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しおりを挟むグルコは思念体としてそこに居た。そこに居て何処にも居ない、そんなあやふや
な状態のままで過ごす事2か月、ずっとギロミの側で監視をしていた。
何故か?
グルコはギロミの事を全く知らない。
だから知りたかったのだ、この自分を倒し、新しく魔王になった者の事を。
それは自分が魔王になる為でもある。
グルコまだ諦めてはいなかった。
その結果、このギロミという奴の計画の凄さを知る事が出来た。
今までの魔族とは違う考え方、力が全てとしてきたその考え方はギロミからは
感じられなかった。
そして思う、自分も今のままでは駄目なのだと。
自分の考え方は結局今までの魔族の考え方でしかなく、それはこれからの魔界
では通用しないのだと理解した。
そして、他人の力を使う事を学んだグルコはギロミの召喚に紛れて、ムロを召喚
する事に成功し、自身もムロの中に入る事に成功した。自分の持っている魔力の
殆んどをつぎ込んで。
*****
「ムロ、調子はどうだ? 」
「ああ、悪くはないよ」
グルコの問いに答えるムロは緊張していた。
あれから攻撃を受け続ける日々が無事に終わり、召喚者達は旅立った。
それぞれが勇者となるべく5つの国に分かれて行き、そして勇者に成る事を
成功させる。
そこからの展開はは早かった。
ギロミは待機させていた魔王軍を5つの国に向け出発させる。
魔王軍の侵攻に対して、勇者は抵抗する事なく無血開城した。
物事は順調に進んで行く、ギロミの計画通りに。
そしてギロミの世界征服は完成した。
それと同時にムロが動く。
元の世界に帰る為に、ギロミを殺しに行くのだ。
ムロは自分の部屋を出る。
今、城の中の警備は殆んど居らず、皆魔王軍として出ていた。
だからギロミが居る部屋へはすんなりとたどり着いた。
扉を開けるとギロミがそこに居た。
「何だピコ? お前は……、まだ居たのかピコ」
来訪者を睨みつけたギロミはムロだと認識すると興味なさげに言った。
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