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54 みんなの想い
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「ただいま」
「あ、柊木、おかえり。ちょうど良いマシュマロの焼き加減だよ! 食べる?」
天海が嬉しそうにマシュマロのついた串を掲げた。
「俺が食べても良いの?」
「僕はもう1袋くらい食べたよ」
「それは食べ過ぎだろ。じゃあ、遠慮なく」
いくらなんでも食べ過ぎな量のマシュマロを食べたらしい天海からマシュマロを受け取った。
「先生喜んでた?」
「目、キラキラさせて食べてたよ」
「おお。良かったね」
「うん」
ニマニマと俺を見つめる天海は、やはり俺の彼氏が黒月さんであることに気がついているのだろう。その横で、省吾と森がげっそりした顔で俺たちを見ていることに気がついた。
「もしかして食べたい?」
マシュマロを掲げると、2人とも力なく首を振った。
「どうしたんだよ。2人とも」
俺の呟きに、東堂が横から答えてくれた。
「その2人は、天海からのカップルウォッチャートークをずっと浴びせられた上に、マシュマロまで大量に食わされて、元気がないんだ」
「へぇ」
俺はそこまでのを聞かされたことはないけど、そんなげっそりするほど聞かされるのはかわいそうだな。そう思って哀れみの目で2人を見ていると、省吾がムッと口を尖らせた。
「かわいそうな者を見る目で見るなっ」
「や、ごめん。あんまりにもげっそりしてたから」
それで怒ってるところも面白かったが、笑いを我慢して謝ると、今度は眉を下げた。
「僕……。こんな態度しか取れないけど、柊木のこと、結構好きだよ」
「なんだよ突然」
何が言いたいのか分からずに首を傾げると天海が耐えきれないというように笑い出した。
「これはツンデレってやつだよ。小坂は大好きになった柊木に対して、素直になれないの」
「へぇ。そうなのか?」
「ちがう!!」
「でも、確かに今は俺の親衛隊の隊長な訳だし」
そう言うと、省吾は落ち着かない様子で目を泳がせた。
「そ、それは成り行きでなっただけだし。でも、いろんなこと頑張ってる柊木は、応援したくなるっていうか……」
「へぇ。それはありがとう」
「っ……だから。僕は柊木と一緒に卒業したいよ」
省吾はそう言ってからへなりと体の力を抜いて椅子に座った。どうやら素直じゃないらしい省吾が限界まで頑張って思いを伝えてくれたらしい。
「僕も、柊木と卒業したいよ」
「俺も」
「もちろん、私も」
天海と森と東堂も後に続いてそう言った。
どうして突然卒業の話? と疑問に思ったがすぐに原因に思いあった。
「東堂、みんなになんか言った?」
俺の問いに東堂はにっこり笑った。
「学園に居たいと言っただろう? それなら残れば良い。幸い私は生徒会長だし、私たちの実家はそれなりに権力もある。だから私たちだって協力できることはたくさんあるはずだ。みんなで力を合わせれば、柊木が残る方法くらいあるだろう」
俺を学園に残らせるために、他のみんなを使うなんて東堂は結構腹黒いところもあるのかもしれない。けど、東堂やみんなの想いが嬉しかった。1つ息を吐いてみんなを見渡した。
「みんな、俺、隠していたことがあるんだ」
それからみんなに俺が本当は誰であるのか、なんの目的でこの学園に居たのか、それから両親のことや社長を継ぐことなどを話した。
「紫っていうのか」
森が呟いた。
「隠しててごめん」
「そんなの、気にしてないよ。柊木が柊木であることには変わらない。木が2つついてるのも変わらないしな」
森が笑ってそう言ってくれた。
「おかしいと思ったんだ。だって、柊木は2年に上がった途端に別人みたいになったから。本当に別人だったとは思わなかったけど」
「ごめん」
「ううん。僕はむしろ安心した。突然今の柊木になったのなら、また突然前の柊木に戻っちゃうことがあるのかもって時々不安だったんだ。だから、柊木がずっとそのままの柊木でいてくれるなら……その、嬉しい」
「ありがとう、省吾」
省吾の言葉も嬉しかったが、省吾はまた照れたように”別に”と呟いて下を向いてしまった。
「隠してたなんて負い目に感じなくても大丈夫だよ。僕は柊木と……いや、紫と出会えて本当に良かったって思ってるからね!」
「天海……ありがとう」
やっぱり思っていた通り、みんな俺を受け入れてくれた。
「こんな私たちを放って、学園を去ったりしないだろう?」
東堂の問いに俺は笑顔でうなずいた。
「もちろん。実は俺もうすでに紫として通ってたらしいんだ。そういうふうに手続きしてくれてたらしくて」
「えっ。じゃあ、僕たちの出る幕もなく解決してるってこと?」
天海が声を上げた。それに俺はうなずいて返す。
「実は、そうなんだ」
「……なんだぁ! でもよかった」
「ありがとう。東堂……。みんな。引き止められるのって結構嬉しいものなんだな。本当、俺、ここに来てみんなに会えてよかったよ」
