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菫川ヒイロ

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悠々ライフ

勇者編 17

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 それは勇者システムと呼ばれるものだった。
 
 
「ほら、日々の生活に刺激を求めているものだろ誰しもが」


 パシュリダは言う、それがこの国の安定に繋がるのだと。
 全ては作られた英雄、ヒーロー、勇者。そういうものを誰もが求めており、
 その願望を叶えているからこそ今の暮らしがあるのだという。
 
 
 そしてそれには当然協力者が必要だった。
 
 
「どうも、初めましてマクベさん。私、アルガ―と申しまして、魔王を連れて
 来るという仕事をしています。こう見えても私、魔族なんですよ? 」
 
 
 そんな冗談っぽく言われても笑いどころが分からない。
 そもそも同族を目の前で殺された事に対して何も思わないのだろうか?
 
 
「何も思わない訳ではないですが、これも仕事ですしね。そもそもマクベさんが
 殺したのは犯罪者でしてね、一応魔界にもルールというものがありますから
 そこから逸脱した者に対して当然罰が与えられるのです。ですから気にする事は
 ありませんよ、ええ」
 
 
 そんな話を急にされても腑には落ちない。
 そもそもどうしてあんなに弱い者を勇者になどしたのかが分からない。
 必ず勝たないといけないはずではないのか? それならばアレを選ぶ理由が
 わからないのだ。
 
 
「まあ私の見る目が無かったという訳ではないのだ。アレは王様側からの推薦だっ
 たから仕方なく勇者にしただけで、だからマクベをこうして付けておいてよかっ
 たよ」
 
 
 そんなに適当なのか? そんなものでいいのか? 何かおかしくはないか?
 
 
「最悪全滅してもこの人形があるのでどうにかなりますし、魔王の方もこちらで
 処分させてもらうので大丈夫です」


 その人形はみるみる勇者へと形を変えて行った。
 俺の知らない技術、そんな事が出来るものが魔界にはあるという事なのか?
 情報が多すぎて頭が追い付かないのだが、結局俺はどうしたらいいのかが分から
 ない。そもそも俺は勇者なんかじゃないのだ。
 
 
「何をそんなに悩む事がある? お前は強いではないか! それだけで勇者足り
 得るのだ。お前は何か勘違いをしているみたいだが、お前はみんなから恐れられ
 ていたのだぞ? その腕は関係ないみんなはお前の強さに近寄りがたかっただけ
 だったんだ。だから私は声を掛けた、一番強いのがお前だと聞いたから」
 
 
 今更そんな事を言われてもそんな事はどうでもいいのだ。
 俺はそっち側に入るのが嫌だった。
 
 
 こんな狂った奴らの一員になる事が嫌だったのだ。
 
 
「なんだそれは、勇者っぽくっていいじゃないか」


 パシュリダは真顔でそんな事を言う。
 
 
 
 


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