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田尻
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しおりを挟む「先輩、お疲れさまでした! 」
「でした! 」
中学最後の試合はあっけなく終わり、そして後輩からの義務的な挨拶と、顧問の
心の籠っていない有難いお言葉を頂いて、俺の3年間は終わりを迎えた。
「この後、打ち上げあるって行くだろ? 」
「行く行く」
最後の試合も適当にこなし、試合に負けても何も悔しくなんかなくて、
まあ、こんなものだろうと自分を納得させていた。
悪くはない。
こうして部活の連中と交流を深める事が大事なのだ。
真面目にやった所でプロになる訳でもないのだから、これでいい。
みんなこれで満足しているんだ。
*****
「じゃあな」
「おう」
試合以上のはしゃいだ打ち上げも終わり、家に帰る。
これからは受験勉強が待っている。
部活があるという理由で遠ざけていた勉強を、これからはしないといけないのか
と思うと気が滅入る。
明日からでも一緒かな?
なんて自分を甘やかせる事を考えながら歩いていると田尻に会った。
「部活? 」
「おう、まあな。そっちは? 」
「夜遊び。お前も来るか? 」
「止めとくよ」
「ははは。そうだな、止めとけ」
田尻はそう言って行ってしまった、金色の髪をなびかせて。
*****
田尻は俺と同じ部活だった。
田尻は期待の一年生、県代表にまでなってしまうくらいの逸材だった。
だからだったのか田尻は怪我をした。
最初は何て事のない怪我だと思っていたが、それは違っていた。
それでも田尻はどうにか復帰しようと頑張っていたが、叶わなかった。
それから変わってしまった、田尻も、周りも。
*****
俺と田尻は何が違ったのだろうか?
努力した者と、努力しなかった者。
才能があった者と、才能が無かった者。
『田尻。お前は今、満足しているか? 』
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