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菫川ヒイロ

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悠々ライフ

勇者編 8

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 確かにそこには村があったと言う。
 でも俺達の目の前に広がるそこには村があったという形跡がまったく見当たらな
 いのだ。そこはもうすでに木々が生い茂っていたからだ。
 
 
「どういう事だ? ここはもうマクベ大森林の中なのか? 」


「いや、それはないはずだ。どう考えてもまだ距離があるはずだ。地図にもここが
 森だという表記はない、それなのにこんなにも……ありえるのか? 」
 
 
 俺の問いに答えたヒーラーが魔法使いに聞く。
 
 
「そんな魔法を私は知らないし、聞いた事もないわ。そもそも幻術って訳でもない
 し寧ろ疑うのであればその地図の方かもしれないわ。本当はここに村何て無かっ
 たとかそういう方が納得出来ない? 」


「何だよそれ。怖すぎるだろ」


 武闘家は意外とそっち系の話には弱かったりするのだ。
 
 
「あり得ない事ではないがあまりにも話が大きくなりすぎていないか? そもそも
 国王にまで上がって来た話の結末がそんな事ってあるか? まあ村が無かったと
 しても冒険者が帰って来ないというのは本当だと思うぞ」
 
 
「確かにな。俺達を見たら大体は魔石と鬼の話だったしな」


「その話も口裏を合わせているだけだったり? 」


「何の為に? 俺達をここに近づけようとしない理由って何だよ。何を隠している
 んだ? そもそも鬼の話までしてどういう事だよ」
 
 
「おい、何かおかしくないか? 」


 そして武闘家が異変を感じた。
 ゆっくりと、じんわりと広がっていく白い靄。
 それは確実に濃くなって行き、周囲が確認出来なくなっていた。 
 
 
「おい、みんな居るか? 」


 とりあえず大きな声を出してみたが誰からの反応も無かった。
 どうなったのだこの状況、明らかにおかしい、俺達を分断させてどうするつもり
 なのだろうか?
 
 
 俺は剣を構え臨戦態勢を取る。
 
 
「立ち去れ」


 そんな声が聞こえて来た。
 
 
「ここから立ち去れ」


 何度も何度も警告される。
 
 
「金目の物は置いていけよ」


「なんで? 」


「なんでってそりゃあ金になるからだろうが、馬鹿なのか? 死にたくなければ
 金目の物を置いてさっさと立ち去れ、アチッ! 」
 
 
 辺りが見えるようになったと思ったらそこには火を持った魔法使いが居た。
 そしてそこにはウッドラビットも居たのだ。
 
 
「止めろ! それ以上近づけるな! アチッ! 分かった、分かったからそれ以上
 は火を近づけないでくれ。いや、下さい。お願いしますから~ 」
 
 
 何とも無様な状況である。
 人を惑わして遊ぶのが好きな奴らではあるが、こうして場所を特定されて火を
 近づけられればもはや何も出来ないのだ。それにしてもここのウッドラビットは
 物を要求するとか変わっている。
 
 
「おい、ここら辺で鬼が出ると聞いたが本当か? 」


「鬼? 何だそれは、聞いた事がない」


「本当に? 嘘だったら燃やすわよ? 」


「いやだなぁ~。本当ですって、俺は何も知らないんです。ええ。本当に何も。
 西の方へ行けば何かあるとかないとかそんな事は一切何も知らないんで、どうか
 これ以上火を近づけるのは止めてく・だ・さ・い~や~ 」


「西か、じゃあ行くか」


 そして俺達は動き出す。
 
 
「お~い。ちょっと~。この火は消していかないんですか~? 」










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