双子の兄になりすまし単位を取れと言われたが、おいおい何したらこんなに嫌われんの?

いちみやりょう

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45 父さん、母さん ※微

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ソファに座る俺の元まで戻ってきた黒月さんに、そっと押し倒されて黒月さんの整った顔が近づいてくる。
やがてそっと合わさった唇はとても柔らかかった。

「んっ」

舌が唇の隙間にするりと滑り込んできて、俺の舌をそっと撫でる。
驚いて舌を引こうとすると、黒月さんは一度口を離し、フッと息を漏らした。

「紫、可愛いね。舌を出して」
「んん」

黒月さんの言葉に従い、そっと舌を伸ばしてみると、黒月さんは嬉しそうに頬を緩めた。

「本当にかわいい……紫」

そう言った黒月さんの目は、肉食獣のような目で、少しだけ怖く感じた。

「ぁの……、ゆういち、俺、本当、初めてだから……、あの、優しく、してほしい」
「っっ、もちろん……とびっきり甘々で、ドロドロに気持ちよくしてあげる」

今日はね。最後に小さくつぶやいた黒月さんの声は、怖すぎるので聞かなかったことにした。

それから黒月さんは宣言通り、前戯の段階から俺をドロドロの甘々に溶かし尽くし、初めてだと言うのに、何度も何度もイかされた。

終わった頃には、外もすっかり暗くなっており、本校舎の方では花火が上がり始めた。
花火はカーテンを開ければ俺たちがいる部屋からもよく見えて、穴場かもしれない。

「無理させすぎてしまったかな」

ソファで横になっている俺の体を、優しく拭いながら黒月さんが呟く。

「ううん。俺、悠一とするのずっと楽しみにしてたけど、こんなに気持ちいいとは思ってなかったよ。やっぱり、大好きな人とだったから、こんなに気持ちいいんだ」

黒月さんが上手かったというのもあるかもしれないけど。

「紫が気持ちよかったなら、よかった。俺もとっても良かったよ」

花火が打ち上がる音や、それを見て騒ぐ生徒たちの声を遠くに感じながら、こんなことをしているのが、なんだか背徳感があり、心が落ち着かない。

「……文化祭で花火なんて、さすが金持ち高校だよね」
「そうですね。卒業生などからの寄付で賄っているそうですが……。ちなみに、紫のお父さんも、この学校のOBだったそうで、今でも柊グループは天我谷学園に寄付をしているんですよ」
「ええ? そうなの?」
「はい」
「へー……。ていうか、俺のお父さんは、悠一のお父さんでもあるでしょ? 普通にお父さんって呼んでよ。きっと、その方が天国にいるお父さんも、お母さんも嬉しいよ」
「……でも」

黒月さんはぐっと言い淀んだ。

「生きてた頃は、なんて呼んでいたの?」
「……それは……。父さん、母さんと」
「じゃあ、それでいいじゃん」

笑ってそう言っても、黒月さんはまだ悩んでいる様子だ。

「俺は、あの2人の大事な大事な忘形見に、懸想して、道を踏み外させてしまっているし、なんと言うか、父や母と呼ぶには抵抗が」

懸想……。同衾とかも言ってたし、黒月さんって時々言葉のチョイス古いよな。

「あのさ、俺の両親は俺が想ってる相手が黒月さんだったら怒るような人たちなの?」

尋ねると、黒月さんはハッと息を飲み首を振った。

「……いえ」
「じゃあ、俺たちが付き合ってるって知った時どんな反応すると思う?」
「それは……多分、全力で応援してくれると」

ポツリと呟いた黒月さんの言葉に、俺は嬉しくなった。
俺は自分の両親のことを知らないけど、黒月さんがそう言うなら、本当にそうなのだろうと思える。もしかしたら、本当に天国から応援してくれてるのかもしれないし、そう思えば心が暖かくなってくる。

「ならいいじゃん」

そう言った俺を、黒月さんは目を細めて見てから、ふふと笑った。

「本当……紫はあの2人……父さんと母さんにそっくりだ」
「そうなの? へへ」
「そうだよ、本当、父さんにも母さんにも、紫にもお世話になってばっかりだ。感謝してもしたりない」

俺の体を拭き終わった黒月さんは、そっと、新しいシャツを着させてくれて、ボタンを止め始めた。

「俺も、お父さんとお母さんには、感謝してる。悠一と出会えたのは、2人のおかげだから」

黒月さんは、驚いた顔をしてから「そうだね」と笑った。

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