ホラー倉庫

菫川ヒイロ

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「なに、買ってもらったの? 」


「そう、何故かそういう事になっちゃって。何かお礼しないとダメよね」


「まあいいんじゃない? そういう事がしたいお年頃なんだろうし」


「何よそれ、これは私が試されているのよ! 」


 両親が何やら話している間も僕はおばあちゃんに買ってもらったランドセルを
 背負っていた。すでに気持ちは小学生、どんな事があるのかとか友達がたくさん
 できればいいなとかそんな事は考えていなかった。ただランドセルという特別な
 ものを背負えるという事だけにうかれていたのだ。
 
 
 だから当然のように小学生になっても何も楽しいとは思わなかった。
 毎日の授業も同世代の子達との触れ合いにも興味がなかったのだ。
 興味がないものに囲まれての学校というのは最悪の場所だった。
 そんな場所でこれからずっと生活をしないといけないという事実になによりも
 絶望した。
 
 
 いつまでたっても馴染めない僕に教師も流石に業を煮やし、いろいろとやろうと
 するも全てが裏目に出たのには本人も苦笑いしていた。いくらなんでも子供を
 侮りすぎである。そして僕はクラスで特別な存在へと昇格した。そんな事を望ん
 でいた訳ではないのに、そっとしておいてくれれば静かにしていたのに面倒な
 方向へと進んでしまったのだ。
 
 
「どうしてなの? 何が嫌なの? 」


 母親の疑問に僕はどう答えればいいのかが分からなかった。
 理由なんて自分でも分からないし、何がどうという訳でもなかったからだ。
 でも理由を説明出来なければ学校を休むなんて事は出来ないので、結局僕は
 楽しくない場所へ通い続ける日々を過ごす事になる。
 
 
 いっその事、自分で楽しくすればいいのではないか?
 例えば授業中に歩き回ってみたり、取り敢えず奇声を上げてみたりすれば何か
 が変わるかもしれないと思ってみても行動に移せるかはまた別の話で、実際に
 やっている人を見てもこれがいい方へと転がるとは思えなかったのだ。
 
 
 学校が嫌いになり、理解してくれない親が嫌いなり、何もいい事なんてないのに
 どうすればいいのかが分からないまま日々を過ごす事になった小学生時代。
 だからピークはあのランドセルを買って貰った時だった。
 







































 
                              Lv.5







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