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しおりを挟む奴隷となった俺は買われた。
そいつは魔法使いで、最低の男だった。
俺は毎日、魔法使いに弄ばれて、もう何もかもが嫌になっていた。
こんな事なら死んだ方がいいと何度思った事だろうか?
買われてからどれくらい経っただろうか?
そんな事すらももう分からなくなっていた俺は魔法使いに連れ出されダンジョン
へと来ていた。あの懐かしいダンジョンにやって来た俺は当然のように魔法使い
のおもちゃとして扱われた。
「これからあいつ等は願い事を叶えに行くらしいぞ。馬鹿みたいだろ?
叶えて貰ったって何の意味もない事が分からないんだあいつ等は。だから弱い。
俺の様な強い者に助けて貰わないと何も出来ないんだ」
魔法使いは俺で遊びながらダンジョンへ来た目的を話した。
でもそんなものは俺にはどうでもよかった。
もしかしたらここで運良く死ねるかもしれないと考えていた。
ただ残念な事に本当に魔法使いは強かったのだ。
だから俺は怪我など一切しないで目的の場所まで来てしまった。
俺はまさかこんな形でダンジョンを巡る事になるなんて思っていなかったし、
間近でゲームを見ている感覚だった。剣がぶつかる音に魔法の攻撃、敵の咆哮。
全てが体験した事のないものばかりで目が離せない。
そして勝った事に俺は興奮していた。
何一つとして参加していなかったはずなのに、ここに居るというだけでそんな
気分にさせられた。何という展開、こんなにもはらはらする戦いを見れた事に
頭が麻痺していた。
「さあ、願いを叶えてやろう。願いは何だ」
でもその言葉を聞いた時、俺はすぐに願いが浮かんだ。
「俺を元の世界に戻してくれ! 」
それは心の底から湧き上がったような願いだった。
もうこんな所になんて居たくはない、ここは俺の居場所じゃない!
こんな生活は嫌だった。絶対に帰るんだ、あの日常へ帰るのだ!
「よかろう、願いを叶えよう」
その場に居る全員が俺の方を見ていた。
呆然とした表情で、きっと気を抜いていたのだろう。
他に願いを言う奴が居ないと安心しきっていたのだろう。
『あんまり簡単に他人を信用するもんじゃないぜ』
そんな言葉が頭に浮かんだ。
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