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婚約破棄の代償
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しおりを挟む私はテラス席でお茶を口にしながらケーキにフォークを刺す。
すると向かいの席に座っていたビゼルガードが急に手を上げて誰かを呼んだ。
「ごめんなさい、道に迷ってしまって」
当然現れた女はそんな事を言ってビゼルガードの隣に腰を下ろした。
はて、こんな知り合いはいたかな? と私はその女の顔をじっくりと見てみたが
記憶にはない。
「ヒヨル、彼女はシブラーダと言うんだ。それで、彼女は僕の運命の相手なんだ」
私はビゼルガードの言葉に眉を寄せた。
こいつは一体何を言っている? 何を言うつもりなんだ?
「おい、ビゼルガード。それはどういう意味だ。お前は自分が何を言うのか
理解した上で言っているんだよな? 」
「もちろん分かっているとも、俺はこれから彼女と生きて行くんだ!
君との婚約は破棄させてもらうよ」
その言葉を聞いてしまった私は頭を振った。
何て事だ! こんな事があっていいのだろうか?
だがこれも仕方がない事なのだ。だから私は右手をそっと上げる。
パンッと乾いた音とともにビゼルガードは椅子から倒れ落ちた。
「えっ、どうしたの急に。 何かあった……きゃーーー! 」
シブラーダが額に風穴の開いたビゼルガードの姿をみて声を上げる中
私はハンカチを顔にかけて、その場を立ち去ろうとすると
地べたに座り込んで動けなくなっているシブラーダがつぶやいた。
「どうして、こんな……」
「仕方がなかったんだ。こいつは私と婚約するときに自分の人生を賭けて
私を幸せにするって言ったんだ。だから私もその心意気に了承して婚約して
やったというのに……残念だ」
私は肩を掃いながら説明してやる。
「なによそれ。そんなの言葉のあやみたいなものでしょ! 」
「ははははははは! 言葉のあやだって? そんなに軽いものかね婚約は!
お前は随分と軽い女なのだな。私はお前とは違うのだよ、お前とは! 」
私はそう言うとその場を去った。
言葉の重さも知らない奴らに世界はやさしくはない。
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