ホラー倉庫

菫川ヒイロ

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ラビリンス

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 姿勢は後ろから押されても倒れない程度の軽い前傾姿勢で体重の重心は前、
 体は目標に対して正面を向き腰は両足の間で安定させる。両足は肩幅程度に開き
 右足は半歩後ろ45度外側へ開き左足のつま先は正面、握力は右手が3で左手が7
 腕は伸ばしきらず若干曲げる。
 
 
「この場に居る人の中で誰が必要無いかなんてみんな分かっているわよね? 」


 突然の演説を始めた彼女に私は驚きながらも今の状況をよく考えた。
 ここへ来たのは恐らく私が最後であったという事が私にとっては不利でしかない
 のだ。そしてこの空気感はよ~く知っている。
 
 
「じゃあみんなの意見は同じでいいって事でいいわよね? じゃあ次は誰が彼女を
 殺すかだけどアナタにお願いしてもいい? スガイ君」
 
 
 やはり予想して通りになった。
 最後にここに現れたのは私で、それまでの間に何が話し合われていたのかなんて
 私には分からないけど、既にここに居る人達は彼女を中心にまとまっているのだ
 ろう事が見て取れる。
 
 
 そして私はスガイと呼ばれた男を見た。
 見た目はこれと言って特徴がある訳では無いけれど、その手に握られている物が
 何よりも存在感を醸し出しているのだ。拳銃、その鉄の塊は人を殺す事にかけて
 は最高の能力を発揮する事だろう。
 
 
 それに対して私が持っているのはこの辞書だけである。
 果たして防ぐ事が出来るだろうか? 少しぐらいならば時間を稼ぐ事が出来る
 可能性があるのだろうか? 私のこのゲームはすぐに終わりを迎えるようだった。
 
 
「俺に指図するな」


「指図ではないわ、お願いしているの。アナタが一番相応しいってみんなが思って
 いるからお願いしているのよ、お願い出来るかしら? 」
 
 
 この慣れた感じで話すこの女はずっとそうやって生きてきたのだろう。
 貫禄を感じさせるその立ち振る舞い、誰もが彼女を頼る事になるのだろうが、
 その中に私はカウントされていない。
 
 
「嗚呼、いいとも。俺が殺せばいいんだろ、委員長さんよ? 」


 パンッ
 
 
 その音と共に頭が吹き飛んだ。
 想像していたよりも盛大に飛び散った肉塊に誰もが口を噤んだ。
 
 
「さっさと行くか。俺が一番に行っていんだよな? 」


「もちろんだよスガイ君。一番に行ってくれ」


 こうしてここでのリーダーが入れ替わった。
 







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