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しおりを挟む「お前もなかなかに度し難い奴だな、ムロ」
グルコにそう言われたムロは確かにそうだと思った。
こっちに来てから自分が少し変わったように思えるのは、グルコの提案にすぐ
返事をしたからだ。
元の世界に帰る為には莫大なエネルギーが必要である。
それをどこから取るのかを考えたグルコは召喚者達から取る事にした。
グルコにしてみれば彼らの存在は邪魔でしかないのだ。
あいつらはギロミがグルコになっている事を未だに知らない。
だから呼べばすぐに飛んでくる事は必然。
そのままエネルギーに変換してもよかったが、グルコの感性はそうではない。
やられたらやり返すのが当然の感覚である。
だからムロに提案した「あの5人に仕返しする気はあるのか? 」と
するとムロは嬉々とした表情で言った。
「もちろんだ! 」
*****
「何だ? どうしてお前がここいるんだ? 」
一人目はジルンバだった。
正直、こうして対峙していると手足が震える。
こいつには散々焼かれて来たのだ、その記憶は体にしっかりと刻まれている。
「どうするムロ? 」
グルコにそう聞かれてしまうくらいに自分が今こいつを怖がっているのだと
分かったが、それでもムロの決意は固い。
「やるよ」
ムロは震える手をギュッと握る。
大丈夫だ、ギロミだってやれたのだからこいつだってやれる。
そう自分を奮い立たせて向かって行った。
結果は一方的になった。
ムロはジルンバとは違い、炎以外も使えるからだ。
予想外の事が起こって慌てふためくジルンバをムロが追い回すという図式。
「どうした? 早く逃げないと燃やすぞ! 」
「も、もう止めてくれ。俺が悪かった、謝る。だからこれ以上は……ああああ! 」
ムロは自分がやられたようにジルンバを燃やした。
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