか他人事のように感じた。

「お目覚めになられましたか?」

横から声をかけられて目を向けるとものすごいキラキラしたイケメンの騎士が立っていた。

「え、ああ。うん」
「ではこちらに来ていただいても?」

俺はイケメンに促されるままベットから起き上がりその後をついて行った。

扉を開けて入ったその部屋はとても広く奥に玉座のような椅子があってそこにはまたイケメンが座っていた。

その周りに並ぶように数人イケメンが並んでいる。

イケメン率高い世界だな。
俺、本当にこの世界でモテモテのスキル付いてんのか?

「お前が今回の母か。名はなんと申す」

玉座に座ったイケメンが多分俺に向かって話しかけてきた。

「えっと、市村 千です」
「ではセン。これからよろしく頼む」
「え? ああ、はい」

俺は何をよろしく頼まれたのかは分からないがとりあえず返事をした。

「グルガー、後のことは頼んだ」
「はい」

玉座に座ったイケメンは俺をここまで連れてきた騎士(グルガーと言うらしい)にそう命じて退出して行った。

グルガーは俺を連れてまた来た道を戻って元の部屋に戻った。
ソファに座らされて目の前にグルガーが座った。

「ではセン様、何が何だか分からないと思いますので簡単に説明させていただきますね」
「あ、はい」
「まず私たちは子を孕むことができない種族です。なのでどこか他の国や世界から一人、子を孕むことができる種族を得る必要があるのです」
「はあ」

俺は気の抜けた返事しかできない。

「それがあなたです」
「ん? なにが?」
「今、この国にいる子を孕むことができる種族はあなた一人なのです」
「え、ちょっとごめん。俺、子は孕めないよ?」
「いいえ、孕めます」
「いや、自分の体は自分が一番よくわかってる! ってこんな台詞初めて言ったわ。何を勘違いしてんのか分かんねぇけど、俺、男だし、あんたらと同じで孕めるわけねぇだろ」
「あなたは魂で選別されてこの世界に召喚されたのですから孕むことができると確定しているんです」
「話通じねぇ」
「とにかくこの国、というかコロニーの次なる母はあなたです。沢山の子を生んでいただきます」
「は~? 良くねぇよ。その考え方は。万が一俺が子を孕むことができる体だったとしてもそんな子を生む道具扱いされてたまるかってんだよ」
「コロニーの母に選ばれてしまったのだから仕方がありません。あなたを子を生む道具扱いするわけではありませんが、私たちはあなたを支える道具です。何かありましたらなんなりとお申し付けください」

俺はとりあえずため息をついてグルガーを部屋から追い出した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

魔王のペットの嫁

よしゆき
BL
異世界に召喚された不憫受けが魔王のペットの嫁にされる話。 攻めが人外です。 攻めは言葉を話しません。 攻めは人の姿ではなく、人の姿になりません。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...