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悠々ライフ
勇者編 2
しおりを挟む「なんだこれは! 」
初見でもその異常さは分かった。
完全につぶれた顔と思われる部位を見て、これで本当に生きているのが不思議な
ぐらいだったのだ。直すのであればすぐに取り掛からないといけない。これを
直すのが王命だが、直るかどうかは微妙だなと思っている。
それでもまあ直せる可能性があるのは私ぐらいなのだからどうにかするしかない
のも事実だ。治療に集中する為に周りの者を黙らせた。ギャンギャン泣き叫ばれ
ても迷惑なだけなのだ。何も出来ないのなら何処かに行って欲しいと思うのは
傲慢な考えだろうか?
それにしもよくもこんな事が出来たなと思う。
意外と技術が無ければこんなにうまくぐちゃぐちゃにする事はできないのだ。
少しでも間違えれば確実に死んでいただろうと思う。だから私は治療しながらも
患者よりもこんな事をした方への興味が沸いていた。どれ程の鍛錬でここまでの
ものを手に入れたのか是非とも話を聞きたいと思った。
「あっ」
だから少しパーツがずれてしまった。いけないいけない、すぐに修正をする。
「どうかしましたか? 」
「何でもない、静かにしろ! 」
ミスを誤魔化す為に大き目の声を出した。
まあ凡人には分からない事だからそんなに気にする事でもなかったのだが、
ついつい師匠が生きていた時の癖で焦ってしまったのだ。師匠ならすぐに見つけ
て減点されていた。あの人は人の失敗には目ざといのだ。
そしてだんだんと元に戻って来た顔を見ながら私は見おぼえがある事に気付いた。
てっきり王の関係者なのだとばかり思っていたが、まあ関係者といえば関係者
なのだが、まさか勇者だとは思ってもいなかった。という事はこいつこんなにも
ボコボコにされたのかと考えると微妙な気分だった。
どうせ調子に乗っていたのだろう?
二年間何もせずに暮らしていたのだろう?
だからこんな事になるんだぞ?
お前なんてこの程度なんだからな?
だんだん集中力が切れて来た。
面倒臭くなってきたし、あとはもう他の奴にまかしていいのでは? と思って
きたのだ。それにあのヒーラーが居ただろうと思い出す。
「おい、グラウス家の秘蔵っ子はどうした? 後はアイツに任せればいいだろう」
アイツならこれぐらいどうにかしただろうに、どうしてアイツではなく私が
こんなにも苦労をしないといけないのかとイラつく。私は治療を終えようと
していると返事が返ってきた。
「死にました」
「はあ? 死んだ? 何で? 」
予想外の返答。
何処かでコイツら勇者パーティーが死ぬなんて事がないと私は思い込んでいた
のだろう。だからつい普通に聞き返してしまったが、よく考えれば分かる事なの
だ。勇者をここまで出来る相手なのだから実力から言って数段上、ならば全滅
させられていてもおかしくはない。
「ですから、先程説明しました通り……」
そして私はその説明を受けていたという事実に驚愕する。
あまりにも興味が無さ過ぎて全て聞き流してしまっていたのだ。
これからは師匠以外の話もちゃんと聞かないといけないな心に決めた。
あっ、はっ! ゴホゴホゴホ
そして勇者の意識が漸く戻り、吐き出した血が私の正装に着いたとき私は本気で
殺意が目覚めた。
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