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犯人は私
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しおりを挟む「やっと来たか名探偵! 待っていたよ」
そう言って手を差しだしたポロロン刑事と握手を交わす。
「いや~、どうも。どうもどうも刑事。今回も私の力が必要だという事でわざわざ
やって来ましたよ? 私も忙しい身なのですがね、刑事のたってのお願いという
事でやって来ましたよ。でも少々時間が掛かってしまってみたいでね、もう解決
してしまっていますかな? 」
「いえいえ、それがまだなんですよ。私が解決しても良かったんですがね、すぐに
名探偵を呼ぶことが決まってしまって、すぐに来てすぐに解決してくれると思って
いたので、現場を弄る事が出来ずにみんな困っていたんですよ。すぐに解決して
もらってもいいですか、名探偵? 」
こうして手がジンジンと痛む中で、私は事件現場を見渡した。
「部屋の住民はロヴィアナ、学生です。そして殺害されたのが身元不明の男、
頭部が粉砕されていました。当時、ロヴィアナは就寝中で物音で目を覚ました所
見知らぬ男と遭遇。そして気が付けば男の頭が飛び散ったのだと証言しています」
エムデルが説明をしてくれている間中、私はずっと彼女の事を観察していた。
見た目からしてそこまで力があるようには到底見えない。そんな細腕で骨を砕く
なんて事が出来る訳もない。
彼女が不審者に対して何かしたとするならばどんなものを使用するだろうか?
この部屋の中でそこまで攻撃力のあるものは見当たらない。なら何処かに隠して
しまったのか? 隠蔽が可能な大きさのモノでそんな事が出来るのか?
私は窓へと近づくとそこには足跡があった。
男は窓から入って来たのだろうか? 入って来て彼女とご対面をして頭が飛ぶ
という事があるのか? 何だそれは、私はそんな事が出来そうにない。
だから彼女が「私が犯人です」と言い出した時には何の冗談なのかと思った。
笑える訳もなく、どういう意図でそう発言をするのかを必死に頭を使った結果は
全くもって意味がわからん!
「どういう事だ? 」とただ聞き返す事で精一杯だった私に彼女はつらつらと話を
始めたが結局要領は得ず、私に理由を聞いて来る始末だった。目の前で起こった
出来事が非現実的過ぎてパニックになっているのだろう。
「エムデル、彼女を何処か落ち着ける場所へ。というか警部! どうして彼女を
この部屋の中に居させる必要があるのですか? 彼女は被害者でしょうに」
そんな私の疑問は疑問で返される。
「何を言っているんですか先生? 誰の事を言っています? 」
エムデルはそう言って首を傾げ
「名探偵よ! 被害者のロヴィアナは病院へ運ばれたぞ? 」
ポロロン刑事も首を傾げた。
「じゃあ君は誰なんだ? 」
だから私も首を傾げれば、彼女も首を傾げたのだ。
「私ですか? 」
*****
誰かと聞かれれば「犯人です」としか答えようがない。
それ以外に私が分る事なんてないのだ。
どうやって男の頭を砕いたのか? と聞かれれば言葉になんて出来ないから
実際にやって見せるほかなく、やってみた結果がこの有様なのは私の所為なの
だろうか?
部屋は真っ赤に染まって、みんな話さなくなってしまった。
結局、理由はまだないままである。
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