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しおりを挟む今日はどうやらロコスの日らしい。
このロコスという男のやり方は、いつもねちっこくてムロは嫌いだった。
「ふん。始めるぞ」
そしてこいつはいつもムロを馬鹿にしたように見下してくるのだ。
それがムロには不快で仕方なかった。
立場は違えど同じ召喚者なのに、どうしてそんなに偉そうに居られるのかが
まったく理解できない。
とは言ってもムロがロコスに対して何か出来る事などないのだ。
だから余計にロコスも増長していく。
そんな状況がの所為か、いっその事何もしないでおこうかと考えてしまったのは。
それともムロの習性の所為なのかは分からないが。
氷の適正を持つロコスによって、いつものように徐々に凍らされていく自分の体。
ムロは何もせずに堪えていた。徐々に感覚が麻痺してい行く。
そして
危険を感知しました。
能力『眠る』を自動で発動します。
『キャンセルだ』
『眠る』をキャンセルします。
ムロは自動で発動しそうになった眠るを止めた。
自分で止めれるのかが分からなかったが止まったという事は自分で止められる
という事なのだろう。
自分で発動出来るのだから、まあそうなる事にある程度予想はしていたが
こうして徐々に自分の体が凍っていくのにこのまま、耐える事が出来るかは
分からない。でもこれが自分に出来る最大限の抵抗だった。
「おい、このままだと死ぬぞ? 」
凍っていく体に薄れる意識の中でムロに聞こえた声。
「どうした? 死ぬ気なのか? 本当にそれでいいのか? 」
誰かの声がする。だがムロにはもうどうでもよかった。
このままここで終わりにしよう、そう思っていたのに……
「帰れるんだぞ? 」
『帰れる』その言葉がムロを動かす。
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