ホラー倉庫

菫川ヒイロ

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例えば、コーヒーを飲むように

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 タマキが言うには二通りのタイプがあるのだそうだ。
 受け入れるタイプと抗うタイプ。
 自分ならどちらになるかな? なんて考えてみたりして、抗う方かななんて推測
 してみたりするけれどそんな事なんて考える意味なんてないって事を知った。
 
 
 コーン コーン
 
 
 甲高い音がしたと思ったらそこには腕をだらしなく垂らしている男が一本の棒に
 括りつけられていた。タマキが何やら耳元で囁くが男はただ顔の穴という穴から
 液体を出しながら首を横に振るだけで、口からは言語が出て来るなんて事はない
 ままタマキが次の行動を起こす。
 
 
 俺はその一部始終をずっと見ていた。
 ずっと見ていられたのだ。
 何か行動を起こせばその後には何からしらの現象が生じる、そんなシンプルだけ
 どとても根源的な事に俺は興味を抱かずにはいられなかった。
 
 
 そして男が動かなくなったのを見て残念に思った。
 もう終わってしまったと、もっと見ていたかったのにと、どうしてもっと頑張れ
 ないのかと、苛立ちさえも感じていた。
 
 
「そんな顔をするなよ、また誘うからさ」


 タマキに言われて自分が顔にまで出していたのかと思うと少しばかり恥ずかしく
 なった。そんな子供じみた事を自分がするなんて思っていなかったから。
 
 
「嗚呼、あとあれ片すの手伝ってね」

 
 タマキが親指でさす。


「それは構わないけどいいのか? 」


「何が? 」


「ああいうのって晒しておくのがカッコいいんじゃないの? 」


 せっかくここまでしたのにもったいないと思ったが、


「そういうのは今回の目的じゃないからいいよ。大体、恐怖をばら撒いた所で大し
 た意味なんてないんだよもう。そんな時代でもないし、寧ろダサいよそれ」
 
 
 どうやらそういうものらしい。すぐに拡散して目立ちたいみたいな感覚はもう
 ダサいのだという。承認欲求だとか自己顕示欲だとかそういう事ではなく、ただ
 自分が楽しむだけのものでいいのだという。
 
 
「ちょっと早くして、固くなるから」


 俺は言われた通りに男をコンパクトに纏めた。
 







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