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悠々ライフ
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しおりを挟む「あ、先生! 」
「やあシリアン、待っていたよ」
魔法の実験から帰ってきた俺を迎えたのは何故かミリオンだった。
一体何故? とは思ったが父様が抗議した結果やって来たというのであれば
悪い事をしたなと思う。こんなにも沢山の人を引き連れてやって来るなんて
やはり身分差みたいなものがあるのだろう。別にこの人に何の恨みもないのだ、
俺は。
「君が噂のシリアン君かい? やあやあなかなか利発そうな子じゃないか。
確かに君のご両親が言っていたように君には期待すべきものがあるのだろうね。
私も君には期待しているんだよ? わざわざこんな田舎にまでやって来たんだ、
それなりのものを得ないと私も満足できない。是非とも私に見せてくれ、君の
才能というものをね」
何を言っているのかが分からない男。実に気持ちの悪い笑顔をするその男には
嫌悪感しかないのだが、何者なのか? という疑問を誰にもぶつける事が出来な
いまま俺は魔法陣の上へ連れてこられた。
「先生、これは? 」
「セット」
男は言う。そして現れた鎖に手足、首を拘束された。
「全ては君が悪いんだよ。どう考えたっておかしいじゃないか? ただの子供が
簡単に魔法を何度も行使するなんてさ、そんなのは人が出来る事じゃないんだ。
分かっているよ、君が人では無いという事はね。両親は必死になって隠していた
けど、どう考えたっておかしいんだ。そもそも君の両親は魔法の素養さえないと
いうのにどうして急に子供が使えるようになるのか? 答えは簡単さ、君が人で
はなくて悪魔だという事だよ。悪魔に憑かれた一族は当然始末しないといけない
んだ。良かったよ、僕が天才だったから気付く事が出来たんだ」
「アンタ、一体何を言っているんだ? 俺が悪魔だと? 何を根拠にそんな事を
言っている? 」
「もういいですかミリオン。ここからは私の時間なのですがね? 」
「嗚呼、構わない。やってくれ」
俺の言葉など無視して二人が会話をする。
この状況がどう考えたって悪い状況だという事などとっくに分かっている。
最悪の状況の中で俺が出来るのは魔法を使う事だった。でもそれが出来ないのだ、
何故か? おそらくはこの鎖の所為なのだろうが、俺はこんな魔法を知らない。
「どうしました? 抵抗はしないのですか? 確かにそれは魔法が使えなくように
拘束するものですが、それでも何かしないと始まらないじゃないですか!
さあさあ早く魔法を使ってみて下さい? 私はこう見えても待てる人間なのでね
いくらでも待つ事が出来ますよ? 」
この男が何を言っているのかは相変わらず分からないが、俺はとっくに魔法を
使っていた。ただ全てが失敗するのだ、そしてこの痺れ。何かしらの副反応なの
だろうか? 魔法が失敗する度にそれは強くなって行く。
「私はね、時間には正確でありたいと日々思うのですよ。でもね、こうも焦らされ
ると流石に我慢が出来ないのです。私も異端審問官として忙しい身ではあるので
ね。君にばかり時間を使うのもどうかと考えなくはない。ですから決めました。
みなさん、すぐに召喚してください。ほら、ちゃっちゃと」
今度は召喚だ? 俺の知らない事ばかりを言うこの男は異端審問官だというし、
拘束はされるし、どうすればいいのかが分からない。でも拘束しているって事は
要は逆の解放をすればいいのでは? なんて考えた俺はすぐに試してしてみた
のだ。
「おお、出来た」
「さあ、そいつを殺しなさい。レッサードラゴン! 」
俺は解放されたと同時に召喚されたレッサードラゴンに襲われる。
突然の攻撃にシールドは未完成で、そのまま飛ばされた俺は屋敷まで一直線。
こんな形で家に帰ってくるなんてと思いながらも、すぐに回復をかける。
嗚呼、これが魔法で戦うという事なのだと考えながら手についたものを見る。
「血? 」
こんなにも俺は出血しているのか? 自分ではそんなにダメージを受けた気が
していないのだが、回復をかけたからなのか? それとも興奮状態で痛みすらも
分からなくなってしまっているのかと間違った事を考えていた。
俺が居たのは家族や屋敷の者たちの血の海だった。
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