ホラー倉庫

菫川ヒイロ

文字の大きさ
2 / 31
カラフル

しおりを挟む





「うん、やっぱり無理だな」


 シノハラはそう結論づけた。
 それはテコ入れをしてから一週間がたっての事である。
 このままでは存続危機であったお化け屋敷、ある程度の需要はあるはずなのに
 驚くほどに客が来ない為いろいろと試してはみたのだ。
 
 
 セットだとか置物だとか、音響だとか空調だとか、工夫して手を咥えてみたは
 いいけれどどれも不評で最終的に人員を倍増させてみたら、お客よりもお化けの
 方が多い状況となり誰が誰を驚かしているのかが分からなくなる始末でカオスと
 かしていた。
 
 
 そうなってしまえば当然のように責任問題となり、誰がその責任を取るのかとい
 うとても危ない方向へと話が進む事は分かっている。それだけは回避したかった。
 シノハラにとって遊園地での仕事は別に好きではないが、肌にはあっていた。
 出来る事ならゆる~くやっていければそれでいいと思っていたのに、まさか自分
 がこんな事になってしまうとは思っていなかったのだ。
 
 
 何故か居るような社員であるシノハラは決して目立たない男だった。
 だから良くも悪くも首を切られずに済んでいたのだが、とうとう自分の存在が
 バレてしまったのだ。
 
 
「君がシノハラ君か。そうか、全然記憶にないな」


 社長から呼び出された俺が最初に言われたのはそんな言葉であったが、別にそれ
 は昔から言われ続けて来た事なので特に何も思いはしなかったが、それよりも
 こうして名指しで呼び出された事に嫌な予感がしていた。
 
 
「え? 君、もう十年も居るのか。そうか、それなら仕方がないか」


 だからすぐに首を切られなかっただけマシではあったのだ。
 まあ何かしらの理由付け的な意味の方が大きいのだろうが、一応のチャンスは
 貰えたのだから頑張ってみようとは思っていたが、今までが今までなのでそんな
 に簡単に自分の眠れる力が的な事にはならなかった。
 
 
「じゃあお化け屋敷をどうにかして貰うって事でいいかな? ね、それでいいよね
 タネガキ君」
 
 
「社長がそう言うのであれば私は構いません」


「うん。じゃあ頑張ってね、ええっと? 」


「シノハラです」


「シノハラ君! 」


 こうして始まったお化け屋敷復活計画は既に終わりを迎えようとしていた。
 
 












しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

きさらぎ駅

水野華奈
ホラー
親友から電話があった。 きさらぎ駅という場所にいるらしい… 日常の中の小さな恐怖が今始まる。 触れてしまったが最後。 二度と戻れない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...