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しおりを挟む「婚約破棄したそうじゃない」
突然の呼び出しに理由も分からず、ただ言われた通りにやって来た私。
なんとなく自分の人生の終わりが来たのだと考えていた。
最近いい事がやけに多かったのはきっとこの為だったのだ。
私の最後の幸運は彼に出会えた事。
やっぱり私には相応しくはなかったのだ、別れて正解だった。
彼に迷惑をかけないで済むのだから。
「おい、なんとか言えよ! 先輩が聞いてるだろうが! 」
怒鳴りつけて来る女はよく知っている有名人だった。
でも先輩とやらは知らない女だった。
「はい、しました」
私の直感が言っている。
この人に逆らう事はしない方がいいと。
ここに居る中で一番ヤバいのがこの人だという事はすぐに分った。
「何が気に入らなかった」
「気に入らなかった訳では……」
「おい、何口答えしてんだてめぇ、ナメてんのか! 」
「おい」
「すいません」
たった一言で黙らせてしまうこの人物がどうして私なんかの事を知っているのか
まったく見当はつかないが、それでもこの人には話してもいいかもしれないと
思えたのも確かだった。
だから私は話した。
彼はとても素敵な人で、そんな人が私の婚約者なんて申し訳がないと思った事。
婚約破棄は彼の為にしたのだと正直に話した。
伝わっただろうか?
私の様な奴の考える事などこの人達に分かってもらえるかは分からない。
でも全てを言えた事で私は自分で満足できた、もう悔いは無い。
私なんかが最後に恋を出来た事自体が出来すぎだったのだ。
これからどうなるのだろう?
そんな事を考えだした私にの前に
「おい、ちゃんと聞いてたか? 出て来いよ」
彼が現れたのだ。
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