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菫川ヒイロ

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悠々ライフ

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 どうやらこの世界には魔法というものが存在するようだ。
 存在すのであれば使ってみたい、そう思うのは当然の好奇心というものだろう。
 だからお願いしてみた。
 
 
「母様、僕、魔法を習いたいです」


「魔法ねえ。シリアンが習いたいというのならちゃんとした先生を用意しないと
 いけないわね。必ず最高の先生を用意するから待っていてねシリアン」
 
 
 母様は俺を溺愛していた。
 だから俺のお願いは必ず聞いてくれたし、いつだって最高の物を準備してくれる
 のだ。前世とは大違いである。
 
 
「シリアンにはまだ早過ぎやしないか? 」


「何を言っているのよあなた。こういうのは早いうちからっていうでしょ? 」


「お願いします父様」


「そうだな、分かった。すぐに準備させよう」


 こうして魔法の家庭教師がやって来たのは一週間後だった。
 俺が生まれたこの家は多少田舎ではあったが、貴族であり、それなりの金がある
 家であった為に家庭教師を呼べるのである。
 
 
「初めまして、ミリオンと申します。今回はご指名ありがとうございます」


 そして現れた魔法使いのミリオン。
 佇まいはいたって普通であり、スーツを着たその姿は思っていた魔法使いでは
 なかった。ただの家庭教師にしか見えない出で立ちのミリオン。
 それが生まれて初めて見た魔法使いであった。


「うむ、ではこの子が我が子シリアンだ。よろしく頼むぞ」


「初めまして、シリアン様。私はミリオンともうします。どうぞよろしく」


「よろしくお願いします」


 俺は差し出された手を握り返した。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「シリアン様は魔法を見た事はありますか? 」


「ありません」


「そうですか。では少しだけお見せいたしましょう」


 そうしてミリオンは何やらゴニョゴニョと呪文らしきものを唱えると指を一本
 立てた。するとその指先にゆらゆらと炎が浮かんでいた。
 
 
「これが魔法というものです。祝詞を唱える事により発現する現象という事ですか
 ね。ご理解頂けましたか? 」
 
 
「は、い? 」


 ご理解と言われても、まあなんとなくのゲームやアニメの知識として存在して
 いた現象を目の当たりにした結果、変な感覚だった。予想していた通りの事を
 実際にやられると感動とかは特になく、そうだよねくらいの感覚。これは理解
 したと言っていいものなのかさえ分からなかった。
 
 
「そうですね、では一度試してみましょう。簡単なものから。まあ成功するには
 それなりの時間が必要になりますから、ゆっくりとやっていきましょうね」
 
 
 そうしてミリオンから教えられた祝詞を口ずさんだ俺の手の中にはしっかりと
 火の玉があった。それはミリオンが指先に出したものとは明らかに大きさが違っ
 ており、驚いたミリオンが俺に放った言葉は「え、ドッキリですか? 」
 
 
 そんな訳がないし、この世界にもその認識がある事が俺にはドッキリである。
 
 
 






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