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悠々ライフ
勇者編 12
しおりを挟むこの国の行く末になどさして興味がないのはどう仕様もない事だった。
そんな事よりも私には探し物を見つけるのが重要だ。
だから宝物庫へと向かった。
「どうしましたかパシュリダ? 」
「開けろ、探し物だ」
門番にそう返答してもすぐに開けようとしない、無駄に働き者であった。
「分かった、どうすれば開けられる? 」
「宰相の許可があれば……」
だから私は会いたくもない宰相の元へと足を運ぶことになった。
門番なんかを無視しても良かったが、彼の忠誠心の為にも私も最低限の事はしな
くてはいけないと感じたのだ。こればかりは仕方がない、性格の問題だった。
真面目にやっている奴を困らせるなんて事をするのは馬鹿がする事だ。
「おい、入るぞ」
もちろん確認など取らずに宰相の部屋へ入ったら驚いた顔が二つこちらを見て
いたが、何をそんなに驚いているのかが理解出来ない。入られたくなければ
もっと頑丈にしておくべきだろ?
「どうしましたかパシュリダ? 」
流石にすぐに取り繕った宰相を褒めてあげようかとも思ったが、止めた。
今は優先すべき事があったからだ。
「宝物庫へ入りたいのだが入れてくれなくてね。
どうやら宰相の許可がいるそうなのだが? 」
「何故ですか? 」
てっきり二つ返事だと思っていたが違った。
「探し物があってね、入りたいのだがいいだろうか? 」
「それは無理ですね。いくらパシュリダであろうとも宝物庫への立ち入りは認め
られません。あそこにあるのは国の宝であるという事をご理解頂きたい。いくら
パシュリダであったとしても入れる訳にはいきません」
その説明で納得する訳がないのだ。そもそも私は昔師匠に連れられて宝物庫の
中へ入った事があったからだが、どうやら中に入れると困るようだった。
隠しているのか、減っているのか、それは宰相にしか分からない事なのだろう。
「そうか、邪魔したな。鍵はちゃんとしておく事をお勧めしよう。そうだ、私が
手本を見せようではないか」
私は部屋を出るついでに宰相の部屋をロックした。
別に大した魔法ではない、三時間ぐらいは開ける事が出来ないだけだ。
そしてそのまま私はまた逆戻り。
もはや眠っている門番に確認を取る必要はなかった。
勝手に鍵を開けて中に入るが、中に探し物は無かった。
「という事は片道切符って事になるな、まあいいか」
それは私の中で最大の博打であった。
解いたパズルの中から出て来たのは魔石であった。
魔石の中に込められていたのは転移の魔法、行き先は分からない。
それでも行きたいと思うのはパズルの中にあったサインが『マクベ』と刻まれて
いたからだ。
それは伝え聞いただけの伝説。
でも確かに存在し、実際に師匠は会った事があると言っていた。
名前を消された勇者、歴史に名を刻むはずだった者の名前だった。
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