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しおりを挟む運命には逆らえないのがマストなのだとして、この状況下で私に出来る事なんて
精々、神頼みぐらいなものなのだが実際の所それはどうなのなのだろうか?
神様は私の願いを叶えてくれる準備ははたして出来ているのだろうか?
もし出来ていないのであればそれは嫌だなと思うし、どうかこういう時ぐらいは
ちゃんとしておいて欲しいものではある。だってそれがアンタ等の仕事だろうと
私は思っているからだ。仕事もしないのに一丁前に神を名乗るとかいう事が許さ
れているのだろうか? それとも詐欺師と同じように碌な罪には問われないから
やったもの勝ちというような、なんとも幼稚な精神性なのか? それならばすべ
ての神など死んでしまえばいいと思うのだが、アナタの神はまだ生きているかし
ら?
目が覚めてみればそこは知らない場所であった。
そのボロい天井を見ながらなんとなく煙たい感じがして嫌悪感を感じるし、そん
な知らない建物の中で知らない人達が何かを話しているが、それが聞き覚えのな
い言語で話しているから尚更私はイライラした。
一体この状況は何なのだろうか? まったく理解が出来ず、そんな事だから最初
は夢でも見ているのではないかと思ったのだが、あまりにもはっきりとしている
感覚にそうではないのだという事が残念ながらすぐに分かってしまって思考を停
止する事さえもできないでいる。
じゃあ私は何処にいるのだろうか?
あのカーチェイスの末、車の中から一体どこへと移動したというのだろうか?
これから自分がどう扱われるのかが分からない以上下手に動くのはよくはないが、
何もせずにじっとはしていられない。たとえ言語が分からずとも何かしらの声は
上げるべきなのだ、なにせこの尿意をどうにかしないといけないのだから。
「あうあうあう」
そして意を決して出した言葉がそれだったらアナタならどうするだろうか?
まず初めに疑うべきは顎が粉砕しているのではないかという事だろう。だからそ
っと手を顎に当ててみたら思っていたのと違い何故かむだに柔らかい。むちむち
としたこの感触は一体どうした事だろう? 私の顎は今どうなっているのかとて
も不安な気持ちが一気に広がった。
「お腹でも減ったの? 」
駆け寄って来た黒ずくめの女に急に私は抱き上げられた。驚いたのは私が軽くな
ったという事よりも急に言語が理解出来るようになったということでお腹なんか
減っていないし、そもそもお腹がへったぐらいでどうして声を上げる事があるの
か? なんて事を考えた。『そんな赤ん坊みたいな事を私がするはずがないでは
ないか! 』 と怒りたくなってすぐに『嗚呼、そういう事か』と納得したのは
今の自分の姿が窓ガラスに映ったからだ。
『なんで? 』
そしてすぐに次の疑問が浮かぶ。
『どうして私は赤ん坊になっているのか? 』『そもそも私が私であったという
記憶自体が偽物なのではないのか? 』『まだ夢を見ている可能性はないだろう
か? 』とかいろいろと可能性を考えている内にいろんな事をがあやふやになっ
て行く。一体何が正しくて何が間違っているのかがはっきりとせずにあやふやに
なっていく。
『このままではダメだ! このままでは忘れてしまう! 』『そう強く思ったの
はどうしてだったっけ? 』『私が私であったという事はどういう事? 』今私
がしなければならない事、漏らしていけないという事がどんどん薄れて行き、
そして女が声を上げた。
「ちょっと待って! あらあらあら……」
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