44 / 50
44
しおりを挟むもうめちゃくちゃだ! 一体あの連中は何なんだ!
俺には理解が出来ない! どうして俺がこんな思いをしないといけないのか!
大体、俺は求められていたのではなかったか?
あいつら役者を探していたはずだったよな?
それなのにこれは、どういう事なんだ?
それに部屋から飛び出してきたものの、誰も追いかけては来ない!
「俺は必要な人材では無かった」この状況がそう物語っている。
俺は独り、とぼとぼと歩いて帰る。
今日は散々な日だった。
俺の予想では良いになるはずだったのだ。
告白が成功して、そのままの勢いで俺の演技も褒められる。
そんな素晴らしい小暮洋デーになるはずが……
告白は失敗し、演技もボロクソに言われてこうして独り
寂しく帰るなんて、映像部なんて入らなければよかった。
*****
その朗報が入ったのは私が部屋で嘔吐いていた時だった。
あの謎の告白を受けて私はもうボロボロだった。
まさか告白をされてこんなにダメージを受けるなんて事が
あるとは知らなかった。
そういう意味ではいい経験が出来たのではないか?
と出来るだけいい方向へと持っていこうと考えてはみるが
あいつの顔が思い浮かんで
「ううううう、ぶぅえ」
また気持ち悪くなっていると、鈴から電話がきた。
「千里、体調はどう? 大丈夫? 」
「うん、ちょっとはマシになったかな。 今日はごめん
せっかくの上映会だったのに」
「いいよ、疲れてたんでしょ? 仕様がないよ。 うちの女優に
何かあったら大変だからね、気にしなくていいから。
お大事に。嗚呼、そうそうあいつ辞めたから、小暮。じゃあね」
そう言って切れた電話に私は首を捻る。
辞めた? 小暮? どういう事!
私はすぐに鈴に電話を掛けた。
「ねえ、どういう事? 」
「何が? 」
「辞めたって何よ、何で急に辞めてるのよ! 」
もしかして私の所為かもしれないと思ったのだが
鈴の話を聞いて違う事が分かった。
流石、虹子だとしか言いようがない。
でもこれで、もうあいつ顔を合わす事が無くなったのだと
思うと私はホッとした。
いつの間にか吐き気も収まっており、これで心配事は無事に解消されたのだった。
「よし、ご飯を食べよう」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる