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しおりを挟む『ギロミを殺す』
そんな事、ムロに出来る訳がない。
そもそもムロに攻撃力はない。ムロの適正の『眠る』にそんな事は出来ないし、
召喚者には逆らう事など出来ないのだ。
「グルコ、出来ない。無理だ」
ムロの先程までの覇気はすっかり消え失せていた。
「何、お前の心配は分かっているさ。大丈夫だ。俺が居るからな」
グルコはムロに言う。
「俺は魔族だ。けっこう強いんだぜ? 」
冗談交じりに言ってくる相手をムロは信じるべきなのか?
そもそもグルコは信じるに足る奴なのかなんて分からない。
分からないが、でもそんなものは決まっている、信じるしかないのだ。
「分かったよグルコ。お前の言う通りにするよ」
こうしてムロは元の世界に戻る為にグルコの言う事を信じる事にした。
*****
「死ねや、オラ! 」
適正が風のシロッコの突然の大技にムロはすぐに眠るを発動させる。
グルコがまずムロに指示したのは5人の召喚者達の攻撃を受け続けろというもの
で、今までのムロの生活となんら変わる事がなかった。
「なあ、本当にこれでいいのか? 」
眠るを発動している間、ムロは頭の中でグルコと会話をする。
「ああ、これでいい。お前はこれから受ける攻撃を全て使えるようになるんだから
出来るだけ多くの攻撃を受けておかないとギロミと戦う時に苦労するぞ」
「そんな力があったのか? 」
ムロは自分の力の事を全く分かっていなかった事に驚くが
「否、これは俺の能力だよ。だから言っただろ、俺は強いって」
まあ確かにそんな能力があれば有利だろう。でも欠点は攻撃を受けても耐えられ
なければ意味を成さないという所だろう。死んだらお終いなのだから。でも、
その能力とムロの眠るがあれば相手は攻撃すればするほど不利になっていく。
結果ムロは誰にも気づかれる事もなく召喚者たちの全ての技を覚える事に成功
したのだった。
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