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菫川ヒイロ

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悠々ライフ

勇者編 6

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 それは見事なメタモルフォーゼであった。
 無駄な脂肪は胸と尻へと移動し、ボンきゅボンのドスケベボディーへと変わった
 のだ。見事にダイエットに成功し、勝ち誇るように見せびらかす魔法使い。
 
 
 まあやり方が特殊過ぎて一般の人にはお勧めは出来ないが、簡単な所から言えば
 自分に魔法をぶっ放すという荒業だった。だから常に魔法使いはビリビリしてお
 り、近寄るとこちらも感電してしまうという何とも迷惑な方法。でも結果は出し
 たのだからそれが間違いであったはずはない。
 
 
 新しく作った箒に乗りながらのアクロバット飛行。
 もう何がアクロバットなのかと言えば、それは暴力的なまでの何かである。
 そしてそれをついつい追ってしまう俺の目は今バキバキである。
 縦横無尽、無重力なのか重力の所為なのか分からない程の動きを見せるそれを
 追いかけるのは集中力を要する。
 
 
「おい、もういい。うっとうしいから普通に飛べ! 」


「え、何? 」


 それは上半身を大きく捻って振り返る魔法使いに武闘家が殴りかかろうとする
 寸前であった。
 
 
「おい、お前等はまだ知らないかもしれないが、勇者は俺にしか興味がないぞ」


 首を傾けて眼鏡を押し上げながらヒーラーは言う。
 何て事を言うのだろうかこの子は! と怒りたい気持ちを抑えられたのは、
 二人が俺の事を軽蔑の眼差して見ているからではなく、俺にしか分からない
 ヒーラーからのサインが目に入ったからだ。
 
 
 だからここは我慢である。
 我慢して無言を貫くのだ、俺! それが今ここでの正解なのだと自分に言い聞か
 せて俺はヒーラーがこの場を治めるのを待った。
 
 
「マジか」


「何かそんな気はしてたけどね……引くわ」


 そんな二人の言葉に傷つきながらも俺は耐えた。
 この場に勝者など居ない、誰もが傷ついただけの焼け野原だった。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「悪かったな勇者。あれが正解だと思ったんだ」


「嗚呼、分かっているさ。お前のおかげでパーティー解散の危機は回避されたんだ
 何も文句はないさ」
 
 
「ありがとう」


「いいさ。それにしてもよくあんなの覚えていたな? 」


「嗚呼、サインな。お前なら気付いてくれると思っていたよ」


「まあな。でも忘れていたぞ、あんな子供の頃の遊び」


 そんな会話をしている前を二人が十分に距離をとって移動していた。
 何やら楽し気に話ているように見えるが、きっと俺の悪口なんだろうなと思うと
 少しばかりチクっとした。
 
 
 そんなに俺の悪口って盛り上がるんだね。
 
 






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