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景色
日々の暮らし
しおりを挟むいつもより遅く目が覚めた朝。
重たい身体と頭をどうにか動かして朝の準備をする。
今日も又、いつもと変わらない日々が始まる。
軽く朝食を食べてから仕事場へと向かう。
無駄に高い人口密度の中でどうにか息をしながら最寄り駅で降り、そこから
バスに乗って仕事場へと運ばれる。
いつもと変わらない作業をこなし、同僚と他愛のない会話をして馴染んでいる
感じを出しつつ昼食を取る。
モシャモシャを食べながら話す同僚を見て思い出したのは母の言葉だった。
「食べながら話してはいけないよ。とてもはしたない事だからね」
母は礼儀には人一倍厳しかったように思う。
家は裕福では無かったが躾はちゃんとされたのだ。
貧乏なりの意地みたいなものがあったのかもしれない。
昼食が終わればまた作業に戻る。
同じことの繰り返しだが、それが嫌ではなかったし、その方が自分に合っている
ように思っていた。
定時まで作業をしてまたバスと電車に揺られて家へ戻る。
同僚からの飲みの誘いを断ったのは気分じゃなかったから。
鍵を開けて家へ入ると「ただいま」と誰もいない部屋に言った。
風呂から上がって食事を済ませ、後は寝るだけ。
何だか今日は疲れたと思いながら明日の為にベット入り目を閉じた。
ふと思い出す母の事。
良く働く母ではあったが、疲れたなんて口にした事などあっただろうか?
仕事から帰って来た母に腹が減ったとよくせっついていた事を思い出す。
きっとこれからもこの生活が続いて行くのだろう。
別にこれと言って特別な事がある訳ではない生活がこれからも淡々と続く。
母が死んで一週間。
生活に何も変わりはない。
ただ母の事を思い出す時間が少しばかり増えただけだった。
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