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しおりを挟む「まったくよ、本当にそれが必要なのかね」
小言を言われようともそんなものはどうだっていい事だった。
そもそもこれは俺の金で買った所有物なのでそれについて何も言われる筋合いは
無いのだ。
「まあそう言うな。ちゃんと役割は果たしてくれるんだ、それで十分さ。
それであいつが帰って来るのなら何も問題はない」
このパーティーに参加する事が決まったのは三日前の事だった。
彼等はダンジョンの21階層に隠し部屋を見つけたそうだ。
そこは願い事を叶えてくれるというぺギルラスが居るという事が分かり、
攻略する為に俺の力が必要だというのだ。
まあ構いはしない、金さえ貰えれば俺は仕事を請け負う。それがプロってもの
だからだ。願い事などしないさ、俺はいつだって自分の力で全てを手に入れて
来たのだから、そんなものに興味はない。
「じゃあ行くぞ、準備はいいな? 」
「ああ、リーダー行こう! 」
無駄に士気が高いパーティーで俺は浮いていたが、たまにはこういうのも悪くは
ないと思える。冒険者なら当然ダンジョン攻略への渇望は誰しもが持っている
ものだからだ。俺も気合を入れて部屋の中へと入った。
*****
戦いは熾烈を極めた。
圧倒的な攻撃を前に俺達はギリギリだった。
首の皮一枚で繋がっているようなそんな状態の中で、俺は最大の魔法を放った。
これで決まらなければ全滅だろうなと覚悟しながら。
「さあ、願いを叶えてやろう。願いは何だ」
結果どうにか倒せた事に俺は安堵した。
勝った事に対する高揚感と、安心感で身体はもう動かない。
それはパーティーメンバー達も同じだったようで、ぺギルラスの問いに答える
までに暫しの時間が必要だった。
「俺を元の世界に戻してくれ! 」
その声は突然聞こえ
「よかろう、願いを叶えよう」
そして願いは受理された。
その場に居た誰もがその声の主の方をずっと見ていた。
それは俺の所有物で、俺が連れて来た奴隷の方をずっと見ていた。
そして奴隷はその場から姿を消したのだ。
願いは叶ったようだった。
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