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勇者パーティーの一員と思っていましたが違ったみたいです。それならいいですよね、魔王になっても?
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しおりを挟む『あれ、そろそろ回復かけてくれないと俺、死んじゃうよ? 』
戦闘中に倒れた俺の事をまったく無視したまま、仲間達は戦っていた。
確かに相手は強い、だって相手は魔王なのだからね。
でもそろそろ回復かけてくれないと俺、
『死んじゃうんですけど~~~! 』
俺がいくら叫ぼうとも声は届かない。
もはや、そんな力が俺にはないから。
誰か、気づいてくれ! 俺はここにいるよ?
手持ちのポーションはもう仲間の為に使ってしまってもうない。
自力での回復は不可能だ。あっ
『おい、マリー! お前に俺のポーション使ったんだから俺にお前のを使え! 』
今、絶対俺と目が合ったはずのマリーはすぐに視線をそらす。
あの糞女、絶対許せねーからな!
所でヴィアンはいつになったら俺に回復をかけてくれるんだ?
お前の自分の役割忘れたのか?
そう思えば、勇者が回復されてまた元気に動き回っているじゃねえか!
勇者が終わったなら次は俺を回復しろよ、ヴィアン!
このままじゃ俺、死、、、、ヌ、、、、、ぞ、、、、ォ
俺は意識を失った。
*****
「はっ! あれ? 俺、死んだんじゃなかったか? 」
俺が意識を取り戻してみれば、そこは真っ白な世界だった。
「何だここは? 」
「ふふふふ。気が付いたようですね、アルトファー」
すると目の前に椅子に座った女が現れる。
「誰だお前は! 」
「私は神です! 」
どうだと言わんばかりに偉そうにするそいつを見ても、俺にはさっぱり神だとは
思えなかった。
「そうなのか……まあいい。それでここは何処だ? 俺はどうしてここにいる?
戦いはどうなった? 魔王は倒したのか? 」
俺は今聞きたい事をひとまず聞いてみる。
「な、なんだお前! 私は神だぞ! もっと敬えよ、まったく。もっと聞き方とか
あるだろう? 」
「チッ。えー神様。ここは何処でしょうか? どうして私はここにいるんでござい
ましょうか? 戦況はどうなって、魔王はもうくたばりましたでしょうか? 」
「お前、私が神だって信じてないだろ? 本当ならお前なんかすぐに消すことだっ
て出来るんだからな! でも私は心の広い神だからそんな事をしないだけだ。
まったく仕方ないから教えてやるよ、愚鈍なる者。ここは天界で、お前は魂だけ
がここにある。戦況はちょっと待て、ほらそこに映像を出してやるから自分で
確認しろ」
四角い箱の中に映し出されていたのはまさしく俺の身体だった。
「俺、マジで死んだの? 」
映像を見てショックを受ける。
「で、戦況はどうなってんだよ! これじゃあ分からないぞ! 」
「お、意外とすんなり受け入れたな」
「まあな、死ぬ事は一応覚悟はしていたさ。それよりも早く」
「ああ、はいはい。これは魔王が負けそうだな、うん」
「そうか、ならよかったよ。俺が死んだ意味もあるってもんよ」
俺はその結果に満足する。
これでようやく世界に平和がもたらされるのだ。
「何だ、満足しているのか? じゃあ生き返るの止めとく? 」
「え? 俺、生き返れるの? 」
「そのつもりだったけど、お前は満足してるんだろ? そんなやつ生き返らせても 意味がないからな。そっかじゃあ他の奴にするか」
「おいおいおい。ちょっと待ってくれ神様? 俺全然満足してない、しておりませ
んです、はい。だからどうか私めを生き返らせてもらえないでしょうか? 」
「え~、どうしよっかな~」
「そこをどうか、心の広い神様! この愚鈍な私をどうか! 」
生き返れるのなら何だってしよう。
「そこまでいうなら、いいでしょう。生き返らせましょう」
「ありがとうございます」
「よしよし、では魔王として生き返ってもらうから」
「は? 今、何て? 」
「生き返ってもらうって」
「否、その前」
「魔王として? 」
「魔王? 」
「そう魔王? ダメ? 」
「駄目に決まってるだろうが! 何で魔王! 元の俺を生き返らせろよ! 」
「いやあ、それは無理だからさ。魔王ならちょちょいとすればすぐに出来るよ?
それにお前、勇者達を恨んでただろ? だから魔王にはちょうどいいと思ったん
だがな」
「まあ、それはそうだ。だってあいつ等俺を回復しなかったんだぜ? そりゃあ
文句も言うってものだろ? 」
「あの場面じゃあそれも仕方がないだろ、パーティーメンバーじゃない奴を回復
させるなんてしてる場合じゃないからな~」
「いやいや、何言ってるんだ? 俺は勇者パーティーのメンバーだぞ? 」
「お前こそ何言っている。お前はメンバーじゃない。その他だ」
「その他……そんなはずは」
「ほら、見てみろよ」
神様は四角い箱を指さす。
*****
「ねえ勇者、あいつどうして私達についてくるのかな? 」
「さあ? 別に悪いやつじゃあなさそうだし、いいんじゃないか? 」
「え~、私嫌なんですけど~ 」
「そう言うなよ。うまく使えば捨て駒くらいにはなるだろ? 」
「え~。勇者最低ね」
「何だよ、それくらいしか使えねえんだからいいだろ別に」
「分かったじゃあそうする」
*****
「何だこれ? 何なんだよこれ? 俺はそんなつもりじゃなかったのに。あいつ等
俺の事をそんな風に思っていたっていうのか! ふざけんなよ! どれだけ俺が
あいつ等を助けたと思っているんだ! 俺が居なかったら魔王まで辿り着けずに
終わっていただろうが! 糞糞糞糞糞糞糞糞」
「どうするアルトファー? 」
「嗚呼、いいよ。俺は魔王になる」
「そうか、じゃあさっそく魔王になる準備を。そうだ、これ読んどいて」
神様は俺に本を渡す。
表紙には「魔王の手引」と書いてあった。
*****
「やったわね勇者。これで世界を救えたわ! 」
「嗚呼、どうにか勝てたよ。危なかった。だから言っただろ捨て駒ぐらいにはなる
って」
「そうね、さすが勇者! 」
勇者パーティーが勝利の余韻に浸っていたその時、倒したはずの魔王から黒い物
が溢れ出す。それは魔王だったものを包み込むと形を幾度となく変え、そして
「おお、これが魔王の身体か」
魔王が蘇る。
「何だと! 嘘だろ? 」
「どうするの? 私達にはもう何も残ってない! 」
彼らは動く事さえ出来ない状況でそれはこちらへと歩いてくる。
「これはこれは、勇者パーティー御一行様。さて、だれが捨て駒ですか? 」
勇者パーティーは全滅した。
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