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国を守る者
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しおりを挟むその日も私は朝早くから仕事場へと出向くとさっそく国を守るシールドを張り、
各種の点検をすませると一息つく為に入れた大しておいしくもないコーヒーを
啜りました。
「はあ~」と自然に口から声が漏れるのは歳の所為でしょうか?
それとも、ガラスに映った自分の姿にだったのでしょうか?
聖女として国を守る為に必死にやっては来ましたが、気づけば髪の毛は
ボサボサで化粧などどれくらいしていないでしょうか?
いつの頃からか最低限の身だしなみのみになってしまいましたが、
これも全て聖女としての役割を果たす為と割り切って
やって来た私の前に急に現れたその人物はこう言いました。
「何だかここは埃っぽいな。おい、お前。お前がストロガーノだな? 」
豪華な服を着ているその人はおそらく、お偉いさんだろうと思った私は首を縦に
振っておきます、面倒事にならないように私なりの処世術です。
「そうか。お前はもう来なくていいから」
そう言って親指でドアの方を指しましたが、私にはどうしてこの人がそんな事を
言うのかがさっぱり分かりませんでした。
「チッ。やっぱり無能な奴は物分かりが悪いな! クビだよクビ!
お前はクビだからここから出て行けって言ってるの! 分かる? 」
出て行けと言われている事ぐらいは分かっていますが……
クビの理由が分からないし、このまま出て行っても大丈夫なのかが気がかり
だったのですが、仕方がありません。
私は少ない私物を鞄に詰め込むと部屋を出ました。
*****
私は数時間ぶりに自分の家へと帰るとそこには見知らぬ人がいました。
「あの、何か御用ですか? 」
「ストロガーノ・ミラルダだな。王からの勅命である」
そう言うとその人は長々と文書を読み上げ最後にこう言った。
「よって国外追放とする」
どうやら私は聖女としての役割を果たさずにいた愚か者であり、職務怠慢の為
この国から追い出されるという事だった。
まさか国王様にそんな事を言われてしまっては私も従わざるを得ない。
私は身支度をしながら、申し訳ない気持ちで一杯だった。
聖女となったあの日、
「聖女ストロガーノ・ミラルダ。これから、この国の為にお願いしますよ」
国王様にやさしく声をかけて頂いたことは忘れる事がない出来事だったが
どうやら私の力が及ばなかったようだ。
*****
国から出された私は城の方へ頭を下げてから歩き出す。
これからどうすればいいのかなんてまったく分からなかったが、この場に居ても
どうなる訳でもないので歩き出した訳だが、馬車がやたら通る日である。
ミラルダは馬車に気を付けながら歩いていると、目の前に馬車が止まった。
「ちょっと、貴女! こんな所で何してるのよ! 」
馬車から飛び出して来た人に怒鳴られた。
「貴女、ストロガーノ・ミラルダでしょ? こんな所に居ていいの? 」
その人は青いドレスを着たとても美しい女性でした。
「なによ、忘れちゃったの? 私よ、貴女と同じ学院だったミゼットよ!
聖女の貴女がこんな所に居ていいの? 」
そう言えば、学生の頃にやたらと元気な子がいた事を思い出しました。
「ミゼットちゃんでしたか、お久しぶりです。こんな綺麗な人が知り合いとは
思わなかったもので」
「貴女、相変わらずね。それはそうとどうしたのよって流石に後ろが詰まって
いるわね。貴女も乗りなさい。方向は同じでしょ? 」
私はミゼットちゃんの馬車に乗り込んだ。
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