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悠々ライフ
勇者編 9
しおりを挟む「チッ。アイツやりやがったな」
武闘家が何かを発見したようで、前を指さした。
目の前には大きなハチの巣があった。直径は5メートルはあるそれはキラービー
の巣である。こちらには気づいていないが見つかればタダでは済まない。散々
追いかけ回されたあげく、毒針で麻痺させられて動けなくなったらそのまま餌に
されるのだ。
そんな奴らを相手になんてしてられない。
ここは気付かれぬうちに退散した方がいい。
ウッドラビットなんかの言う事を信じるべきではなかったのだ。
ゆっくりと気付かれぬように後退した俺達はまたウッドラビットが居た場所へと
戻って来た。もう一度締めあげる為に。
だがそこにはもうウッドラビットは居らず、火も消えていた。
「おかしい。あの火は勝手には消えないのに、消えているわ」
という事は誰かが消したという事だ。
「おい、お前等か? こんな所で火遊びなんて馬鹿な事をしているのは」
いつの間に現れたのか、その少女はそこに居た。
木の上に立った少女は服装に似つかわしくない剣を腰に下げており、その佇まい
はあまりにも堂々としている。
「誰だお前は? お前の方こそこんな所で何をしている? 」
「ああん? 」
ヒーラーのそのもの言いに明らかに不機嫌になった少女。
「俺達はここら辺にあったはずの村が消えたと聞いてね、どういう事か調べに来た
のだが君は何か知らないか? 」
だから俺が割って入ったのだ。
「村? 嗚呼、あれは仕方が無い。ルールを破ればそうなる」
「ルール? ルールとはなんだ? 私達は知らないぞ」
「何で知らないのに偉そうなんだ? まったく面倒臭いな。知らなければ許される
とでも思っている馬鹿なのか? ここはお前等みたいなのが勝手に入ってきて
いいような場所じゃない。ここはご主人様のものなんだ。そんな神聖な場所に
勝手に入って来て帰れる訳がないだろ? ゴミどもが! 」
そう言い切る前に少女の剣が俺を襲う。
「勇者! 」
その声のお陰でどうにか反応出来た俺は剣で防ぐが、だからと言って俺のピンチ
は継続中だった。こいつ見た目からは想像出来ない程、力がある。このままだと
押し切られるかもしれない。
「ライトニング」
魔法使いが魔法を放つ。
俺達はいつもの様に連携を取る体制に移動していた。
そう、俺達は一人ではないのだ。
ただ放った魔法は思ったような効果を得られていない。
「ライトニング」
「うっとうしいな」
二度目の魔法が少女を襲うがそれも意味を成さない。
「おい、お前は勇者なんだろ? ならどうしてタイマンを張らない。恥ずかしくは
ないのか? 一人では何も出来ないという事を恥ずかしいと思った事は? 」
少女の言う事が俺には理解が出来ない。
なんでもかんでも一人でやる事に何の意味がある?
足りないのであれば補ってもらうのが当然だろうに、何をそんなにこだわって
いるのだろうか?
「ライトニング」
「もういい、分かった」
三度目の魔法。
少女は剣を使う事を止めた。使われなくなった剣は飛んでいく、ヒーラーの元へ
と飛んでそのまま身体に突き刺さったのだ。それは一瞬の出来事で、俺達が気が
付いた時にはもうヒーラーはこの世には居なかった。
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