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悠々ライフ
勇者編 11
しおりを挟む私にとってそれはどうでもいい事の最上位であった。
「勇者が勇者辞めるってよ」
そんなくだらない話を聞かせる為に私をここへと呼んだのかと思うと尚更腹が
立った。辞めたければ勝手に辞めればいいし、勇者なんて別のをまた探してくれ
ばいいだけではないか。なのにどうしてそんなにも騒ぐ必要があるのか私には
まったく理解出来ないのだ。
こういう時に出るのが本性であろう。
明らかに焦っている奴らほど勇者で金儲けをして来た奴らである。だから騒ぐ。
自分達の食い扶持が無くなる事へのストレスを周りに撒き散らす。そしてそれに
煽られて騒ぎ出す奴が出てくるのだ。
お前らは騒ぐ必要がないだろうに、簡単に乗せられるような奴らは常に狙われて
いるという事が理解出来ていない。自分達が世の中を動かしていると思い込んで
いるのだろうが、実際にはただの駒でしかなく、しかも捨て駒なのだからどう
しようもない。
そして乞食がやってくる。
私達も被害者だと嘘をついて少しでも分け前を貰おうとするのだ。
嗚呼、気持ち悪い。気持ち悪いな~。
こいつら全員、今殺してもいいんじゃないかと思い始めていた私を牽制するよう
に宰相が声を上げた。
「静粛に、国王様が居る前で騒がしいですよ」
今、この国の全てを牛耳っている宰相ロッペン。
国王などお飾りでしかないという事をここに居る者で知らないなんていう奴は
いない。だからロッペンが発言すれば当然誰も反対はしないのだ私以外は。
「もう帰ってもいいか? そんなに暇ではないのでね、私も」
「まあそうおっしゃらずパシュリダ、是非とも貴方の意見も聞きたいと国王様も
おしゃっております」
「うむ」
顔を向けられ、急いで頷く国王を見ていると実に腹立たしい。
ただ相槌を打つだけしかしないのであればもうその椅子に座るのは誰でもいいと
いう事になってしまうと分からないのだろうか? とも思ったがそもそもそこに
座る者を決めたのがロッペンだったという事を思い出す。
全ては茶番だった。
「勇者なんてどうとでもなるだろ、それよりも鬼の話をしてくれ。いまいち要領を
得ない。あの元勇者達の話は本当なのか? 」
今、一番の問題はどう考えてもそっちなのだ。
そんなよく分からない存在が居るという事実に今まで気が付けなかったという
事が何よりも危険だった。今の所何の対処もしようがないのだ。
「勇者達の証言によりますと、容姿は少女であり、身長は魔法使いぐらい、
髪の色は碧色で目は金色、服装はドレスを着ていたそうです。帯刀しており剣士
かと思われますが、剣は殆んど使わずに打撃で勇者を倒しております。
それと魔法使いによる魔法、武闘家による攻撃が効かなかったという事です」
紙を読み上げる兵士も内容があまりにも異様で疑わしく思っているようだ。
「なんだそれは、何を言っている? 」
まあ初めて聞く者が殆んどだったろう、こいつ等が敵に興味を持つなんて事は
ないのだ。でもまあ反応は意外と普通だった。突拍子もない話過ぎてどうすれば
いいのかが分からないようだ。騒がれるよりはマシだが。
そんな者に勝てるなんて奴はこの国には存在しない。
当たり前の事実に気付いたときにこいつらがどうするのかは見ものである。
判断を誤れば命に関わるのだ、顔色が変わっていく様を見るくらいの権利は
私にもあるだろう。
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