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そして天使がやってくる
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しおりを挟むトオルは自分の事を物分かりのいい方だと思っていた。
だからこの世界へ来た時にすぐに街人に聞いたのだ「冒険者ギルトは何処に在り
ますか? 」と。すると「この道をまっすぐ行くと右手に胡散臭い占い師が居る
からその占い師を無視して右に曲がり、突き当りを左に進むと出窓に子供が座っ
ているからその子にこれを渡しておくれ」そう言った街人にトオルは小さな袋を
渡された。
トオルは歩き出す。
一体これがどういう意味を持つのかは分からないが、これがきっとこの先役に立
つのだろう。まずはこのお使いをしなくてはと張り切って歩いていたトオルに声
をかけて来たのは占い師で「ちょっとお兄さん。アンタ死相が出ているよ! 悪
い事は言わないからこっちへ来なさい」と。
トオルは言われた通りに無視をして右に曲がり、突き当りを左へ進むと出窓には
子供が座っていた。座ってはいたがそれが子供というにはあまりにも大きかった
から少し躊躇するも恐る恐る小さな袋を出すと子供はそれをひったくって中身を
確認する。
「確かに。じゃあ後はよろしく」
そう言って走り去る大きな子供を見送ったトオルを突然の衝撃が襲う。
「痛い痛い痛い! なんだお前らは! 」
トオルは今、男達に押さえつけられていた。
「黙れ! 暴れるんじゃない、この犯罪者が! お前の様な奴の所為でどれだけの
人が苦しめられているか知っているか? 知っている訳がないか、お前の様な考
えの奴らがそんな事を気にする訳がないからな! よし、連れていけ! 」
複数の男に囲まれながら連行されるトオルを占い師が見ていたがもう何も言わな
かった。ただ見ているだけで、その目はとても冷たかった。
牢屋へとぶち込まれ自分が成りたかった者へ成れるという高揚感なんてものはと
っくの昔に消え失せたトオルはすぐに経緯を話した。自分はただ頼まれてだけで、
何を運んだのかなんて知りはしない。だから何も関係がないし、婆も子供も知ら
ないのだと必死に訴えたのだ。自分が無実である事は明らかなのだからちゃんと
調べて欲しいと。
「死刑」
無慈悲な宣告、その判決が変わるなんて事は決してなかった。
「これがルールだ。ルールが守れないのなら死刑なんて当たり前だろう。知らなか
った訳でもあるまい? 中身を知っていようがいまいが運んだだけで死刑だとい
う事ぐらい。それにだ、死刑で済むのならその方がまだましというものだぞ、極
死刑でも良かったんだからな! 」
そんな事を言われても何も分からないのだし、死刑でよかったなんて事が本当に
あるとでもいうのだろうか? そんな訳がない、ある訳がないじゃないか! と
死刑の事で頭の中が一杯になっている中で出来る限りの罵詈雑言を並べていたら
いつの間にか死んでいた。
*****
「どうも~」
そして気が付いた時に目の前にいた女はそう言った。
でも今度は知っている女だった。
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