それから夜はテントの中で話明かして、翌朝はみんなほとんど寝ていない状態でテントから這い出て朝日を浴びた。
「あ、柊木、おかえり。ちょうど良いマシュマロの焼き加減だよ! 食べる?」
天海が嬉しそうにマシュマロのついた串を掲げた。
「俺が食べても良いの?」
「僕はもう1袋くらい食べたよ」
「それは食べ過ぎだろ。じゃあ、遠慮なく」
いくらなんでも食べ過ぎな量のマシュマロを食べたらしい天海からマシュマロを受け取った。
「先生喜んでた?」
「目、キラキラさせて食べてたよ」
「おお。良かったね」
「うん」
ニマニマと俺を見つめる天海は、やはり俺の彼氏が黒月さんであることに気がついているのだろう。その横で、省吾と森がげっそりした顔で俺たちを見ていることに気がついた。
「もしかして食べたい?」
マシュマロを掲げると、2人とも力なく首を振った。
「どうしたんだよ。2人とも」
俺の呟きに、東堂が横から答えてくれた。
「その2人は、天海からのカップルウォッチャートークをずっと浴びせられた上に、マシュマロまで大量に食わされて、元気がないんだ」
「へぇ」
俺はそこまでのを聞かされたことはないけど、そんなげっそりするほど聞かされるのはかわいそうだな。そう思って哀れみの目で2人を見ていると、省吾がムッと口を尖らせた。
「かわいそうな者を見る目で見るなっ」
「や、ごめん。あんまりにもげっそりしてたから」
それで怒ってるところも面白かったが、笑いを我慢して謝ると、今度は眉を下げた。
「僕……。こんな態度しか取れないけど、柊木のこと、結構好きだよ」
「なんだよ突然」
何が言いたいのか分からずに首を傾げると天海が耐えきれないというように笑い出した。
「これはツンデレってやつだよ。小坂は大好きになった柊木に対して、素直になれないの」
「へぇ。そうなのか?」
「ちがう!!」
「でも、確かに今は俺の親衛隊の隊長な訳だし」
そう言うと、省吾は落ち着かない様子で目を泳がせた。
「そ、それは成り行きでなっただけだし。でも、いろんなこと頑張ってる柊木は、応援したくなるっていうか……」
「へぇ。それはありがとう」
「っ……だから。僕は柊木と一緒に卒業したいよ」
省吾はそう言ってからへなりと体の力を抜いて椅子に座った。どうやら素直じゃないらしい省吾が限界まで頑張って思いを伝えてくれたらしい。
「僕も、柊木と卒業したいよ」
「俺も」
「もちろん、私も」
天海と森と東堂も後に続いてそう言った。
どうして突然卒業の話? と疑問に思ったがすぐに原因に思いあった。
「東堂、みんなになんか言った?」
俺の問いに東堂はにっこり笑った。
「学園に居たいと言っただろう? それなら残れば良い。幸い私は生徒会長だし、私たちの実家はそれなりに権力もある。だから私たちだって協力できることはたくさんあるはずだ。みんなで力を合わせれば、柊木が残る方法くらいあるだろう」
俺を学園に残らせるために、他のみんなを使うなんて東堂は結構腹黒いところもあるのかもしれない。けど、東堂やみんなの想いが嬉しかった。1つ息を吐いてみんなを見渡した。
「みんな、俺、隠していたことがあるんだ」
それからみんなに俺が本当は誰であるのか、なんの目的でこの学園に居たのか、それから両親のことや社長を継ぐことなどを話した。
「紫っていうのか」
森が呟いた。
「隠しててごめん」
「そんなの、気にしてないよ。柊木が柊木であることには変わらない。木が2つついてるのも変わらないしな」
森が笑ってそう言ってくれた。
「おかしいと思ったんだ。だって、柊木は2年に上がった途端に別人みたいになったから。本当に別人だったとは思わなかったけど」
「ごめん」
「ううん。僕はむしろ安心した。突然今の柊木になったのなら、また突然前の柊木に戻っちゃうことがあるのかもって時々不安だったんだ。だから、柊木がずっとそのままの柊木でいてくれるなら……その、嬉しい」
「ありがとう、省吾」
省吾の言葉も嬉しかったが、省吾はまた照れたように”別に”と呟いて下を向いてしまった。
「隠してたなんて負い目に感じなくても大丈夫だよ。僕は柊木と……いや、紫と出会えて本当に良かったって思ってるからね!」
「天海……ありがとう」
やっぱり思っていた通り、みんな俺を受け入れてくれた。
「こんな私たちを放って、学園を去ったりしないだろう?」
東堂の問いに俺は笑顔でうなずいた。
「もちろん。実は俺もうすでに紫として通ってたらしいんだ。そういうふうに手続きしてくれてたらしくて」
「えっ。じゃあ、僕たちの出る幕もなく解決してるってこと?」
天海が声を上げた。それに俺はうなずいて返す。
「実は、そうなんだ」
「……なんだぁ! でもよかった」
「ありがとう。東堂……。みんな。引き止められるのって結構嬉しいものなんだな。本当、俺、ここに来てみんなに会えてよかったよ」
それから夜はテントの中で話明かして、翌朝はみんなほとんど寝ていない状態でテントから這い出て朝日を浴びた。
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